Appleがヨーロッパ委員会の「デジタル市場法」を巡る措置に対して上訴 「開発者の混乱」と「ユーザーの不利益」を招くと主張

Appleがヨーロッパ委員会の「デジタル市場法」を巡る措置に対して上訴 「開発者の混乱」と「ユーザーの不利益」を招くと主張

Appleは7月7日(ヨーロッパ中央時間、以下同)、ヨーロッパ委員会が「デジタル市場法(DMA)」に基づき4月23日に下した決定した措置に対して上訴を行ったことを発表した。上訴は決定に対する「懲罰的な制裁金」(※1)を回避するために行ったといい、裁判を通して事実を示すと共に、同委員会がAppleにビジネスの条件を“強制”している実態を明らかにしていくという。

(※1)委員会による決定は、決定日から60日以内に従う必要がある。従わなかった場合、委員会は制裁対象(今回はApple)に対して定期的な制裁金(罰金)の支払いを求めることができる

ヨーロッパ委員会の決定はどんなものだった?

 DMAは、EU(ヨーロッパ連合)加盟国内で大規模なデジタルプラットフォームを運営する企業に対して規制を行うための規則の1つだ。

 ヨーロッパ委員会は、Appleによる「App Store」の運営について、主に以下のポイントでDMAに定める「反誘導(アンチステアリング)義務」違反があると判断し、5億ユーロ(当時の為替レートで約800億円)の制裁金を課した。

・アプリ開発者が「App Store」以外の代替配信方法を使う際に、複数の制限を加えている

・アプリ開発者がユーザーに対して代替配信方法を直接伝達できない

・(結果として)ユーザーが代替配信方法の恩恵を十分に受けられていない

・Appleは上記の制限措置が客観的に必要かつ相応しいことを証明できていない

 なお、ヨーロッパ委員会は本件と同時に、Meta(旧Facebook)にも2億ユーロ(当時の為替レートで約320億円)の制裁金を課す決定を下しているが、同じDMA違反でも異なるポイント(※2)が理由となっている。

(※2)Metaのサービスを利用する際に、「ユーザーデータを広告に使わない」場合の選択肢が「月額制の『広告なしプラン』」しかなかったこと

Appleはなぜ上訴したのか?

 上訴に当たり、Appleは以下の声明を公表した(公式の日本語訳をそのまま掲載)。

本日、Appleは欧州委員会の決定と、前例のないこの制裁金が法律の要件を大きく逸脱していると考え、上訴しました。私たちの訴えにおいては、欧州委員会が当社のApp Storeの運営方法にまで介入し、開発者にとって混乱を招き、ユーザーにも不利益となるビジネス条件を強制している実態を明らかにしていきます。これらの措置は、日々の懲罰的な制裁金を回避するために実施されたものであり、Appleは裁判所に対し事実を提示してまいります。

 Appleは、App Storeにアプリを掲載している開発者から、サービスの対価として「Store Services Fee(ストアサービス手数料)」を得ている。

 Appleによるとヨーロッパ委員会はこの手数料の考え方を支持していたそうだが、手数料の階層をより増やした上で、特定のサービスをオプトアウトできる仕組みの導入を要求したといい、さらに検索や発見機能の一部を必須サービスから切り離すことも求めたという。

 また、Appleはヨーロッパ委員会の求めに応じて、開発者がEU加盟国のユーザーに対して外部サイトに誘導するようなオファーやプロモーションを表示したり、アプリ内で外部の決済事業者を利用したりする「ステアリング(誘導)オプション」を用意している。

 しかし、Appleによるとヨーロッパ委員会はDMAにおける「ステアリング」の定義を不当に拡大したという。それに伴い、同委員会はAppleに対して競合するアプリストアや、当該アプリストアで配信されるアプリへのリンクも表示できるようにするよう求めているという。

 Appleとしては、上訴を通してヨーロッパ委員会による“不条理”を明らかにしたいようだ。

米アップルが欧州委員会の制裁金に上訴

米アップル(Apple)は、今年4月に欧州委員会から課された制裁金に対して、上訴した。

Appleの公式声明

 本日、Appleは欧州委員会の決定と、前例のないこの制裁金が法律の要件を大きく逸脱していると考え、上訴しました。

 私たちの訴えにおいては、欧州委員会が当社のApp Storeの運営方法にまで介入し、開発者にとって混乱を招き、ユーザーにも不利益となるビジネス条件を強制している実態を明らかにしていきます。

 これらの措置は、日々の懲罰的な制裁金を回避するために実施されたものであり、Appleは裁判所に対し事実を提示してまいります。

 EUからは4月、デジタル市場法(DMA)違反として、5億ユーロ(約800億円)の制裁金が課された。アップルに対して、欧州委員会は、App Storeでの手数料を得ることを認めていたものの、引き下げ後の手数料に階層を設け、特定のサービスを開発者がオプトアウトできるよう要求したという。

 また、2024年、アップルは、EUに住むユーザーに対して、オファーやプロモーションから外部サイトへ誘導できる「ステアリング」という仕組みを導入。さらにアプリ内で代替決済サービスを提供できるようにもしていた。しかし、最近の指針で、欧州委員会がDMA第5条4項の「ステアリング」の定義を大幅かつ、違法に拡大したと指摘する。

 こうした点から「制裁金が法律の要件を逸脱したもの」として、上訴に至った。

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