「ジュラシック・ワールド」に登場の「頭突き恐竜」、新種・最古の化石…ゴビ砂漠で完全に近い状態で発見
米国ノースカロライナ州立大とモンゴル科学アカデミー古生物学研究所、岡山理科大、福島県立博物館などの研究チームは、モンゴル・ゴビ砂漠で発見した化石が、映画「ジュラシック・ワールド」で登場した「頭突き恐竜」の新種かつ最古のものだと発表した。論文が18日、科学誌「ネイチャー」に掲載される。
研究チームによると、化石は2019年の発掘調査で見つかり、パキケファロサウルス類の全身骨格だと判明した。ドーム形の分厚い頭骨が特徴で、頭をぶつけ合って繁殖相手を奪い合っていたとされる。
これまで最古とされてきた同類の化石は、約9000万年前のものだったが、今回は、それを2000万年ほど遡る白亜紀前期(約1億1000万年前)の地層から見つかった。
後頭部や尻尾の腱(けん)の形、下あごの歯の大きさなどから新種と断定し、「原初の尊い頭」という意味の「ザヴァケファレ・リンポチェ」と名付けた。
首と背骨、手の一部を除くほぼ全身が見つかり、完全に近い状態で化石が見つかるのは世界的にも珍しいという。体長1メートル、体重5・85キロと推定され、脚の骨の切断面にある成長線から2歳以上の子どもとみられる。岡山理科大の高崎竜司助教(古生物学)は「頭部や尻尾の使い方、食べていたものなどを解明したい」と話している。
国立科学博物館の真鍋真名誉研究員(恐竜学)の話「同時期の地層から化石が発見された恐竜『角竜(つのりゅう)類』との近縁性など、ルーツの謎が解けていく化石が見つかり、研究において大きな一歩だ。さらなる新しい発見があることを期待したい」
