米司法省がアップル提訴 独禁法違反の疑い アップル税も問題視

米司法省がアップル提訴 独禁法違反の疑い アップル税も問題視

 米司法省は21日、「iPhone(アイフォーン)」でスマートフォン市場を独占し消費者やアプリ開発事業者に損害を与えているとして、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでアップルを提訴した。不当な手段で消費者や事業者を囲い込み、価格引き下げや新たなサービスの開発など健全な競争環境を阻害していると主張している。世界トップクラスの時価総額を誇るアップルは全面的に争う構えで、「国家VS巨大企業」の法廷闘争が幕を開けることになる。

 訴状によると、アップルは腕時計型端末「アップルウオッチ」や決済アプリ「アップルウォレット」など他社のスマホでは機能を発揮できないサービスを設け、アイフォーンユーザーが他社に乗り換えにくい「障壁」を作った。また、他社端末でも利用できるアプリの技術開発を意図的に妨害することで独占的地位を築き、アイフォーン販売価格のつり上げに成功。1台当たりの販売利益は同業他社の2倍に拡大し、消費者のコスト負担を増やしていると主張した。

 外部の開発事業者が作ったアプリの配信を認めるかどうか恣意(しい)的に判断して、事業者への支配力を強めているとも指摘。「アップル税」と呼ばれる最大30%の手数料を徴収するなど、事業者から不当な利益を得ていると問題視した。

 アップルはアプリ配信の制限を「セキュリティー保護のため」と説明するが、司法省は「アップルのノート型パソコン『Mac(マック)』では、ユーザーが自由にソフトウエアをダウンロードできている」と指摘。「自らを正当化するためにセキュリティー保護を隠れみのに使っている」と批判した。

 司法省は訴訟の狙いについて「アップルの排他的行為をやめさせてスマホ市場に競争を呼び込み、端末価格や手数料を引き下げるため」などと説明している。米東部ニュージャージー州の連邦地方裁判所に、複数の州とともに訴訟を提起した。

 アップルは毎日新聞の取材に対し「テクノロジーを創造する我々の能力を妨害しようとする訴えだ。事実の上でも法律の上でも間違っており、強く反論していく」と全面的に争う構えを示した。

 アップルは2007年にアイフォーンを発売。使い勝手の良さに加えSNS(ネット交流サービス)や金融サービス、ゲーム、ニュースなど便利なアプリを組み込むことで支持を集め、米国の高性能スマホ市場では現在約7割のシェアを握る。時価総額は一時3兆ドル(約450兆円)を超え、マイクロソフトと世界1、2位の規模を争う巨大IT企業となっている。

 一方、アプリ配信の制限を巡っては多くの事業者から訴えられており、欧州ではアプリを入手する際に使う「アプリストア」の他社への開放を余儀なくされた。

 米当局はこれまでグーグル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン・ドット・コムの3社を独禁法違反の疑いで訴えている。今回のアップルへの提訴で、「GAFA」と呼ばれる米大手IT4社がそろって訴えられることになる。

アップルを独禁法違反で提訴、米司法省 iPhoneで競争阻害

米司法省と15州・ワシントンDCは21日、アップル(AAPL.O), opens new tabを独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで提訴した。スマートフォン市場におけるiPhoneの支配的地位を利用して競争を阻害し、規模で劣る競合他社に不利益を与え、価格上昇を招いたとしている。

ガーランド司法長官は声明で「企業が独禁法に違反しているために消費者が高い価格を支払う必要はない。この状況を放置すれば、アップルのスマホ市場における独占がさらに進むことになる」との認識を示した。

司法省は、iPhone価格が最高1599ドルに達し、アップルは業界内のどの企業よりも大きな利益を上げていると指摘。

また当局者によると、アップルはソフトウエア開発企業やクレジットカード会社、さらには競合のグーグルなどさまざまな企業に水面下で支払いを課しており、これが消費者が支払う価格の上昇を招き、アップルにもたらす利益を押し上げている。

同省はアップルが外部アプリとの連携に門戸を開いて利用者の選択肢を広げ、従来のビジネスモデルを見直すことを望んでいる。

株価は4.1%安の171.37ドルで終了した。

アップルは司法省の主張を否定。声明で「この訴訟はわれわれの存在と、熾烈(しれつ)な競争市場においてアップル製品を際立たせるというわれわれの基本理念を脅かす」とし、争う構えを鮮明にした。

米当局はこれまでにアルファベット(GOOGL.O), opens new tab傘下のグーグル、メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tab、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabを提訴しており、アップルもこれに加わった。

ホワイトハウスのマイケル・キクカワ報道官は「バイデン大統領は反トラスト法の公正で強力な執行を強く支持している」とコメントした。

ある当局者は「構造的な救済も衡平法による救済措置の一種」と述べ、アップルの分割や規模縮小が選択肢となる可能性があることを示唆した。

ニュージャージー州の連邦地方裁判所に提出した88ページに及ぶ訴状は、「アップルの反競争的かつ排他的な行為からスマホ市場を解放し、スマホ価格や開発者手数料の引き下げと将来に向けた技術革新の維持のために競争を回復すること」に主眼を置くとした。

司法省はアップルが競合他社を妨害するために自社製品を不便にしていると指摘。例えば、競合するメッセージングアプリやスマートウオッチをアップルのスマホでスムーズに動作させることを難しくしたという。

裁判所に対し、アップルがアプリ配信サービスなどを通じて競合他社を弱体化させることを阻止するよう求めた。

アップルは欧州、日本、韓国でも独禁法関連の調査や命令の対象となっている。ロイターは21日、アップル、メタ、グーグルが欧州連合(EU)の「デジタル市場法(DMA)」を順守しているかどうかについて調査を受ける見通しと報じた。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