「小型化」するサンマ、さらに小ぶりに? 運命左右するのは温暖化
秋の味覚サンマは近年、「小型化」が顕著だ。温暖化が進む将来はさらに小さくなり、旬も秋から冬へずれ込む可能性があると専門家は指摘する。
サンマは日本近海から米国沖にかけて、北太平洋に幅広く分布する魚だ。寿命は2年。エサが豊富な冷たい北の海へ回遊して成長し、産卵のために南下する。
将来、サンマの運命を大きく左右する恐れがあるのが海の温暖化だ。
東京大学大気海洋研究所の伊藤進一教授(水産海洋学)は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動シナリオをもとに、サンマへの影響を予測する研究を進めている。
コンピューターシミュレーションによると、このまま温暖化が進んだ場合、今世紀末には、サンマの体長が1990年代までの平均値に比べて2・5センチ小さくなり、体重は40グラム減る結果になった。
なぜ、そんなことが起きるのか。
温暖化が進み、冬になっても海面が十分に冷やされなくなると、海の深い場所と浅い場所で海水の循環が弱まる。その結果、海の表層へ供給される栄養分が減り、プランクトンの減少がサンマの小型化を招くという。
現在の状況について、伊藤さんは「私の予想よりもはるかに早く、サンマの小型化が始まっている」と指摘する。
さらに、シミュレーションによれば、サンマが産卵のために南下する時期が遅くなり、サンマの漁期は秋から冬へずれ込むという結果が出た。
自身の研究結果について伊藤さんは語る。「サンマが秋の味覚でなくなってしまうのは、寂しいことです」