次世代MacBook Proの進化は「控えめ」? 2026年モデルを待つべきか
6月に開催される世界開発者会議(WWDC)で、アップルの主要製品が新たな製品サイクルに入ると考えられているなか、2025年に登場予定のMacBook Proはどう評価すべきだろうか。今のところスペックこそ強化されるが、それ以外の大きな変化はないと考えられている。
大きな変化は2026年まで起こらないとされている以上、今年のやや控えめなアップグレードはスキップして、来年に予定されるより革新的なMacBook Proを待つべきなのだろうか。
■OLEDディスプレイを搭載?
まず注目すべきはディスプレイだ。アップルはすでにiPadやApple WatchにOLEDディスプレイを採用し、今年のiPhoneのProモデルにも搭載すると報じられているが、MacBookにはまだ登場していない。OLEDは従来のLED技術よりも色が鮮やかで黒が深く、省電力性も高い。Windows搭載ノートパソコン、特にハイエンドのゲーミング用やマルチメディア制作向けのモデルではすでに広く使われている。
しかし、長年サプライチェーンを分析してきたコンサルタントのロス・ヤングによると、MacBook Proが待望のOLEDに移行するのは2026年まで見込めないという。2025年モデルは、引き続きミニLEDのままだとされている。
■筐体はアップグレードするのか?
次に、全体なデザインはどうか。アップルは常により薄いハードウェアを追求しており、MacBook Proも例外ではない。本体の厚みに大きく関わる要素の1つがディスプレイであり、OLEDへ移行するのであれば、自然と薄型化が進む。
また、自社開発のチップであるAppleシリコンが生み出す強い熱を処理するために、iPhoneやiPadで採用されている技術にも注目すべきだ。熱を逃がす薄型素材がこれらのデバイスに使われており、Macのラインナップにも導入される可能性は高い。ただし、2025年モデルに採用される兆候はみられない。
テクノロジーの世界において、「より優れたものが、常にすぐ先に控えている」というのは一つの真理だが
■セルラーモデルは登場する?
もう一つの興味深い可能性は、Macコミュニティが長年待ち望んできたMacBook Proへのセルラー接続機能の追加だ。この機能はWindowsノートパソコンや2-in-1モデル、タブレットでは当たり前のように採用されているもので、iPadでも数年前から人気のオプションとして定着している。
なぜ4G LTEや5G接続機能が、これまでMacBook Proに搭載されなかったのか。その理由としてはコストの問題が挙げられるかもしれない。また、Qualcommが提供するモデムの消費電力やサイズあるいは費用面で、アップルの設計チームが満足しなかった可能性もある。いずれにせよ、現在は代替策が存在する。
最近発売されたiPhone 16eには、アップルが自社開発したモデムが搭載されている。これは、インテルのモデム部門を買収してから6年、10億ドル(約1400億円)の投資がようやく成果を上げ始めたことを示している。既製品ではなく、MacBook Pro向けに特化したカスタムモデムであれば、より容易に統合できるだろう。
もっとも、アップルはまずiPhone向けに新型モデムを展開する必要があるため、2025年のMacBook Proにこの機能が搭載される可能性は低い。しかし、2026年にmacOSプラットフォームに大きな追加機能が行われるタイミングでは再び考慮されるだろう。
■2026年モデルを待つべきか
テクノロジーの世界において、「より優れたものが、常にすぐ先に控えている」というのは一つの真理だ。それと同時に、今入手可能な製品が自分のニーズを十分に満たしてくれるケースも少なくない。
性能向上やムーアの法則に沿った段階的な進化と、現行モデルに存在しない革新的な飛躍や新機能をもたらす製品は大きく異なる。2025年版のMacBook Proは前者であり、2026年版のMacBook Proは後者に当たる。
MacBook Proに対して大きな進化を求めるのであれば、よほど急ぎの理由がない限り2026年モデルを待つほうが賢明だろう。