アップル「Siri AI」日本語対応で本領発揮、「使えない」と言われ続けたiPhone音声アシスタントはどこまで進化したか

アップル「Siri AI」日本語対応で本領発揮、「使えない」と言われ続けたiPhone音声アシスタントはどこまで進化したか

9月に登場した「iPhone 18 Pro/Pro Max」に合わせて導入されたiOS 27では、AI機能のApple Intelligenceが大幅に強化されている。その目玉になっているが、AIアシスタントとして機能を刷新した「Siri AI」だ。一方で、当初は英語版に限定されていたため、日本では利用できなかった。この日本語版の提供が10月27日に始まった。なお、本稿は正式版とほぼ同じ内容のリリース候補版に基づき執筆している。

 アシスタントと言いつつ、いままではアシストできる作業が少なく、あまり役に立たなかったSiriだが、Apple IntelligenceでAIを刷新することで、もはや別物と呼べるほど機能が向上している。iPhoneの操作をSiri AIに任せることも、より増えてくるはずだ。ここでは、そんなSiri AIの魅力とも言える機能や使い勝手を紹介していく。

■メッセージ送信も簡単、複数作業の組み合わせも

 Siri AIは、iPhone内のユーザーのデータを参照し、それをAIで分析するため、文脈や関係性をかなりの精度で理解してくれる。そのデータベースの再構築はiOS 26.6のころから行われており、対応するiPhoneを持っている人は、アップデート後、すぐにSiri AIの恩恵にあずかれる。

 実際、Siri AIに「矢崎さんにMessengerで『今回の連載はSiri AIでいきましょう』」と命令したところ、きちんとMessengerアプリから該当する人物を探し出し、メッセージとしてそれを送ってくれた。フルネームではなかったが、スムーズに認識されたのはAI側が適切に処理してくれたためだろう。LINEも対応しているため、普段のやり取りをそのままSiri AIに依頼できる。

 また、複数の作業を組み合わせて実行できるのも、AIならではだ。例えば、「今日の予定をチェックして、その内容を自分のLINEの別アカウントに送って」と言うと、カレンダーで予定を調べたうえで、簡単な文章を作ってまとめたあと、LINEから「石野純也」を探してくれた。

「自分の別アカウント」というキーワードで石野純也という名前を導き出せたのは、パーソナルデータとしての名前をきちんと把握しており、裏側でLINE側の連絡先データベースとマッチングさせているからだ。本来だと、カレンダーを見て手打ちしなければいけない情報を、1回、iPhoneに話しかけるだけで済ませることができ、作業が各段に効率的になる。

 この複数アプリにまたがって情報を調べられる機能が、特に優秀だ。一例を挙げると、次の日に打ち合わせである会社を訪問するとしよう。その会社は入館がシステム化されており、QRコードがメールで届く仕組みになっているとする。このような時に、Siri AIに「明日の予定を教えて。あと、入館に必要なQRコードも出して」というと、予定とメールの両方から必要な情報を引っ張り出してくれる。

 これを、手動でやろうとするとなかなか骨が折れる作業になる。まずカレンダーアプリを開いて予定を確認したあと、場所をチェックして、該当するQRコードをメールの検索で探しださなければならないからだ。メールの内容によっては、会社名ではなく建物名になっていたりして、うまくヒットしないこともある。文脈を踏まえて、これらを一発で出してくれるSiri AIはかなり優秀。実用性も高く、活躍の機会が増えそうだ。

■画面内容を読み取ってアクションを起こせるように

 Siri AIは、iPhoneの画面に表示されている情報をそのまま読み取れるようになった。これに基づいて、ユーザーが質問や指示を出し、回答してもらえる。サイトを表示している際に、分からない用語を聞きたいときや記事を要約してもらいたい時などは、サイドキーを長押しして、Siri AIを呼び出し、そのように話しかければいい。

