Apple、MacをArmベース「独自チップApple Silicon」にA12Z搭載Mac miniを開発者向けに出荷

Apple、MacをArmベース「Apple Silicon」に A12Z搭載Mac miniを開発者向けに出荷

 米Appleは6月23日、WWDC 2020の基調講演で、1984年から続くMacプラットフォームのCPUを、Armアーキテクチャをベースにした自社プロセッサ「Apple Silicon」に置き換える方針を発表した。次のmacOS Big Surで最適化。Mac miniにA12Zプロセッサを搭載した開発者向けキットも500ドルで貸し出す。2020年末にはApple Silicon搭載したMacの製品投入を行い、製品ラインアップの移行を2年かけて行う計画だ。

 対応したXcodeでリコンパイルしたアプリは新プラットフォームでもネイティブで動作するUniversal 2、Intel向けコードで書かれたプログラムをインストール時にApple Silicon向けに変換するRosetta 2など、PowerPCからIntelへの移行時に使われた技術の新世代版が用いられ、仮想化にも対応している。iPhoneやiPad用アプリをネイティブで動作可能なため、デベロッパーのMac対応が容易になるというメリットもある。

 MacのCPUはこれまでMotorola製680x0(1984年)、IBM/Motorola製PowerPC(1993年)、Intel x86(2006年)と変遷してきたが、今回のArmで3回目のCPU入れ替えとなる。

 Arm(元々はARM)の成立にはAppleが関わっていた。その経緯は連載「RISCの生い立ちからRISC-Vまでの遠い道のり」の最新回に詳述している。

 Appleは最初期のPDA(Personal Digital Assistant)であるNewton MessagePad(1993年)に低消費電力で動作するARM(当時の呼称)プロセッサを採用。プロセッサ設計を行う企業ARM(Advanced RISC Machine)が設立されるとAppleはその主要株主となった。

 AppleがArmに“復帰”するのはiPhone(2007年)から。2013年の「A4」からはArmアーキテクチャをベースにした独自設計のプロセッサを自社のモバイル製品に使うようになった。現在はタブレット(iPad)、セットトップボックス(Apple TV)、スマートウォッチ(Apple Watch)が自社設計のArmベースプロセッサを搭載している。

 PCのArmアーキテクチャ採用では米Microsoftが2012年にWindows RTを搭載したSurfaceを発売し、2019年にもWindows 10でIntel x86アーキテクチャと互換性を持つSurface Pro Xを投入した。Surface Pro XにはArmアーキテクチャの独自プロセッサSQ1を搭載している。

Mac miniに独自チップ「Apple Silicon」を搭載--アップル、500ドルの開発者向けプログラム

 Appleは6月23日、年次開発者会議Worldwide Developers Conference(WWDC)で消費電力が少なく高パフォーマンスを実現する独自チップ「Apple Silicon(Appleシリコン)」を発表した。

 これに伴い、開発者向けにQuick Start Program(500ドル)を立ち上げた。登録すると、A12Z Bionic System on a Chip(SoC)を搭載したMac miniとmacOSの次のメジャーリリースとなるmacOS Big Surの開発用ベータ版、Xcodeをセットにした「Developer Transition Kit(DTK)」が利用できる。DTKは返却が必要だとしている。

 なお、Intelプロセッサ移行時に行われた同様の開発者プログラムは999ドルだった。

 このほかにも資料やサンプルコードが提供され、developer.apple.comのフォーラムやDTSの優先サポートインシデント、世界中のラボへのアクセスも可能になるという。DTKもプログラムに含まれ、開発者は量産品が出荷される前に開発にとりかかれる。

 Appleの最高経営責任者(CEO)であるティム・クック氏は、「今日はMacの歴史が変わる歴史的な日。Macを新しい段階へ飛躍させる大きな変革の話をする」とし、Apple Siliconを搭載したMacに移行することを説明した。

 今回のApple Siliconは、AppleにとってPowerPCの採用、Mac OS Xへの転換、Intelへの移行に続く大きな変革になる。

 Appleは、「ハードウェアとソフトウェアの統合はすべての基本であり、プロダクトが素晴らしい理由。シリコンはハードウェアの“核”」と語る。シリコンとソフトウェアの統合がアップルの強みだ。

 今回発表したmacOS Big Surにより、Apple Siliconへの移行をユーザーにも開発者にとってもスムーズにし、Macのパフォーマンスも今まで以上に進化できるとした。2020年末までにApple Siliconチップを搭載した最初のMacを出荷し、2年ほどで移行を完了させる計画としている。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