ティム・クック、ジェフ・ベゾス…世界の著名CEOがあえて「沈黙の時間」をつくる理由

ティム・クック、ジェフ・ベゾス…世界の著名CEOがあえて「沈黙の時間」をつくる理由

話さずにはいられない、黙っていられないほどの衝動を感じる「トーカホリック(Talkaholic)」。

多く話す人は他人の注目を集めて成功者となる…と思われることもありますが、実際には世界的成功者はその真逆。彼らは沈黙を取り入れることが多いようだと、TIMEでは指摘されています。

トーカホリックな人の特徴を取り上げた前回に続いて、今回は世界の著名CEOたちが意識的に実践している沈黙の習慣の例を取り上げつつ、沈黙がもたらす効果と、円滑なコミュニケーションのためのヒントをお届けします。

現代の偉人たちが実践する「能動的な沈黙習慣」

世界的成功者の代表としてまず名前が挙がったのは、Appleのティム・クック。

ティムのこの「気まずい沈黙をする」傾向はInc.でも取り上げられており、質問されてもすぐには答えず、長く沈黙して答えを熟考することで知られています。

また、ジェフ・ベゾスは、ミーティングの冒頭に30分かけて静かに印刷されたメモを読む時間をとることで知られています。

Inc.の記事では、このような沈黙時間は、即時にやりとりするコミュニケーションが当たり前になった今、考えるための時間を得るために重要なものだと述べています。

熟考のためのポジティブな沈黙

相手を否定しない会話術を取り上げたこちらの記事では、反射的に相手に反応する代わりに、能動的に黙る習慣と、相手の話が終わってから2カウント待つ習慣を取り入れることを推奨しています。

こうした沈黙時間は、慣れない人や周りの人にとっては「気まずい」ものかもしれません。

でも、本人にとっては熟考して意図的に会話をするための重要な沈黙です。それは、能動的な沈黙だと呼べるでしょう。

「何も言うことがない」「無関心」などの消極的な沈黙ではなく、また、感情に任せて即座に反射的に答えるのではなく、思考のための沈黙だと理解してもらうことができれば、沈黙を気まずいとかネガティブだと思うことは少なくなるはず。

お互いが「能動的沈黙」を理解して実践していけば、いわゆる「売り言葉に買い言葉」のようなやりとりを避けることもできるのではないでしょうか。

ポジティブな沈黙を取り入れ、一方的なコミュニケーションに終止符を

アメリカに住む筆者が、日米での暮らしで感じている違いの1つに沈黙に対する受け止め方があります。

日本と比べて、アメリカでは沈黙はネガティブに受け止められている印象なのです。沈黙になると気まずくなって、誰かがどうでもいい話をしはじめることがしばしばあります。

また、これは他人同士でさえも時々あります。たとえば列に並んでいる時など、一定の時間を同じ場所で過ごす際、会話をするのが当然と思っているような人や、話さずにはいられないような人に遭遇したことも(それ自体は悪いことではありませんし、そのような会話が楽しいこともありますが)。

英語で「(誰かと)話す」は「talk to (someone)」や「talk with (someone)」と言いますが、実はもう1つおもしろい表現があります。

それは、「talk at (someone)」。これは、対話というよりは、一方的に相手に自分の話を聞くことを押し付けて、相手が相槌を打つことさえできないほど話を続けるような場合を指します。

聞き手のことを考慮せず、衝動的に話をしてしまうトーカホリックは、まさしくこの「talk at anyone, anytime, anywhere」の極めつけ。

そこまで極端ではなくても、自分が話しすぎているかもと思ったら、現代の偉人の「能動的沈黙」の習慣を意識して、思考を促すほんの短い時間を取り入れてみる。そうすることは、最終的には周りの人のためにもなるはずです。

筆者も、つい相手の言動に反射的に反応してしまう(react)ことがありますが、その代わりに能動的沈黙を取り入れて、しっかり考えてから意図的に対応(respond)するように努めたいと思います。

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