NASA探査車、火星で複雑な有機物発見、メタン濃度の季節変動示す証拠も

火星で複雑な有機物発見、メタン濃度の季節変動示す証拠も NASA探査車

米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査車キュリオシティー(Curiosity)が、火星表面にある35億年前の岩石からこれまでで最も複雑な有機物質を検出した。科学者チームが7日、発表した。火星の生命探査に飛躍的な進展をもたらす発見だ。

 さらにキュリオシティーは、火星大気中のメタン(CH4)濃度が季節変動することを示すさらなる証拠を発見した。これは、メタンの発生源が火星自体で、おそらく火星の地下水である可能性が高いことを示唆している。

 火星のゲール・クレーター(Gale Crater)での掘削調査で採取された複数の化合物は、生命の直接的な証拠ではないものの、キュリオシティーが火星に着陸した2012年以降に火星表面から掘削採取された化合物としてはこれまでで最も多様性に富んだものだと、専門家らは指摘している。

 米科学誌サイエンス(Science)に発表された2件の論文のうちの一つの主執筆者で、NASAのゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)の宇宙生物学者のジェニファー・アイゲンブロード(Jennifer Eigenbrode)氏は「これは重大な意味を持つ発見だ。火星上で最も過酷な環境の一部に有機物質が保存されていることを意味するからだ」と説明する。

「もしかすると、これよりもさらに保存状態の良い、内部に生命の痕跡を含む何かが見つかる可能性もある」と、アイゲンブロード氏はAFPの取材に語った。

 キュリオシティーによるこれまでの探査でも有機物質が見つかっていることが、過去に報告されていた。

■「より大きな何か」への糸口

 アイゲンブロード氏によると、今回検出された化合物は隕石(いんせき)に由来するものか、もしくは地球の石炭や黒色頁岩(けつがん)と同類の地層、あるいは何らかの生物に由来するものである可能性があるという。

 化合物の正確な発生源は、いまだに謎のままだ。

「今回検出されたのは、より大きな何かの断片だ」と、アイゲンブロード氏は述べた。

 サンプルの掘削はゲール・クレーター内にあるシャープ山(Mount Sharp)のふもとで実施された。同クレーターには古代の火星の淡水湖が存在していたと考えられている。

「火星にかつて生命が存在していたとすると、ここはその当時生命が生息するのに適した場所だった」と、アイゲンブロード氏は話す。

 キュリオシティーは火星表面から深さ5センチまで掘削して泥岩のサンプルを採取し、搭載している小型分析室で加熱した、

 サイエンス誌の論文によると、フランス製機器による分析の結果「チオフェン、2-および3-メチルチオフェン、メタンチオール、硫化ジメチルなどの、地球の有機物に富む堆積岩に似た複数の有機分子および揮発性有機化合物」が存在することが明らかになったという。

■メタンは夏に増える

 サイエンス誌掲載の別の論文では、季節によって大きく増減する火星のメタンの発生源の探求に関する最新情報が報告されている。

 3年分の測定データに基づく論文によると、最も単純な構造の有機分子メタンの濃度は、変動範囲が「0.24~0.65ppbで、北半球の夏の終わり近くにピークに達する」という。

 メタンガスは水分子がつくる結晶構造の中に閉じ込められた「クラスレート」と呼ばれる状態で、寒冷な火星表面下に蓄えられている可能性があると、研究チームは述べている。

 サイエンス誌に同時掲載された解説記事は「ゲール・クレーターは約35億年前、生命が発生した当時の初期地球に匹敵する条件を備えた生命存在可能な場所だったことを、キュリオシティーの調査結果は示している」と説明している。

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