豊田章男が嫌う「名刺にも書いてある」言葉、「仕事ができない管理職」の特徴とは?

豊田章男が嫌う「名刺にも書いてある」言葉、「仕事ができない管理職」の特徴とは?

トヨタ自動車の豊田章男氏が、組織の中で問題視していた「3文字の言葉」がある。この言葉が幅をきかせると、現場の声よりも上司の意見が優先されてしまうという。豊田氏の発言と科学的な研究から、管理職が部下の意見を組織の判断に生かすための条件を明らかにする。(イトモス研究所所長 小倉健一)

● この言葉が幅をきかせると 社員は口を閉ざしてしまう

 トヨタ自動車の豊田章男氏が、組織の中で問題視していた言葉がある。3文字で、たいていの会社員の名刺に刷られている。会議でこの言葉が幅をきかせると、社員は口を閉ざしてしまう。

 答えの前に、ひとつの言葉を紹介したい。この文章の意味を少し考えてみてから次を読んでみてほしい。

 「変化が排除された隙間に乱気流は生まれる」

 この文章、もっともらしく聞こえるが、実は意味はない。でたらめな文章を自動でつくるプログラムが生成した文を、日本語にしたものだ。

 アムステルダム大学などの研究チームは、こうした文章に発信者の写真とプロフィールを添えて参加者に読ませた。発信者は科学者か、精神世界の指導者のどちらか。同じ文章でも、科学者の言葉として読む人と指導者の言葉として読む人が出るように組み合わせ、どのくらい信用できるかを7段階で答えてもらった。

 2022年に発表された論文によると、対象は日本を含む24カ国の1万195人。すべての国で、科学者の言葉とされた文章のほうが信用された。日本は両者の差が小さい部類だったが、傾向は同じだった。研究チームはこれを「アインシュタイン効果」と名づけている。

 文章の中身は一字も変わっていない。変えたのは、誰が言ったことにするかだけだ。それだけで評価が動いた。

 似た問題は会議室でも起こりうる。ある案がなぜ採用されたのかと聞かれて、客の要望や使い勝手を説明できるならいい。返ってくる答えが「社長が推していたから」だけなら、案の中身は誰も検討していないことになる。

 もうおわかりだろう。豊田氏が嫌う3文字は「肩書き」だ。

 豊田氏は2020年、中日新聞のインタビューで役員体制の見直しについて語った。その詳しいやり取りを載せたトヨタイムズの記事に、こんな一言がある。

 「『肩書き』で上の人の意見が通ったりするじゃないですか」

 豊田氏によれば、もともとのトヨタは、モノや客、市場にいちばん近い人に発言権がある会社だった。それがいつの間にか、肩書きのある人の意見を聞く会社になっていた。だから上の人には、肩書きを「役割」として使ってほしいという。

 「専門職が報われずに、肩書きを付けた人たちだけが偉そうなのはどうなのかと思います」とも言った。

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