トヨタが認めた真実!アイドリングストップが無くなる!? 新型ヤリスに不採用! エコカー減税、燃費、時代の変化
なぜトヨタやホンダの新車は「アイドリングストップ不採用」なのか…メーカーが燃費より重視すること
アイドリングストップ機能を不採用とする新車が増えている。モータージャーナリストの鈴木ケンイチさんは「15秒以上の停車時間がないと、アイドリングストップによる燃費向上の効果は期待できない。それよりも、各社は『より安くてフィーリングの良いクルマづくり』を目指すようになっている」という――。
ガソリン高騰時代、燃費をどう良くするか
ガソリン価格の高騰が止まりません。
資源エネルギー庁が発表する「石油製品価格調査」を見ると、2023年8月28日時点ではガソリン価格(レギュラー)は185.6円になり、これまでの最高である2008年8月の185.1円を突破して過去最高に。9月4日時点ではさらに高騰し、ガソリン価格は186.5円にまで記録を更新しました。
政府は、2023年9月末までとしていたガソリン価格抑制のための補助金を12月末までに延長しましたが、ガソリン価格の高騰は、まだまだ予断を許さない状況が続きそうです。
そこで考えるのは、クルマの燃費向上でしょう。
クルマの燃費を良くする方法はいくつもあります。たとえば、ふんわりとアクセルを踏む燃費の良い運転の実施もありますし、不要な荷物を降ろしてクルマを軽くするだけでも、燃費は向上します。ラゲッジルームにキャンプ道具を積みっぱなしにしている人は、大急ぎで荷物を降ろすべきでしょう。
2010年代に普及が進んだアイドリングストップ
そして、自動車メーカーによる燃費向上のひとつが「アイドリングストップ」という技術であり機能です。
これは、信号などで一時停止して、エンジン回転がアイドリング(低回転)になると、自動でエンジンを停止するというもの。クルマが停止しているのにエンジンを動かすなんて、燃料の無駄! という考えを実現した技術です。
そのアイデアは古く、1981年のトヨタのコンパクトカー「スターレット」にも採用されています。ただし、昭和の時代は燃費に対する要求がそれほど高くなかったためか、アイドリングストップが普及することはありませんでした。
現実的なアイドリングストップの普及は、ハイブリッドカーが登場して、燃費競争が激化した2010年代以降に進んでいきました。ハイブリッドカーは当然のこと、エンジン車の多くにアイドリングストップが採用されていきます。スポーツカーであるマツダの「ロードスター」にさえ、アイドリングストップはオプション扱いですが用意されていました。
ほとんどのクルマが採用するようになったが…
ちなみに、ハイブリッドカーは、エンジンとモーターという2つの動力源を持っています。その2つの動力源は、それぞれ特性が異なっています。エンジンは低回転で力が出にくく、回転数が増えるほど力が出ます。一方、モーターは低回転で力が出ますが、高回転は苦手。そのためハイブリッドカーは、停車したらエンジンを止めて、発進は低回転の得意なモーターに任せるという方法を採用しています。
ですからハイブリッドカーは、基本的にアイドリングストップを行います。ただし、バッテリーの電気の残量が少ないときは、エンジンを動かしっぱなしにするため、アイドリングストップを行いません。
そして、アイドリングストップを実施すると、確実にクルマの燃費性能は向上します。そのため、最近では、ほとんどのクルマが採用するようになりました。
しかし、アイドリングストップにも弱点があります。
エンジンの再始動に運転手はイライラ
まず、燃費削減になる条件が意外と厳しいということです。一般的には15秒以上の停車時間がないと、燃費向上の効果が期待できないとされているのです。5秒や10秒の停止ではアイドリングストップをやってもやらなくても燃費は変わりません。
また、再始動に時間がかかり、しかも再始動時にブルブルと振動が発生します。そして、何度もエンジン始動を繰り返すため、負荷がかかるバッテリーには高い性能が求められます。燃費向上によってコストが減るどころか、むしろコスト増となってしまうのです。
