南極海でアザラシ大量死の恐れ 鳥インフル拡大、豪観測隊撤収へ
オーストラリア政府は南極のそばにある豪領マッコーリー島の観測基地から、観測隊の隊員24人全員を10月に一時撤収させることを決めた。
鳥インフルエンザの拡大により基地周辺に集まるアザラシが大量死する恐れが出ており、豪政府は、隊員をそのような凄惨(せいさん)な光景にさらすことはできないとして撤収を決めたという。
◇鳥インフルが6月から拡大
豪公共放送ABCなどによると、豪州では6月中旬、鳥インフルエンザが本土で初めて確認された。
それ以来、野生動物への感染が急速に拡大。8月下旬までに確認された感染事例は350件を超え、南オーストラリア州では1000羽以上の鳥が大量死したケースもあった。
8月下旬にはオットセイへの感染が確認され、国内初の哺乳類の感染例となったほか、イルカへの感染も判明した。
◇隊員の精神的負担を考慮
こうした中、豪政府は28日、マッコーリー島で豪南極局が運営する観測基地から隊員全員を撤退させると発表した。この島ではまだ感染は確認されていないが、島はゾウアザラシの重要な繁殖地で、基地のそばにも約2500頭が集まっている。
人間への感染リスクは低いものの、政府は「アザラシの大量死が起きた場合、隊員が長期間にわたり精神的ストレスにさらされる可能性がある」(担当者)と判断。基地からの撤収を決めた。
感染が繁殖期と重なった場合、子どものゾウアザラシのうち最大9割が死ぬ可能性もあるとみられている。南極付近の豪領ハード島では昨年、アザラシへの感染が広がり、推定で約1万3000頭のアザラシが死んでいる。
