米アップル、EV断念でもAIによる収益化期待揺るがず

米アップル、EV断念でもAIによる収益化期待揺るがず

米アップル(AAPL.O), opens new tabの自動車計画は、実現への道が途絶した。「プロジェクト・タイタン」と社内で呼ばれ、10年をかけた電気自動車(EV)開発計画は終わった、と米ブルームバーグが27日報じた。アップルは巨大市場への挑戦を断念したわけだ。しかし、EV事業は競争が一段と熾烈になっている上、そのメリットの大半は顧客データと注目を集めることに尽きる。そうしたメリットを得るなら、アップルにはもっと良い方法がある。

ここ数年、アップルのような企業がEV開発に取り組むもっともな理由が1つあった。米テスラ(TSLA.O), opens new tabの存在だ。イーロン・マスク氏が率いるテスラは、成長スピードが目まぐるしく、これまで投資家に高く評価されてきた。LSEGによると、2021年のテスラ株は予想利益の220倍に相当する最高値圏で売買されていた。マスク氏が当時思い描いたのは、年間2000万台のEV販売。1台5万ドルで販売した場合、売上高は1兆ドルに達し、昨年のアップルの売上高の約3倍の規模に及ぶ算段だった。

しかし、EVの事業環境はその後に悪化。需要は伸びが鈍化し、テスラの売上総粗利益率はほぼ半減した。こうした状況下、アップルは決してEV産業に全面参加はしなかった。ブルームバーグによると「プロジェクト・タイタン」の年間支出額は10億ドル。昨年のテスラの研究開発費は40億ドル、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N), opens new tabは100億ドルを投下した。

結局、アップルのような企業にとり、自動車は最終目的地に至るための単なる道具だ。つまりユーザーをアップルのサービスにますます引きつけるようにする手段にしか過ぎない。米国自動車協会(AAA)によると、22年に米国人が自動車を運転した時間は計930億時間。自動運転に移行すれば、運転手はハンドルを握らず、アップルの各種サービスに親しむことになる。一方、それによってアップルに流れ込む利用データは、人工知能(AI)開発の道を進む上で強力な燃料源となる。これはテスラにも当てはまる。モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏によると、テスラの企業価値は約3分の1がAIによる各種サービスにあるという。

だがアップルはわざわざ巨大な鉄の塊を製造せずに、本来の目的であるユーザーの行動パターンや嗜好を分類して予想することが可能だ。アップルには、発売したばかりの拡張現実(AR)ヘッドセット「Vision Pro(ビジョンプロ)」や、当然ながら「iPhone(アイフォーン)」もある。いずれの製品も、自動車メーカーの経営の重荷となっているコストのかかる生産や労働者の反発とは無縁であるばかりか、利益率は自動車よりも高い。アップルは、たとえ自動車を利用しなくても、AIを通じて膨大な富を手に入れる道を揺らぐことなく進んでいる。

●背景となるニュース

*27日付のブルームバーグ報道によると、アップル経営陣は従業員に対して、EV開発の社内プロジェクトを段階的に縮小すると伝達した。一部人員を生成AI部門に配置転換する予定。ロイターは以前、アップルが「プロジェクト・タイタン」と呼ばれるEV開発計画で24年か25年に新車発売することを目指していたと報じた。

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