さらに使い勝手面でも不利。信号での停止ならまだしも、右折しようと停止した時には困りものです。止まったエンジンを再始動させる時間は、アイドリングストップの普及と共に、だんだんと早くなっています。それでも、再始動にかかる時間はゼロにはなりません。
右折しようと、対向車の切れるタイミングを見計らっているときに、すぐに発進できないというのは、正直、ストレスになります。渋滞も同様です。特に、止まったり進んだりという、ノロノロとした渋滞で、いちいちアイドリングストップが働くと、渋滞のクルマの流れにあわせにくくなります。
クルマの進化により「メリット<デメリット」
そして、新しく導入された燃費測定方法も、アイドリングストップには逆風となりました。燃費を測定する方法は、2017年より日本独自のJC08モードから、世界的なWLTCモードに変わっています。新しい測定方法では、より高速域での走行モードが増えていたこともあり、信号で止まるときの燃費悪化が、カタログ数値に出にくくなっているのです。
もちろん、いろいろと弱点はありますが、それでもアイドリングストップがあれば、カタログ燃費は向上します。ただし、その一方で、フィーリングやコストなどのネガティブな部分が存在しているのです。
しかも、エンジンなどが進化して効率が高まれば、相対的にアイドリングストップでの上乗せは小さくなってしまいます。つまり、クルマが進化するほどに、アイドリングストップのメリットが小さくなり、デメリットばかりが目立つようになってしまっているのです。
人気モデルはアイドリングストップ「不採用」
そうしたアイドリングストップへの逆風もあってか、最近になって、アイドリングストップ機能を採用しないクルマが増えています。トヨタの「ヤリス」「ノア/ヴォクシー」「シエンタ」、さらにホンダで言えば「フィット」。どれも各メーカーを代表するような人気モデルばかりです。
実際に、アイドリングストップを不採用とした最新のクルマたちは、どれも非常に燃費性能が優れています。「ヤリス」のエンジン車は、なんと21.6km/L(WLTCモード)もの燃費性能を誇ります。ハイブリッドではなく、普通のエンジン車で20km/Lを超えてしまっているのです。また、ミニバンの「ノア/ヴォクシー」でも15.0km/L(WLTCモード)を達成しています。
カタログ燃費の測定方法は、10・15モードからJC08モード、WLTCモードと新しくなるたびに、内容が厳しくなっています。それでも、コンパクトカーで20km/Lを、ミニバンで10km/Lを超えるというのは、相当に優秀な燃費性能と言っていいでしょう。
もともと燃費性能に優れているのですから、無理にアイドリングストップ機能を付ける必要がないとも言えるでしょう。燃費をほんの少し上げるために、アイドリングストップを付けるよりも、装備せずに、安くてフィーリングの良いクルマにしようというわけです。
燃費向上という役割を終え、淘汰される時代に
また、アイドリングストップが減る要因としてハイブリッドカーの増加も挙げられます。実のところ、今、日本で販売される新車の約半分がハイブリッドカーになっています。2022年1~12月の乗用車の燃料別販売台数(一般社団法人日本自動車販売協会連合会 調べ)によると、ガソリン・エンジン車の販売比率は42.3%。一方、ハイブリッドカーは49%にもなります。
また、電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッドカー(PHEV)はあわせて3.1%、ディーゼル車が5.6%。つまり、ガソリンとディーゼルのエンジン車が47.9%、ハイブリッドと電気自動車、プラグインハイブリッドカーの電動車が52.1%。
つまり、エンジン車よりも電動車が勝っています。そして、電動車はすべて停止時にはエンジンが止まっています(もしくはエンジンがない)。いわばアイドリングストップしているわけです。
そもそもアイドリングストップを必要とするエンジン車も減ってきているのです。
振り返ってみれば、燃費向上のために生まれ、普及したアイドリングストップという技術ですが、徐々にその役割が終わって、淘汰とうたされる時期を迎えようとしているのでしょう。
アイドリングストップが廃止の流れ?理由と効果を解説!