 試しに、東洋経済オンラインに掲載された筆者の「iPhone Duo」に関する記事を表示した状態で、「この記事を要約して」といったところ、完成度の高さを評価している点や、一方で重量や価格に課題がある点などが短くまとめられた。画面認識といっても、実際には表示されていない部分まで読み取っているようだ。

また、画面上に表示されている文字を読み取って、それを直接アプリに連携させることもできる。例えば、上記の記事に対して、「主な筆者の主張を箇条書きして、メモアプリに登録して」と指示を出すと、記事内容を抜粋した箇条書きが作成され、メモアプリに記録が残されるので、後で読み返しやすくなる。

 画像認識も可能だ。これまでのApple Intelligenceだと、わざわざスクリーンショットを取らなければならなかったが、Siri AIが有効になっていれば、サイドキーを長押しして、直接質問するだけで済む。写真の内容だけでなく、似たような写真を探してもらう画像検索代わりにもなる。

 さらに、メールの文章も認識でき、それに合わせて返信を書くといったことも可能だ。筆者が特に感心したのは、メールの返信フォーマットをきちんと満たしてくれたこと。発表会の申し込みの際に、名前や会社名、連絡先などを書かなければならなかったが、それを埋める形で返信が作成された。

 このように、画面に表示された内容を理解できるようになったことで、アシスタントとしての能力が一気に広がった印象だ。メールの返信のように、仕事の時短にも活躍する。iPhoneを使っていて、何か気になったことがあればSiri AIを呼び出すという使い方も、より広がっていきそうだ。

■ビジュアルインテリジェンスも進化、カレンダーをまとめて登録

 画面内だけでなく、カメラを通して読み込んだ画像の認識もできる。iOS 27.2では、カメラアプリにSiriが統合されており、撮影時に直接呼び出すことが可能だ。また、カメラコントロールボタンを長押ししてビジュアルインテリジェンスを呼び出すと、カメラがSiriモードになった状態で起動する。

 この状態で認識したいものをiPhoneで写して、Siri AIのボタンをタップすると、それが何であるかが説明される。また、画像検索ボタンをタップすると、近いものをネットで検索することが可能。友だちが持っているものと同じものを買いたいときなどにSiri AIで写して調べ、ネットで探すといった場面で活躍する。

 ビジュアルインテリジェンスは、カメラに写っている内容に応じて、次のアクションを提案してくれるのも特徴だ。この点は以前から変わっていないが、例えば文章を写すと、「要約」や「読み上げ」というボタンが表示されるので、タップするとその通りのアクションが実行される。

 なかなか便利だなと思ったのは、カレンダー登録だ。イベントの予定を1枚の紙にまとめたスケジュール表をSiri AIで認識してみたところ、画面上に「カレンダーに追加」というボタンが表示された。これをタップしたところ、5日間、計34件の予定をすべて認識してカレンダー形式に変換してくれた。

 しかも必要な予定だけを「追加」ボタンで登録していくことができる。自分が参加するものだけを選択して登録でき、しかも入力の手間がほぼゼロになる。また、往復や乗り継ぎを含んだフライトスケジュールも、まとめてカレンダーに登録できた。1件1件、手動で入力する手間から解放されるありがたい機能と言えるだろう。特にビジネスにiPhoneを活用している人には、利用をオススメしたい。

■Siriが本格的なAIアシスタントに

 このように、Apple Intelligenceを組み込み、その精度を高めたことで、Siriが本格的なAIアシスタントになった。一部をクラウド側で処理しているため、やや反応が遅いこともあったが、手動での操作に比べれば、各段に効率は上がる。出番が少なくなっていたSiriだが、このバージョンからはむしろ主役に近い存在になった。

 対応しているiPhoneが、「iPhone 15 Pro」以降のモデルに限定されるため、全員が使えるわけではないが、このために乗り換えてもいいと思わせるほどの性能だ。「AIで後れを取った」と言われているアップルだが、スマートフォンでここまでできる機種はない。対応には時間がかかったが、そのぶん、完成度は高くなっていると言えそうだ。

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