ティム・クックはなぜ「破産寸前だったApple」に入ることにしたのか?

ティム・クックはなぜ「破産寸前だったApple」に入ることにしたのか?

AppleのCEOであるティム・クック氏は、自身のことを語らない人物として知られてきました。

そんな彼が、「GQ」が先日行なったインタビューでは、これまで口にしてこなかった私生活や成功、トップに登り詰めるまでの道のりなど、多くのことを語っています。

なかでも、読者が興味を抱かずにはいられない告白の1つは、彼が下した「Apple入社」の決断についてでした。なにしろ、当時のAppleは破産の危機に瀕していたのですから。

クック氏はなぜ、そんな決断を下したのでしょうか? その答えは驚くに値しません。彼にそうさせたすべての理由は、いまは亡き元上司のスティーブ・ジョブズ氏にあったのです。

ジョブズ氏に会ったクック氏は、「稀に見る創造性をもつ天才の下で働きたい」という思いに取りつかれてしまったそうです。

その当時、クック氏が会ったCEOは、「カフスボタン」タイプばかりでした。つまり、世の中を変える優れた製品をつくっている現場の人間とは接点を持たない人たちがほとんどだったのです。

クック氏を決断させたのは、つまるところ、ジョブズ氏の姿勢でした。その姿勢についてクック氏はインタビューのなかで、非常にシンプルに説明しています。

彼は本気で世界を変えたいと思っていました。

クック氏はこのようにも言っています。

シリコンバレーでよく耳にする、相手に魔法の粉をふりかけるような語り口ではありませんでした。

あの人は本気で世界を変えたいと思っていました。

私はそれまで、そんなCEOに会ったことがなかったのです。

1998年に「世界を変える」ということ

約50年前に発売されたApple初の箱型コンピューターから、iPhoneに至るまで、ジョブズ氏は、消費者が求める製品を、消費者自身がそう思う前から、半ば予言的に鋭く見抜く力を持っていました。ジョブズ氏は、彼の世代のヘンリー・フォードであり、トーマス・エジソンでした。

そして、そのパーソナリティから生まれる魅力が、Appleに大きな影響を及ぼすようになりました。ジョブズ氏の早すぎる死は、尊敬を集めるヒーローとしてのそのステータスを結晶化しました。そのレガシーはこれからも生き続けていくことでしょう。

最大のライバルだったビル・ゲイツ氏でさえ、こう言っています。

スティーブが持っていたような絶大な影響力をもつ人物は、ほとんどいません。

彼の影響力は、今後何世代にもわたって、その効果を及ぼしていくことでしょう。

彼と仕事する幸運に恵まれた我々にとって、そうできたのはとてつもなく名誉なことです。

もうスティーブに会えないかと思うと、本当にさみしいです。

いつも穏やかで控えめなクック氏が、頑固でいっしょに働きづらいボスとして有名だったジョブズ氏の下で働く道を、ためらうことなく選んだ理由がわかりますよね。

いまでこそ、テック企業のリーダーが「世界を変える」とリップサービスすることが、半ば決まりごとになっていますが、1998年当時に、コンピューターメーカーの創業者やCEOが「世界を変える」と公言するのは革新的なことでした。

クック氏は、ジョブズ氏のその言葉に魅了されたのです。

ジョブズの教え──フォーカスとは「No」

ジョブズ氏はその生涯にわたって、ビジネスの重要な教訓を人々と分かち合いました。

そんな彼からクック氏も、いろいろなことを学びました。そのなかの1つが、一部のプロジェクトをあきらめて、「これだ」と思えるプロジェクトに全力を傾けるジョブズ氏の能力でした。

ジョブズ氏が(そしていまはクック氏が)、自身の目標を達成し、現代社会に欠かせない製品で世界を変えられたのは、この能力のおかげかもしれません。

少し調べてみればわかりますが、ジョブズ氏は、フォーカスすることを重視していました。雑音を締め出して、いちばん大事なことに時間とエネルギーを注ぎ、それを無我夢中で追い求めるやり方です。

このビジネス哲学こそが、イノベーションに対するAppleのアプローチの青写真であり、それがいまではジョブズ氏からクック氏へと受け継がれています。

ジョブズ氏は、それをこう表現しています。

フォーカスは一般的に、こう考えられています。

フォーカスしなければならないまさにそのことに「イエス」と言うことがフォーカスだと。

ですが、そうではありません。フォーカスとは、ほかにいくつもある優れたアイデアに「ノー」と言うことなのです。

どれを選ぶかに注意を払わなければなりません。

私は、自分が成し遂げたことと同じぐらい、成し遂げなかったことにも、心から誇りを持っています。

ジョブズ氏が誇りに思うのは当然です。彼が「ノー」と言ったアイデアのおかげで、Appleは破産を免れました。そればかりかAppleは、世界最大で世界一の価値を持つ上場企業へと生まれ変わったのです。

何らかのかたちで世界を変えたいという人生の大目標があるのなら、その達成を大きく左右するのは、このシンプルなモデルかもしれません。

つまり、フォーカスを保ち、できるだけ物事をシンプルにして、心から夢中になれるものを追い求めることです。

それを貫けた時にどれだけのことを達成できるかに、あなたも驚かれるかもしれません。

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

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