X-Pro3はなんと隠し液晶。富士フイルムが「そろそろ写真撮れ」と言っている

X-Pro3はなんと隠し液晶。富士フイルムが「そろそろ写真撮れ」と言っている

富士フィルムがやばいカメラを作っているみたいです。

フジユーザー待望の「X-Pro 3」が開発発表されました。 X-Proシリーズといえば、クラシックな見た目、光学・電子ビューファインダー両方を切り替えて使える「ハイブリットビューファインダー」で有名。誤解を恐れずにいえば限りなくフィルムカメラに近いデジタルミラーレス一眼で、一度使えば銀塩時代からの写真好きもデジタル世代も恋い焦がれるかもしれない、という感じのカメラです。

でで、それの3世代目がお披露目されたわけです。いや、でもこれは思ってたやつとちょっと違う(笑)

なんと、背面にモニターが見当たりません。あるのは露出情報を表示する小さな液晶だけ。

撮った写真はどこで確認するのかというと、手前にパカっと。開いた内側にチルト液晶モニターが付いてます。

そしてこれ、モニターを表にして畳むことができないんです。200度下にチルトして開くだけ。 

一応、モニターでライブビューしながら撮影することはできるみたいですし、写真も確認できます。どういうことでしょう。よくある「撮った写真をすぐ確認できなかったあの、フィルム時代の感覚で撮れ!」と言ってるわけではないみたい。 

その気になれば撮った写真も確認できるし、ライブビューもできる。でも、それをやるのがめちゃめちゃ面倒くさいカメラになっています。一見すると「変態カメラ」なんて言われそう。

X-Proシリーズは楽しさを思い出させてくれるカメラ

金曜日の深夜の頭で僕なりに富士フイルムのメッセージを受け取ったのですが、どうやら「お前らそろそろ写真撮れ」って言ってるみたいです。写真と言やぁ、被写体見つけて、ファインダーのぞいて、シャッター押す。そうだろ? それがピュアフォトグラフィーだろ? 余計なことは考えるんじゃねぇ、と。

たしかにデジタル時代のカメラって、撮るまでに目に入ってくる情報量が多すぎるんですよね。電源入れたらまず背面モニターが点灯するんですから。水平器やらガイドやらヒストグラムが出て、手ぶれ補正がどうのこうの。

でもさ、街を街いてて、撮りたいものがそこにあったらそんなの関係ないよね? はやく撮りなよ。ファインダー覗いてさ。って言ってるんだと思います。たぶん。 

思えば、X-Proシリーズは初代も2もそんなカメラでした。富士フイルムだってX-Tシリーズとか、X-H1とか、新しい技術を取り入れたフラッグシップを出しています。でも新ラインナップの始まりはいつだってX-Proシリーズ。そしてエッジ技術モリモリカメラというより、「本当に写真が撮りたくなるカメラ」を出してくれるんです。

僕は大学時代、叔父さんにA-1というキヤノンのフイルムカメラを譲ってもらって、写真に目覚めました。ダイヤルをくるくる回してフィルム巻いて準備OK。あとは撮りたいものを、ファインダー覗いて、撮る。それが楽しくてしょうがなかったです。

そんなときにヨドバシカメラのポスターで見たのがX-Pro1。他のメーカーのデジカメでは見たことない、フィルムカメラみたいなダイヤルがいっぱいついてました。それだけで、「あ、俺社会人になったら富士フイルムにしよ」って思ったんですよね。直感的に「あのカメラなら絶対楽しい」って感じたんです。この気持ち、大事にしたい。

なんか話が逸れましたが、とにかくX-Proシリーズって定期的に「楽しく写真撮ろうよ」って誘ってくれるんですよね。今回もフルサイズミラーレスや高画素戦争に疲れてきた僕たちをうまいこと誘ってくれてる気がします。僕、X-Proシリーズは買ったことないんですけど、今回はお誘いに乗ってみようかな。

…いや待て、これ軍艦部が全部チタン製ですわ…! 一体いくらするんですかぁ!

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富士フイルム「X-Pro 3」レビュー:ストリート・フォトグラファーへのラヴレター

細かいことは気にせず、街に出てシャッターを切ろう! 

今の世の中、人々は写真の編集、共有、投稿に力を入れすぎてしまい、単純にカメラを握って街に出たり、狙った瞬間を切り取ったりすることを楽しむ姿勢を忘れがち。

しかし、富士フイルムは新しいX-Pro3を使って、昔ながらのレンジファインダーと最新のミラーレス・カメラの便利さを融合させ、僕たちが忘れそうになっていた大事なことを伝えようとしています。

X-Pro3は、その名の通り、2012年に16メガピクセルのX-Pro1、2016年に24メガピクセルのX-Pro2に続く3番目のレンジファインダーとなります。今回富士フイルムは、X-Pro2にあったOVFの倍率を拡大できる機能を廃止し、倍率固定のファインダーとしました。

さらにチタン製ボディーを採用することで耐久性を高め、X-Proシリーズの合理化を図っています。これらの変更はX-Pro3の耐久性を延ばすことに繋がるはずで、このシリーズにおいては重要なことと考えられます。何故なら、富士フイルムは一部の兄弟製品ほど積極的にX-Proシリーズの刷新を行なっておらず、新型モデルの発売までに通常3~4年かかるからです。

Proシリーズといえばハイブリッド・ビューファインダー

1,800ドル(日本では21万4500円から)のX-Pro3を語るには、おなじみの0.52倍率の光学ファインダー(OVF)と、369万OLED電子ファインダー(EVF。X-Pro2は液晶でしたが有機ELになりました。)を組み合わせたハイブリッド・ビューファインダーから始めなくてはいけません。

光学ファインダーはカメラを通してありのままの世界を見る自由が得られます。そしてカメラの前面にあるレバーをカチッっとすれば、EVF(電子ビューファインダー)に切り替えて写真の露出と構図をリアルタイムで見ることができます。加えて光学ファインダーの隅に小さな電子窓を表示、両方のビューを同時に見られる第3のモードもあります。

現代っ子には慣れが必要? 