近年、新車でアイドリングストップ機能を搭載しないモデルが増加しています。かつては環境への配慮や燃料消費量の削減といった観点から注目を集めていたアイドリングストップ車ですが、なぜ廃止の傾向にあるのでしょうか。本記事では、アイドリングストップ機能の基本的な仕組みから、廃止されつつある背景、そしてそれによってもたらされるメリットまでを詳しく解説します。
アイドリングストップとは
アイドリングストップとは、信号待ちや渋滞などで停車する際に自動でエンジンを停止する機能です。停車と同時にエンジンを停止する「アイドリングストップ」と、一定の車速まで減速すると自動的にエンジンを停止する「停車前アイドリングストップ」の主に2種類あり、いずれもその後の発進操作に合わせて自動的にエンジンを再始動させる仕組みとなっています。この機能は、特にストップ&ゴーの多い市街地での運転で効果を発揮するとされてきました。
アイドリングストップの歴史
アイドリングストップ機能が量産車に初めて搭載されたのは、1974年のことです。当時トヨタ・クラウンのMT車のオプションとして、「EASS(Engine Automatic Stop and Start System)」という名称で実験的に導入されましたが、ヘッドライト点灯時には作動しないなど、使用条件にはいくつかの制限があったようです。その後、1981年にスターレットの一部グレードの5段MT車で「エコランシステム」として進化を遂げましたが、普及には至りませんでした。
1997年に世界初の量産ハイブリッド車である初代プリウスが登場してからは、ハイブリッド車にもアイドリングストップ機能が搭載されるようになり、さらに2000年代以降はAT車への普及も一気に広がっていきました。
アイドリングストップが廃止されている理由
各自動車メーカーで長年にわたり重要視されてきたアイドリングストップ機能ですが、近年その搭載車両が減少しており、この傾向は今後さらに加速しそうです。具体的にその背景を見ていきましょう。
アイドリングストップの実態
まず挙げられるのが、自動車技術の進歩です。現代の自動車は、エンジンの高効率化や空力改善、車体の軽量化など、さまざまな進化を遂げたことによって、アイドリングストップ機能に頼らずとも優れた燃費性能を実現できるようになってきました。
また、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車の普及も挙げられます。2023年の日本における新車販売の約55%をハイブリッド車が占めており、電気自動車やプラグインハイブリッド車を含めると、電動車の比率は約60%にも上ります。電気自動車にはアイドリング状態がなく、ハイブリッド車の場合は走行状況に応じて最適なタイミングでエンジンを停止させる制御が組み込まれているため、ガソリン車に搭載されてきた従来のアイドリングストップ機能は不要となっているのです。
燃費測定方法の変更
また、2017年からは、燃費測定方法が世界基準の「WLTCモード」に変更されました。「WLTC」は「Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle」の略で、「市街地」「郊外」「高速道路」といったシチュエーション別の走行モードで構成された国際的な燃費測定方法です。この変更により、停車時のエンジン停止が全体の燃費数値に与える影響が以前よりも小さくなったことも、アイドリングストップ機能の搭載を見直す要因となっています。
アイドリングストップ廃止のメリット
アイドリングストップにはメリットがある一方で、運転時の違和感などのデメリットを懸念する声も少なくありません。そのため、アイドリングストップキャンセラーを後付けで装着するユーザーも存在します。アイドリングストップ機能の廃止は、さまざまな恩恵をもたらします。
まず、クルマの維持費を抑えられる可能性が期待できます。アイドリングストップ専用バッテリーは通常のものと比べて価格が高く、エンジンの停止と始動の繰り返しで負荷がかかる分、寿命も短い傾向にありました。タイミングベルトやクランクシャフトなど、バッテリー以外のパーツの劣化も軽減できるので、経済的なメリットは大きいと言えるでしょう。
また、車内温度の快適性も向上します。アイドリングストップ車では、停車時にエアコンが停止したり送風に切り替わったりする場合がありました。特に真夏や真冬などに車内の温度を一定に保てるのはうれしいポイントです。
