理研、定説覆す「暗黒の細胞死」発見 細胞置き換わりの新現象

理研、定説覆す「暗黒の細胞死」発見 細胞置き換わりの新現象

 生き物の臓器などは、機能や形態を維持するのに、老化したり傷付いたりした細胞の置き換わりが欠かせない。この際の細胞が死ぬ現象の新たなパターンを、ショウジョウバエを使った研究で明らかにしたと、理化学研究所などのチームが26日、米科学誌プロス・バイオロジー電子版で発表した。定説を覆す新たな細胞死で、この現象が起きる部分が真っ黒いことから「エレボーシス(暗黒の細胞死)」と命名された。

 動物の体内では、特に腸や皮膚といった新陳代謝が盛んなところでは、多くの細胞が置き換わる。腸では「アポトーシス(細胞の自殺)」という現象が起きていると考えられている。しかし、研究チームは腸でアポトーシスを起こしている証拠が少ないことから、この定説を疑問視していた。

 そこでショウジョウバエを使い、腸を含めた体内でアポトーシスを止める操作をした。もし、腸でアポトーシスが起きているのであれば、この操作によって細胞の置き換わりが止まるはずだが、止まらずに健全性が保たれることを突き止めた。別の細胞死が起きていることを示しており、詳細に調べてみると、腸内の一部に、たんぱく質の分解機能を持つ酵素が発現している細胞を見つけた。

 この細胞を観察すると、通常とは異なり潰れたような形をしていた。細胞内の小器官が失われ、死にゆく過程であることが分かった。細胞を光らせて細かく観察しようとしても困難で、その部分だけ真っ黒に見えることから、古代ギリシャ語で暗黒を指す「エレボス」からエレボーシスと名付けた。この細胞の周りには、腸の新しい細胞になる幹細胞が集まり、置き換わることが観察されたという。

 細胞死はアポトーシスに加え、細胞が壊死(えし)する現象「ネクローシス」と、細胞の自食作用という現象「オートファジー」の三つに大別されている。今回発見した現象は、いずれとも異なるメカニズムであることが明らかになったという。

 今のところ、詳細なメカニズムや関わる遺伝子などは不明だ。研究チームのチームリーダーを務めるユ・サガン氏は「アポトーシスでは組織に穴があく可能性があるため、腸では別の仕組みがあるのかもしれない。ヒトでも確認されれば、細胞死という現象の枠組みが大きく変わる可能性がある」と話した。

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