アップルのサプライヤー、米国製造拠点を続々追加 鴻海やTSMC、クアルコム、ソニーなど

アップルのサプライヤー、米国製造拠点を続々追加 鴻海やTSMC、クアルコム、ソニーなど

米アップルのサプライヤーが米国で製造拠点を増やしていると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。

アップルがこのほど公表した2021会計年度サプライヤーリストによると、21年9月時点で米国に製造拠点を構えていたサプライヤーは、約180社のうち48社で、1年前の25社からほぼ倍増した。カリフォルニア州には30を超える拠点があり、1年前の10拠点未満から3倍以上に増えた。

半導体大手の米クアルコムや半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)、電子機器受託製造サービス(EMS)大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業、イメージセンサー大手のソニーグループといった主要サプライヤーは、21年9月末までの1年間に米国の生産拠点を増やした。

このリストには、アップルが各社とどれだけの規模の取引をしているのかや、サプライヤー各社の業務内容についての説明はない。だが、リストからは2つの最新動向がうかがえるという。

1つは、アップルが依然として東アジア、特に中国に大きく依存している点。約150社のサプライヤーが中国で事業展開しており、リストには半導体やディスプレー、モーター、カメラ部品などの電子機器部品を供給する中国、韓国、日本の企業が網羅されている。

米拠点の重要性高まる

2つ目は、米国の拠点数は依然として少ないものの、より重要な役割を担うようになってきた点。

サプライヤーの関係者によると、カリフォルニア州での事業は、中国の大規模工場のようなものではない。小規模な生産ラインや新製品のテストライン、あるいはサービス関連業務として利用される傾向がある。

しかし、サプライヤーにとって、アップル本社近くに拠点を構えることはメリットがある。特に新製品の材料や部品のテストに関連する業務では重要な役割を果たすという。

きっかけは中国政府の厳格な入国管理

新型コロナウイルスの感染が拡大する前、アップルは米国から毎月数百人の技術者を中国に派遣し、同社製品を手がけるEMS企業の業務を監督していた。だが感染が拡大すると、中国政府の厳格な入国管理の下、それまでのように自由に行き来できなくなった。 

中国政府によるビザの発給制限や入国時の隔離措置などを懸念し、多くの企業が、出張や駐在を目的とする社員の中国渡航を躊躇するようになった。

アップルはライブ配信などの技術を駆使してこれに対処した。例えば、カリフォルニア州の本社スタッフが、工場の製造現場で起きていることをリモートで追跡できるようにした。タブレット端末「iPad」を利用して現地と連絡を取り合うようにしたほか、AR(拡張現実)技術を使い、本社の技術者が工場内の問題を把握できるようにした。

しかし、対面でなければできない業務も多く、サプライヤー拠点の米国進出が求められるようになった。

中国依存脱却で米やインド、ベトナムへ

一方で、バイデン米大統領は22年8月、米国内における半導体の生産や研究開発に520億ドル(約7兆6600億円)超の補助金を投じる法案に署名し、法を成立させた。

補助金は米国内で半導体の新工場を建設する企業に支給され、米企業のほか外国企業も対象になる。こうした米政府の動きも、東アジアのサプライヤーが米拠点の役割を強化する理由だと、関係者は話している。

こうした動きはサプライチェーン(供給網)のより広範な最新動向の一環だとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。アップルはサプライヤーに対し、中国以外の拠点で生産を拡大するよう要請している。これを受け、生産拠点の一部をインドやベトナムなどに移管する動きが出ている。

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