AIで検索した「判例」、実は存在せず 出版社が絶版・回収を発表
出版社の高文研は、9月に刊行した島袋純・琉球大教授の著書「無責任の体系と沖縄戦」に事実と異なる記述があったとして、絶版として回収すると公式サイトで発表した。発表は9月24日付。
高文研によると、島袋教授はAI(人工知能)を利用して「沖縄戦におけるスパイ容疑住民虐殺に関する国際裁判の判例」を検索。出てきた結果を精査せず、この本で3件の判例を示したものの、いずれも現実には存在しないものだった。
献本を受けた別の研究者から指摘を受け、誤りが発覚したという。高文研は「今後はこのようなことが起こらないよう、編集時における確認作業の徹底をはかり再発防止に努めてまいります」とコメントしている。
琉球大は10月9日に喜納育江学長名のコメントを発表。「大学として重く受け止めております」とした上で、「AI等の情報技術を研究・教育活動に活用する場合においては、情報の正確性を確認し、原典に当たって検証することは、研究者として当然に求められる基本的な責務」であり、必要な対応や再発防止策を検討するとした。本の回収などに関する問い合わせは高文研(03・3295・3415)。
沖縄戦巡る書籍で誤り、絶版に AI検索で採用の判例、存在せず
出版社の高文研(東京都)は、9月に刊行した書籍の内容に、生成人工知能(AI)の利用により現実には存在しない事実が掲載されていたとして、絶版とし、回収すると発表した。購入者には書籍を回収した上で全額返金する。ホームページには「深くおわび申し上げる」と謝罪文を掲載した。
誤りが見つかった書籍は「無責任の体系と沖縄戦」(全184ページ)。同社によると、著者の島袋純・琉球大教授が「沖縄戦におけるスパイ容疑住民虐殺に関する国際裁判の判例」として三つの例を示したが、いずれも存在しないものだった。島袋氏は、学術機関の国際犯罪裁判記録のデータベースから生成AIを使って判例を検索し、出てきた結果について事実かどうか精査せずに採用したという。
島袋氏が知り合いの研究者に献本。その研究者が「捏造(ねつぞう)である」と指摘し、誤りが発覚した。書店には9月11日に200部を配本しており、そのうち何部が販売されたかは把握できていないという。
