富士フイルム、楽しい100歳。松田聖子と富士フイルム 代表取締役会長・CEO 古森重隆

「いつまでも積極的に前向きに人生を楽しめる社会づくりに貢献したい」(古森)

富士フイルム

ホールディングス株式会社

代表取締役会長・CEO

古森重隆

歌手・女優 松田聖子

1980年、『裸足の季節』でデビュー以来、40以上の音楽賞を受賞、シングルチャート24曲連続1位という記録を持つ。歌手としてだけでなく、映画やドラマ、CMなどジャンルを超えてその魅力を発揮。海外にも活躍の場を広げ、2018年春には出演映画『RAMEN TEH』(エリック・クー監督)が公開を予定している。

長年、写真フィルムの研究開発で培った幅広く高い技術力で、認知症薬の開発や再生医療といった最前線の医療分野にも進出している富士フイルムホールディングスの古森重隆会長と、年齢を重ねても自分らしく輝き続ける歌手、松田聖子さんが「楽しく幸せな人生における健康・美」をテーマに対談しました。

古森「楽しい100歳。」という企業メッセージには「健康で長生きしよう」、そして、そのために「みんなが長い老後を生き生きと活動的に過ごせる社会づくりに貢献したい」という富士フイルムの思いが込められています。

松田未来が感じられる素敵なメッセージですね。これから先にまだまだ輝かしい未来が待っているんだと、明るい気持ちになります。

古森「人生100歳時代」といわれ、厚生労働省の発表によると1965年には198人だった100歳以上の高齢者人口が現在約6万8000人にも上り(※1)、今70歳の女性は平均90歳まで生きるとの試算(※2)があります。

そうした超高齢社会では、寿命が延びた分、老いと向き合う時間も長くなります。ただ長生きするのではなく、“健康で長生き”できるようサポートすることが重要になってきます。そのために技術の開発や製品・サービスを提供することは、医療費や介護費を減少させるだけでなく、人々が心身健康で、生き生きと働ける社会の実現にも貢献します。私たちには深くて豊富なケミカル技術や、微細な粒子をコントロールするナノテクノロジーをはじめ、写真フィルムで培ってきた高度な技術や独自ノウハウがある。これらを活かし、「健康寿命を延ばす」という社会課題の解決に貢献していくことが、企業としての使命だと思っています。

X線フィルムの技術を進化させ、世界初のデジタルX線画像診断装置を世に送り出すなど、これまで当社は、ヘルスケア分野では「診断」領域を中心に取り組んできました。近年では、聖子さんにCM出演いただいているアスタリフトなどの化粧品と、サプリメント等の「予防」領域に進出。さらに、抗がん剤・感染症薬などの医薬品開発や、細胞を使って最先端の治療を行う再生医療などの「治療」領域にも事業を展開しています。目指しているのは、「予防・診断・治療」をカバーするトータルヘルスケアカンパニーです。

「いまの自分が一番いいと思えることこそが幸せ」(松田)

松田アスタリフトのCMのお話をいただいた時は、富士フイルムさんはやはり写真の会社というイメージが強かったので、「富士フイルムが化粧品を…!」とすごくワクワクしたのを覚えています。

古森なぜ、化粧品を?と驚かれることが多いのですが、写真フィルムの技術はファインケミカルの極致なので、実は、医薬品や化粧品の開発とは非常に親和性が高いのです。

例えば、写真の色あせを防ぐ抗酸化技術は、肌のシミやシワに着目した機能性化粧品の製品開発にも応用できます。また、写真フィルムの乳剤も人間の肌も主成分はコラーゲン。私たちはコラーゲンの構造や生成メカニズムを熟知しています。

さらに、肌の角層と同じ約20マイクロメートルという極薄の写真フィルムの内部に、光を感じる粒子や色をつくる粒子、画像をシャープにする粒子などを安定的に配置する機能が詰め込まれているんです。その微細な粒子をコントロールする高度なナノテクノロジーが、化粧品の成分を最大限に引き出し、肌にしっかり届けることを可能にしました。

