月面着陸失敗、アイスペース袴田CEO「達成できないと確定」

月面着陸失敗、アイスペース袴田CEO「達成できないと確定」

 日本の宇宙企業アイスペース(東京)の月着陸船が26日未明、月着陸に挑んだが、着陸直前に通信が途絶えた。同社はその後、「月面着陸は達成できないと判断した」と発表し、民間企業として世界初を目指した月着陸は失敗した。

 同社の袴田武史・最高経営責任者(CEO)は同日午前、東京都内で開いた記者会見で、「通信の確立ができないということで、月面着陸を達成できないことが確定した」と述べた。

 その上で、「着陸するまで通信が確立し、データを獲得できているのは非常に大きな達成。着陸の成熟度を上げる作業ができるので、次に向けた大きな一歩」と強調した。2024年に予定している次回の月着陸船打ち上げ計画などに経験を生かすとした。

 同社が開発した無人着陸船は、幅2・6メートル、高さ2・3メートルで、重さは340キロ・グラム。月上空100キロ・メートルを回っていた着陸船は約1時間かけて、ガスの噴射で減速しながら、「アトラスクレーター」(直径約87キロ・メートル)近くの「氷の海」と呼ばれる場所に同日午前1時40分頃に着陸する予定だった。

ispace月面着陸失敗 「高度の情報に問題」で燃料切れか

 世界初の民間月面着陸を目指した着陸船が、着陸を達成できなかったことについて、アイスペースの氏家亮・最高技術責任者(CTO)は記者会見で、着陸船の高度の情報に問題があり、燃料切れを起こしたことが原因との見解を示した。「途中で燃料を過剰に使ったのではない」と説明した。

 氏家氏によると、着陸船が測定した高度よりも、実際の高度のほうが高く、正しい高度を認識できていなかったとみられる。このため、実際に着陸するよりも手前で燃料が尽き、自由落下した可能性があるという。

 着陸船はアラブ首長国連邦の探査車など七つの積み荷を載せていたが、この積み荷についても、月面に降ろすことは難しいと説明した。

失敗続きの日本の宇宙開発 先行きは…

世界の宇宙ビジネスが進展する中、月着陸に挑んだものの、着陸に至らなかった宇宙ベンチャー、アイスペースの月着陸船。官民を含めた日本の宇宙開発、宇宙ビジネスは「順調」なのだろうか。

ロケット打ち上げは失敗が続き、日本の宇宙開発の先行きは不透明なままだ。

昨年10月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型固体燃料ロケットイプシロン6号機の打ち上げに失敗。今年3月には、日本の次世代大型ロケット「H3」の初号機打ち上げが中止の上、再挑戦した打ち上げで失敗に終わった。イプシロンは、配管の詰まりが原因とみられ、姿勢制御に用いるガスジェット装置が機能しなかった。H3はエンジンの電気系統に想定外の大きな電流「過電流」が発生したことが原因と考えられている。

これらの影響で、国産ロケットの打ち上げは「見合わせ状態」にある。

また、探査機の打ち上げでも、日本初の月面着陸を目指していた超小型探査機オモテナシは、打ち上げ後に通信が回復せず制御不能となり月着陸を断念した。

宇宙ビジネスは、今後約20年で150兆円近くへの市場規模の急拡大が予測される。民間との連携、移管に舵を切る米国は、ロケット打ち上げ失敗を繰り返しながらも成長を続ける米宇宙開発企業スペースXなど、自国企業の育成に余念がなく、世界の宇宙産業をリードする。失敗が続き、そこからの立ち直りが遅い日本とは対照的でもある。

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