アイドリングストップ機能は、かつての環境対策や燃費向上の主役でしたが、自動車技術の進化とともにその役割を終えつつあります。電動化の進展や新しい燃費基準の導入により、この機能を搭載しない車種が増えているのです。むしろこれを省くことで、メンテナンス性や快適性の向上、コスト削減といったメリットが得られる時代となっています。
かつての革新的な機能に代わって、より効率的な新しい機能が採用されていくのは自然な流れと言えるでしょう。今後も、より環境に優しく、ドライバーにとって快適で経済的な自動車技術の発展が期待されます。
「結局、消費者にメリットがない!」トヨタ・ホンダがアイドリングストップを相次いで廃止した理由
信号待ちでエンジンが自動停止し、発進時に再始動するアイドリングストップ機能。燃費向上を名目に多くの車種に搭載されてきたが、近年この機能を廃止する新車が増加している。特にトヨタとホンダは主要モデルでアイドリングストップを省く方向へと舵を切っており、「結局、消費者にメリットがない」という開発者の率直な発言も飛び出し、ネット上でも廃止を歓迎する声が高まっている。
アイドリングストップ廃止、トヨタとホンダが選んだ方向
2024年6月にフルモデルチェンジを経たホンダの新型のコンパクトミニバン「フリード」は、発売から1か月で約3万8,000台の受注を集め、人気モデルとしての地位を確立した。しかし、この新型フリードで注目を集めたのは新たに追加された装備ではなく、廃止された装備だった。先代まで搭載されていたアイドリングストップ機能が、新型では廃止されたのだ。
アイドリングストップを廃止したホンダ車はフリードだけではない。フィットとヴェゼルはマイナーチェンジを通じてこの機能を取り除き、2024年3月に発売されたWR-Vは最初からアイドリングストップなしで登場した。ホンダがアイドリングストップを事実上廃止する方針へ転換したことをうかがわせる動きだ。
トヨタも同様の方向性を示している。2020年に登場したヤリスにはすでにアイドリングストップが搭載されておらず、ノア/ヴォクシー、アルファード/ヴェルファイアなど多くの主力車種でもモデルチェンジに合わせてこの機能を省く方向を選んでいる。
アイドリングストップを廃止する理由、三点
トヨタの開発陣がアイドリングストップを廃止する理由として挙げているのは、大きく三点だ。第一に、燃費測定方式の変更によりアイドリングストップのカタログ数値への寄与度が大きく低下したこと。2017年から日本の燃費測定基準が日本独自のJC08モードから国際基準のWLTCモードへ移行したことで、エンジン停止状態が全体の燃費に与える影響が小さくなった。
第二に、車両全体の燃費性能が底上げされ、アイドリングストップを搭載しなくてもエコカー減税の対象となれるようになった。この機能で燃費数値を底上げする必要性が薄れたのだ。
第三に——そして最も本質的な理由は——消費者に実質的なメリットがないという点だ。アイドリングストップ搭載車は頻繁なエンジン再始動によりバッテリーの寿命が短くなるうえ、通常バッテリーと比べはるかに高価な専用バッテリーが必要になる。開発者は「少しずつ節約した燃料費がバッテリー交換一回分で相殺され、あるいはそれ以上の出費になってしまい、顧客にメリットがない」と語っている。また、機能を搭載すること自体にもコストがかかるため、廃止は車両コストの削減にもつながる。
アイドリングストップ廃止に、ネットで相次ぐ歓迎の声
アイドリングストップ廃止のニュースに対し、ネット上では肯定的な反応が相次いだ。停車のたびにエンジンが止まる不便さを指摘する声が大多数を占めた。「一時停止のたびにエンジンが止まるので、使いづらくて結局使っていない」「信号待ち後の発進でエンジン再始動までのタイムラグにヒヤリとしたことがある」など、実際の運転で感じた不便さや不安感を率直に述べる声が相次いだ。
「毎回アイドリングストップをOFFにするのが面倒だ」という声も少なくなかった。燃費節約という理論上のメリットがありながら、操作の煩わしさやコスト面の問題から、機能をOFFのまま使う運転者が多かった実態が浮かび上がる。
アイドリングストップ廃止が環境時代に意味すること
アイドリングストップは、燃費規制への対応と環境配慮のイメージから、日本をはじめグローバル市場に広く普及した機能だった。しかし燃費測定基準の変化、車両全体の燃費性能向上、そしてバッテリー交換コストの問題が重なり、搭載する積極的な根拠が事実上失われた。トヨタとホンダが主要モデルで相次いで廃止に踏み切った背景には、単なるコスト削減だけでなく、利便性を重視する方向への方針転換がある。アイドリングストップなしの車が標準となりつつある今、少なくとも日本の自動車市場では、「環境に優しい」の定義そのものが変わりつつあると言えるだろう。
