12年ぶりの大変革、Appleの新OSデザイン「Liquid Glass」を現地で体験した!

12年ぶりの大変革、Appleの新OSデザイン「Liquid Glass」を現地で体験した!

アップルの世界開発者会議「WWDC25」が米国本社のApple Parkで6月上旬に開催されました。筆者は今年もWWDCを現地で取材しましたが、会場でもやはり秋に正式公開を予定する主要なプラットフォーム(OS)の新デザイン「Liquid Glass」(リキッドガラス)のことや、年号で統一するOSの新しいネーミングルールが話題を集めていました。

■12年ぶりに大きく変わった「ガラスデザイン」の特徴とは

23年のWWDCではApple Vision Proが発表され、続く24年にはApple Intelligenceをローンチ。過去の2年に比べると、今年のWWDCではアップルの新しいハードウェアの発表もなく、内容も少し小粒な印象ではありました。

とはいえ、この秋に新デザインのOSが新しいiPhoneなどのデバイスとともに登場すれば、OSの「使い勝手のよしあし」はユーザーにとって大きな関心事になります。7月には、OSをひとあし早く試せるパブリックベータの提供も開始しますが、その前にWWDCの発表をおさらいしながらOSの特徴を振り返ってみましょう。

現在のiOSのベースになる「フラットデザイン」は、2013年に発表されたiOS 7とともに誕生しました。約12年を経て一新されるリキッドガラスは、Apple Vision Proのユーザーインターフェースにインスパイアされたデザインであり、その特徴は奥行き方向への立体表現力の豊かさにあります。

アプリアイコン、Dock、ウィジェットはiPhone、iPadなどハードウェアのデザインと調和するよう角に丸みを持たせて、さらに透過表示にすることでアプリの画面に重ね合わせた状態でも、ユーザーに多くの情報が伝えられたり、操作性が犠牲にならないように設計されています。

筆者も、現地取材の間に、新しいリキッドガラスデザインのユーザーインターフェースのデモを体験しました。ルックスの美しさだけでなく、入力操作に対する滑らかな反応も大いに好奇心をくすぐられます。

反面、iOS 18から搭載するホーム画面のカスタマイズ機能を使っている方は、アイコンのカラーを統一すると、いつも見慣れているはずの“赤いYouTubeアプリ”や、遊び倒しているゲームアプリのアイコンがふと見分けられなくなった経験があると思います。リキッドガラスは、従来通りアプリアイコンやウィジェットの“元の色”が活かせる表示モードを継続して備えていますが、筆者は透過表示のクリアモードにするとアプリアイコンを見失うことがありました。もちろん、従来通りのライト/ダークモードの表示も選べます。

■Apple Intelligenceのモデルをデベロッパに開放

Apple Intelligenceに関しては、主要なOSとつながりながら、新しい機能や便利な使い勝手を提供します。最も大きなアナウンスは、約30億パラメータの規模にもなるアップル独自の生成AIモデルに、外部のデベロッパがより深いところまでアクセスして使えるようになる「基盤モデルフレームワーク」が提供されることです。

Apple Intelligenceの作文ツールや画像生成ツールのImage Playgroundは、オフラインでも高いパフォーマンスを発揮することから、スピード感とプライバシーに配慮した安全性を備えています。アップルは従来から、外部のデベロッパがデバイスの中でApple Intelligenceの各機能にアクセスするための開発ツールも用意していました。今後、デベロッパは基盤モデルフレームワークにより、Apple Intelligenceのモデルを自由に呼び出し、独自のアプリ内にAI体験が構築できるようになります。しかも、デベロッパは複雑な推論をこなすモデルを無料で使いながら、自社の製品やサービスに組み込めるアドバンテージも得られます。

今年の4月以降、Apple Intelligenceが正式に日本語対応になりましたが、以降もあまりその存在を知らずにiPhoneやMacを使っているユーザーの方は少なくないと思います。今後は、ユーザーが他社のコミュニケーションアプリでGenmoji(ジェンモジ)を作ったり、Apple Intelligenceとのさまざまな接点が広がることが期待できます。

