シベリア永久凍土で凍結、4万6000年前の線虫の蘇生に成功

シベリア永久凍土で凍結、4万6000年前の線虫の蘇生に成功

ドイツやロシアの研究チームはこのほど、約4万6000年前にシベリアで凍結した線虫を蘇生させることに成功したと明らかにした。4万6000年前といえば、ケナガマンモスやサーベルタイガー、巨大ヘラジカが地球上をうろついていた時代だ。

この線虫はこれまで知られていなかった種。今回の研究に関わった独マックスプランク分子細胞生物学遺伝学研究所の名誉教授によれば、線虫は「クリプトビオシス」と呼ばれる休眠状態にあり、シベリアの永久凍土の地下40メートルで生き延びていたという。

クリプトビオシス状態の生物は水や酸素が全くない環境に耐えることができ、高温や凍結、極端に塩分濃度が高い状態にも耐えられる。この間、生物は「死と生の間」にいるような状態で、代謝率は検出不可能な水準まで低下するという。

名誉教授は「生命を停止させ、また最初から始めることができる。これは大きな発見だ」と指摘。以前にこの状態から復活させた生物が生存していた期間は数千年ではなく、数十年だったとも言い添えた。

ロシア土壌科学物理化学生物問題研究所の研究チームは5年前、シベリアの永久凍土で2種類の線虫を発見した。

研究チームの一人がこのうち2匹に研究所内で水を加えたところ、復活させることに成功した。その後、さらなる分析のため、ドイツの実験室に約100匹を持って行った。

線虫を解凍した後、研究チームはサンプルに含まれる植物性物質の放射性炭素分析を行い、4万7769~4万5839年前から解凍されていなかったことを確認した。

ただ、それでもこの線虫が既知の種かどうかは分からなかった。最終的にはドレスデンとケルンの研究者が行った遺伝子解析により、新種に属することが判明。研究者は新種を「パナグロライムス・コリマエニス」と命名した。

研究者は今回の新種が休眠状態を生き抜くために、これまで科学研究で多用されてきた線虫のC.エレガンスと同じ「分子のツールキット」を利用していることも突き止めた。どちらの種もトレハロースと呼ばれる糖質を作っていて、これにより凍結や乾燥への耐性を得ている可能性がある。

研究グループのリーダーは、同じ生物化学の経路が大昔の種でも使われていることがわかるのは非常に印象的だと発言。「進化の中でいくつかのプロセスは深く維持されていることを意味する」と述べた。

また、こうした種を研究することは保全生物学に知見を与え、他の種の保護などにも役立つとも語った。

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