能登半島地震 津波で最大5.1m浸水 輪島や珠洲で4m超 超近距離津波の実態把握へ京大が現地調査
能登半島地震で発生した津波について、京都大学防災研究所の研究者らは現地調査の結果などから、輪島市や珠洲市など半島の東西で高さ4メートルを超える浸水があり、最大で5.1メートル浸水した地域があったとする調査結果をまとめました。
1日、能登半島で発生した地震では、能登半島の沿岸部各地で津波が発生しました。しかし、気象庁によりますと、珠洲市に設置した潮位計は地震直後に観測不能になったほか、輪島市の観測点では潮位が1.2メートルまで上昇した後にデータが途切れたということです。
このため、京都大学防災研究所の森信人教授と関西大学の安田誠宏教授らのグループは津波の被害状況を詳しく把握するために、5日から7日にかけて能登半島で現地調査を行いました。5日に志賀町から輪島市門前町にかけて、6日に珠洲市と能登町北部、7日に珠洲市で調査を行いました。
調査の結果、津波の最大の浸水高は以下の通りです。
■調査で判明した津波の最大の浸水高
<珠洲市>
▼三崎町 4.7メートル
▼川浦町・折戸町・宝立町 4.3メートル
▼飯田町 3.7メートル
▼蛸島町 3.0メートル
<能登町>
▼布浦・松波地区 3.2メートル
<輪島市>
▼琴ヶ浜地区 2.3メートル
▼門前町黒島から北浸水痕なし
<志賀町>
▼赤崎・鹿頭地区 5.1メートル
(※数値は潮位補正前の速報値で今後変更となる場合もあります)
このうち、最大4.7メートルの浸水高があった珠洲市三崎町の寺家地区周辺では、護岸の近くに道路や住宅があり、海岸に面した多くの住宅は全壊や半壊の被害が出ていたほか、最大4.3メートルの浸水高があった珠洲市宝立町鵜飼や春日野地区では川からも氾濫があったとみられ、津波に伴う火災も発生したため建物の被害が大きかったということです。
こうした最大水位は、国土地理院のデータなどを使って数値シミュレーションした結果とも整合性があったということです。グループでは今後も調査を進めていくとしています。
調査を行った京都大学防災研究所の森信人教授は「引き続き研究を進めて、超近距離津波の実態把握や津波と揺れ・火災といった複合災害の実態把握を進めたい。そして復興計画への貢献や日本海側における地震や津波の想定、今後の津波災害予測の進歩につなげていきたい」としています。