WYSIWYG(目で見たものをそのまま再現)方式のスマートフォンやミラーレス・カメラに慣れている人にとっては、X-Pro3のファインダーで撮影する方法は少し慣れが必要かもしれません。でもEVFで撮像センサーを通した世界を見ながら、OVFで自分が今立っているリアルな世界の空気感も忘れずにいられるというメリットを考えると、富士フイルムのハイブリッド・ビューファインダーは新旧の良さをいいとこ取りした素晴らしい組み合わせと言えましょう。

背面には、通常ならディスプレイが設置されている場所に、新しいe-inkスクリーンがあるのが少し風変わりです。

これは古き良きアナログ・フィルム時代へのオマージュみたいなもので、富士フイルムはカメラが現在どのフィルム・シミュレーションを選択しているのかを、昔のフィルム・ボックスを再現したヴィンテージ風の外観を使って表示しています(昔はここに任意でフィルムの紙箱の蓋をちぎって差し込み、何のフィルムを使っているか表示させていました)。

しかし、それだけではありません。e-inkスクリーンを下にひっくり返すと、「隠れた」3インチLCDタッチスクリーンが現れ、ローアングルショットの撮影、カメラの設定へのアクセス、過去の写真のプレビューに使用できるのです。現時点では、画面を下にして見なければならないのは非常にめんどくさいという声もありそう。また、X-Pro3を普通のミラーレス・カメラのように使おうとしている人にはハードルが高いかも。

写真を撮る喜びを取り戻す

しかし、X-Pro3をソニーのα7IIIのように使おうとすると、やはり的外れになってしまいます。X-Pro3における富士フィルムの目標は、どの写真が正しいかを気にしながら撮るのではなく、写真を撮る喜びを取り戻すことなのです。その場で起こったことを頭に焼き付け、家に帰ったら写真で見直すという使い方なのです。

さらに、実はX-Pro3は最大30fpsで4K動画を撮影することが出来ますが…自分が撮影しているものをうまくモニターする方法がないため、X-Pro3はほとんどスチルカメラ専用機ってことになります。

X-Proには兄弟機X-T3のように26.1メガピクセルのX-Trans CMOS 4センサーと画像処理エンジンX-Processor 4が搭載されているにも関わらず、ヘッドホン出力端子は付いておらず、マイク端子も3.5mmではなく2.5mmなので、動画を撮影するためにこのカメラを購入するのは大間違いです。

しかしX-Proには、-6EV(ほとんど真っ暗闇の状態)まで動作する位相差オートフォーカス・システムのおかげで、X-T3に比べて一段階アップグレードされています。これは、夜に街で撮影したいと思っている人にとって、かなり貴重なものになるはずです。

富士フイルムはX-Pro3用に、「クラシックネガ」と「モノクロームカラー」という2つの新しいフィルム・シミュレーション・フィルターを追加しました。加えて、X-Pro3は10ケルビン単位でのホワイトバランス調整、新しい明瞭度補正、カメラ内HDR処理を搭載。さらにフォーカスリミッターにより、焦点を合わせる距離の範囲を決めてプリセットとして保存しておくことができます。

最後に、X-Pro3をラフに扱えるレンジファインダー・カメラにするために、富士フイルムはチタン製のトップとベースプレートを提供し、デュラテクト・コーティングというオプションで標準のチタンと比べて耐久性を10倍向上することに成功したとのことです。

とにかく撮りまくってみよう

1時間近く、ニューヨークの街中でテスト撮影をしましたが、その短時間でもX-Pro3は冒険を求めているカメラだという感覚を覚えました。

X-Pro3の素晴らしいハイブリッドビュー・ファインダーのおかげで、数十cmごとに立ち止まって構図を決め直すのではなく、歩いて撮影することを後押ししてくれます。当然、どこかで撮影に失敗することもあるかもしれませんが、何か新しいものを探しながら進んでいくだけです。

また、もっとヴィンテージ風の写真にしたいのであれば、e-ink スクリーンは様々なフィルターを切り替えるのに非常に便利であり、Qボタンを使えば必要なほぼすべての設定に簡単にアクセスできることも発見しました。

とはいえ、X-Pro3のグリップがもう少し握りやすければ良いのにと思うこともありました。ただ重量はバッテリーとSDカード込みで500gだったため、X-Pro3がそれほど大きな負担になることはありませんでした。

X-Pro3にはボディ内手ぶれ補正機能は付いていませんが(富士フイルムは、ボディ内手ぶれ補正を採用するにはカメラの高さを少なくとも3~4mm増やし、価格が上がるはずだと主張しています)、それがないことが撮影体験を損なっているとは感じませんでした。写真を撮るという目的のために1,800ドルは高いと思うものの、X-Pro3は、7,000ドル(約76万円)もするライカM10のようなレンジファインダー・カメラよりもずっとお手頃です。

X-Pro3は、市販されている中で最も技術的で洗練されたものではありませんが、とても楽しいカメラです。

富士フィルムX-Pro3は、チタン、ブラック2種のボディーが11月28日から1,800ドル(日本店頭予想価格21万4500円前後)で、また特別なデュラテクト・コーティング(黒または銀)で12月12日から2,000ドル(日本店頭予想価格23万9500円前後)で販売されます。

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