松田私の場合、仕事以外でお化粧をすることはあまりないのですが、洗顔後に信頼できる基礎化粧品で肌を整えて基礎をしっかりつくっていく―。スキンケアに関してはこれが大切だと感じています。

なかでもジェリー状美容液は、透き通る赤いカラーが見た目もとてもきれいで、今までになかった楽しい質感に驚きました。肌がしっとりしてくる実感も早くて、これをつければお肌だけでなく心まで潤っていく感じです。疲れた1日の終わりの肌のお手入れが楽しいと、気持ちも豊かになりますよね。

古森ジェリーの赤いカラーは、赤色色素を持つ成分、アスタキサンチンによるものです。アスタキサンチンは粒子を細かい状態に保つのが難しく、脂溶性のため水と混ざりにくいなどの問題があって、化粧品への活用が進んでいなかった。しかし、当社がその効果を安定的に保ちながらこの物質をナノ化することに成功し、高濃度で肌の奥(角層)まで届けられるようになったのです。

松田心にまで届くスキンケアの裏に、そんなすごい技術があると聞いたときには、私も驚きました。

最近、私の周りにはティーンエイジャーのアスタリフトファンも多く、幅広い年齢層に支持されている印象があります。

私は“ウェルエイジング”という考え方が好きです。年齢に逆らうのではなく、いまの自分が一番いいと思えることこそが幸せ。アスタリフトはそんな私に欠かせません。

「技術力で“究極の治療”、再生医療に挑む」(古森)

古森社会にはまだその病気の治療法が確立していない「アンメット メディカルニーズ」が多くあり、当社はそこへの挑戦を続けていきます。認知症は、医療費・社会保障費用などで世界で年間100兆円のコストがかかっている(※3)と言われていますが、当社は認知症をターゲットにした医薬品の開発の他、がんや新型インフルエンザなど、まだ治療法が確立していない「アンメット メディカルニーズ」に積極的に取り組んでいきます。ミクロな世界での物質の制御技術を駆使した、がんの病巣にだけ届く治療薬などの新薬開発もその一例です。

また、「アンメット メディカルニーズ」への解決策として注目される再生医療分野にも力を注いでいきます。人工的に培養した細胞を使って組織などを再生し、機能を回復させる再生医療は“究極の医療”です。

日本で初めて自家培養表皮という再生医療製品を上市したジャパン・ティッシュ・エンジニアリングや、iPS細胞の開発・製造を牽引する米国のセルラー・ダイナミクス・インターナショナル、更に細胞の培養に使う試薬等を持つ和光純薬工業なども子会社化し、再生医療の産業化への環境を整えてきました。

再生医療を実現するにはiPS細胞など幹細胞の「細胞」を作る技術、それらを培養する「培地やサイトカイン」の技術、そして細胞が増殖するための「足場となる材料」の技術という3大要素が必要です。富士フイルムは自社グループ内にこの3つの技術を持つ会社を保有しています。こうした医療分野の最前線に当社の技術力をもって挑戦していくことで、健康寿命を延ばすことに貢献していきます。

再生医療の3大要素を自社内に保有している

「生活の基本を大切にして、ずっと笑顔で歌っていきたい」(松田)

松田これから先も健康でいるためには、しっかり睡眠をとり、規則正しい生活を心がけて、きちんとした食事をとるといった基本をしっかり守りたいと思っています。

歌うことは全身を使いますし、コンサートではダンスなど体を動かすことも多いので、それがいいエクササイズになっているようです。何より、みなさんに応援していただいて、歌い続けていられるということが、私の元気の秘訣だと思います。

100歳までとはいいませんが(笑)、ずっと、笑顔でいい歌を歌っていくことができたら幸せです。

古森もちろん、私も経営者として最大のパフォーマンスを発揮しつつ、楽しく生きるために、個人の健康管理にも気をつけています。でも、それ以上に、常識や限界にしばられることなく力一杯仕事をして、富士フイルムが社会に貢献し続けられることが、私にとって一番の健康法だと思います。

1. 2017年9月厚生労働省発表資料

2. 2017年3月厚生労働省発表「第22回生命表の概況」

3. ADI「World Alzheimer Report 2015」

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