年の瀬も相次ぐクマ被害 冬眠に「-4℃の壁」眠らぬクマに異変も

年の瀬も相次ぐクマ被害 冬眠に「-4℃の壁」眠らぬクマに異変も

19日も秋田県や新潟県で出没するなど、年の瀬になっても相次ぐ「冬眠しないクマ」。

実はエサ不足とは別に気温が大きく関係していることが分かりました。「マイナス4度の壁」に迫ります。

■神奈川“名所”が通行禁止に

神奈川県の名所に緊張が走りました。大山詣りで知られる神奈川県の霊山・大山。

先週土曜日、見晴台付近でクマが出没したのです。登山道の一部は今も通行禁止となっています。

登山客

「別のルートから来る予定だったので(来た)。一応、クマ対策の笛を増やした」

■年の瀬も相次ぐ“クマ出没”

さらに19日も新潟県長岡市で1頭、秋田県大館市で2頭のクマが目撃されました。

未だ冬眠につかないクマ。その異変を目の当たりにしている現場がありました。

取材班が訪れたのは―

冬季休園中の飼育施設、ベア・マウンテン。東京ドームおよそ3個分15ヘクタールの広大な森のなか、自然に近い環境で11頭のヒグマを観察することができます。

今年は2日に今年最後の食事を終え、全頭、冬眠の準備に入りました。

■北海道“眠らないクマ”続出

飼育スタッフが向かったのは、ヒグマが眠る獣舎。その屋上です。

突き出た筒に、耳をあてます。すると―

ベア・マウンテン 坂出 勝 園長

「(クマの呼吸が)ここはだいぶ深い。吸ってから吐くまでが12秒。1分間に2回」

クマがぐっすり。

冬眠中は1分間に2~3回しか呼吸をしないといいます。

ベア・マウンテン 坂出 勝 園長

「クマの場合は冬眠のカテゴリーの一つ、“冬ごもり”という言い方をしている。冬ごもり中は(体温が)3~4度下がり代謝も下がる」

しかし、今年は異変が。17日、獣舎を確認しに行くと…。

ベア・マウンテン 坂出 勝 園長

「起きていますね」

そこには、完全に起き上がっているクマ。

敷布団代わりのワラを前足で手繰り寄せるようにいじっています。

■エサ不足と“別の理由”?

眠らずに、活動しているクマは一頭だけではありませんでした。

リポーター

「完全に起きちゃってますね」

この日、11頭中、実に4頭が目を覚ましていました。

エサ不足が冬眠に影響するともいわれるなか、こちらの施設のクマは十分な食事をしてから冬眠に臨んでいます。

一体なぜ、眠らないのでしょうか。

ベア・マウンテン 坂出 勝 園長

「やっぱり暑い。ここに(獣舎内の)温度計があるが、いまマイナス1度ですね。マイナス4度くらいにならないと、全頭安定して眠らない」

オープンから15年以上、記録をとり続けた結果、こちらのクマは、室温がマイナス4度を下回らないと、冬眠しにくいことが判明したのです。

ベア・マウンテン 坂出 勝 園長

「12月20日前後になると例年だと、しっかり寝てくれる状況になるが、気温が高くてベッド作りがうまくいかず、今は気温が高くて起きている。特に今年は多いかなと思う」

ベア・マウンテン 上岡 真衣 飼育担当

「気温が高くてベッド作りがうまくいかず、この子はわらを細かく切って、ふかふかの布団を作るタイプ」

ベア・マウンテン 上岡 真衣 飼育担当

「気温が高いと結露などができて、水に濡れてしまうなど寝心地がよくないのだと思う」

12月上旬、新得町の平年の平均最高気温は1.7度。今年は5.1度と、3度以上も暖かくなっています。

クマが満足に冬眠できないまま、春を迎えるとどうなるのでしょうか。

ベア・マウンテン 坂出 勝 園長

「きっちり代謝を下げて寝かせてあげないと、春の段階でガリガリになる。実際にうちでは一例だけあった。野生のクマは、やせすぎてエサが無くて眠れなくなると、危険を冒して街に出てでもなんとかエサを得たい」

ベア・マウンテンでは、クマが冬眠しやすい室温、マイナス4度以下を保つため、扇風機で冷たい外気を送り込むなど対策を行っています。

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