月が地球から遠ざかる45億年の歴史を見るアニメ…JAXAの研究者が作成

月が地球から遠ざかる45億年の歴史を見るアニメ…JAXAの研究者が作成

  • 月は地球から1年に3.8cm遠ざかっているが、その後退速度は時間とともに変化している。
  • 惑星科学者のジェイムズ・オドノヒュー氏が制作した新しい動画は、地球に迫るマグマの塊から、現在の遠く離れた冷たい岩へと、月が45億年かけて移動していく様子を映し出している。
  • 月の最も速い後退速度は、超大陸の分裂や氷河の大量融解など、地球上の大規模な地質学的変化と一致している。

月は少しずつ我々から遠ざかっている。

約45億年前、火星ほどの大きさの物体(または、より小さな物体の集まり)が地球に衝突し、地球の地殻の一部を分離させた。それらは地球の周回軌道に行き、最終的に合体して月を形成した。マグマの海に覆われていた溶岩の塊であるこのできたての月は、現在よりも16分の1の距離にあった。

月は冷えていくと同時に後退し、何万キロも離れたところまで行った。新しいアニメーションでは、このプロセスがこれまでにないほど明確に描かれている。

制作者のジェームズ・オドノヒュー(James O'Donoghue)氏は日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で惑星科学者として働いている。同氏はBusiness Insiderに対し、月の誕生の正確な画像を作成することに着手したが、夢中になり、その歴史全体をアニメーション化することになったと述べた。

この動画は、月の現在の位置から始まり、月の誕生まで時間を遡り、地球からの距離、地球に対する見かけのサイズ、時間の経過に伴う後退速度を示している。

オドノヒュー氏によると、このような科学的アニメーションの作り方を学んだのはつい最近のことだという。最初の仕事は土星のリング消失に関するNASAのニュースリリースだった。その後は、光の速度が非常に遅いことなど、理解しにくい宇宙の概念をアニメーション化する作業に移った。

「私のアニメーションは、伝えたいことの全体像が、できる限り、ひと目で分かるように作っている」とオドノヒューは以前、Business Insiderに語っている。

「試験の時、理解するために複雑な概念を手書きで描いていた。私が今ここでやっていることはそれと同じだ」

月の後退速度は一定ではない

現在、月は地球から年間約3.8cm離れていっている。科学者たちが「月の後退」と呼ぶこの動きの速度は一定ではない。月は年間20.8cmで移動を開始し、その後は0.13cmから27.8cmの間で変動している。

オドノヒュー氏は、「私は先日まで、過去の月の後退速度がどれだけ違っていたかを理解できなかった」とし、「これは私が今までに作った中で最も研究されたアニメーションだ」と述べた。

しかし、ビデオではすべての後退速度を見ることはできない。なぜなら、それは何百万年もの間に、急速に変動するからだ。

「見ている人が読み取ることができない値の変化を回避するために平均的なレートを使っている」と彼は言った。

月の移動速度の変動の多くは、月への隕石の衝突と地球上の大規模な地質学的変化に起因する。

このような出来事は、月の後退速度の3度の急上昇と同時に起こった。

そのうちの一つは、潮汐を示す最も初期の証拠のいくつかとほぼ同じ時期、約32億年前に現れた。当時、月は年に6.93cm後退し始めた。

同様に、約9億年前、月は流星の衝撃を受け、後退速度が年間7cmに跳ね上がった。超大陸ロディニアが地球上で分離するにつれ、この速度で競争を続けた。

2番目の急上昇は約5億2300万年前のことだ。氷河期と温室の状態の間の何百万年もの変動の後、地球上で生命が爆発していた。その時、月は年に6.48cm後退した。

地球の気候変動が月の後退に影響を与える理由は、氷河の形成と融解が海に影響を与え、それが月に影響を与えるからだ。

月の重力が海水を引き寄せ、月に向かってわずかに伸びる「潮の満ち引き」が起こる。地球は月の公転よりも速く自転するため、ふくらみが回転して遠ざかると、月も引き寄せられる。すると地球の自転が遅くなる。このような動きによって、月の公転速度が早くなり、軌道が外側に膨らんでいくことになる。

そこで研究者たちは、太古の潮汐の痕跡に注目し、さまざまな時期に月がどのくらいの速度で後退したかを調べている。

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