■OSアップデートでさらに強くなる「Appleデバイスの結び付き」

次期OSは、秋に発表される新製品が主に活躍する“翌年の年号”を名前に冠することになりました。iOS 26、iPadOS 26、macOS 26 Tahoe、watchOS 26、tvOS 26、visionOS 26といった具合です。

各OSに共通して搭載される機能がたくさんあります。そのひとつが、Apple Intelligenceを活用する「ライブ翻訳」です。アップルのメッセージ、FaceTime、電話に組み込まれる機能で、テキストや通話音声をリアルタイムに翻訳して、外国語によるコミュニケーションをサポートします。Apple Intelligenceのオンデバイス処理を使う機能なので、会話の内容などユーザーのプライバシーが外に漏れる心配がありません。

このライブ翻訳はiPhoneからApple Watchにまで搭載され、ユーザーインターフェースは各OSに最適化されるものの、基本的に同じ使い勝手を実現します。電話アプリで迷惑電話からユーザーを守る「通話スクリーニング」や、つながりにくいコールセンターなどに電話した時、ユーザーが保留状態で待たされ続けないようにiPhoneが代わりに待機して、担当者が電話に出た時にユーザーに通知する「保留アシスト」もまた、iPhoneだけでなくiPadやmacOSに期待の即戦力機能として搭載されます。

visionOSのコンセプトを受け継ぐ、立体的な表現力を持つリキッドガラスデザインをすべてのOSで揃えたことによって、外観だけでなく操作性の統一感が図られています。iPhoneを使い慣れたユーザーが、愛用するパソコンとしてMacを選ぶ傾向はますます強くなるかもしれません。iPhoneと同じ感覚で使えるApple Watchによって健康を管理する習慣が身につくと、ほかのスマートウォッチには乗り換えられなくなるだろうと筆者は想像します。

■「カメラ」アプリのUIも大幅変更。すぐに馴染めそう?

反面、iPhoneの「カメラ」アプリのようにOSアップデートにより、多くのiPhoneユーザーが慣れ親しんできた使い勝手が「新旧世代のOS間」で大きく変わる部分もあります。iOS 26のカメラアプリは、画面に表示するアイコンを最小限にとどめて、画面の上下スワイプ操作で現れるメニューにLEDフラッシュや露出補正など詳細メニューを隠すデザインとしました。高齢になる筆者の母親はiPhoneユーザーですが、最近ようやくiPhoneやカメラで写真を撮ることに慣れてくれました。iOS 26にアップデートしてしまったら、またカメラアプリの使い方をレクチャーしなければならないだろうな…と思っています。

iPadOS 26とmacOS 26 Tahoeは、iPadの画面に複数のウインドウを立ち上げて、macOSのようにマルチタスキングが利用できるようになったり、iPadの側から大きく歩み寄ったことで、OSどうしの親和性が高くなりました。アプリからアプリへ、ファイルのドラッグ&ドロップ操作によるコピーなども一部アプリから対応しました。

ウィンドウを閉じる(Command+Wキー)キーボードショートカットができなかったりと、今後macOSとiPadOSの親和性をより高めてほしい部分もあります。でも、WWDCの会場でデモンストレーションを体験して、今回筆者はiPadOS 26に一番強く惹かれました。iPadOSに初めて登場する「プレビュー」アプリがあれば、写真ファイルの簡易な編集作業もできそうです。原稿を書いて、写真を整えて…、仕事の原稿一式を送るまでの作業を愛機のM4搭載iPad Proでこなせれば、仕事の生産性が高まること間違いなしです。

アップルがWWDC25で発表した新しいOSが秋に正式リリースを迎えた後に、iPhoneにiPad、Macなどアップルの製品がユーザーのデジタルライフにどんなインパクトを与えるのか注目したいと思います。

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