シャウエッセン、6本から5本へ「時代に負けてたまるか」はなぜ炎上? 実質値上げの伝え方にあった問題点
日本ハムのソーセージ「シャウエッセン」の公式Xアカウントが10月5日、内容量を6本から5本に減らすことを発表したその流れに消費者から批判が集まり、炎上しました。
予告から発表までのシャウエッセンの伝え方
問題の発表は、前日の4日に「大切なお知らせがあります。隠さず、正直に話します。時代に負けてたまるか。」と予告されていたものでした。
一体、どのような内容なのかと消費者の期待を集めましたが、発表された内容は内容量の削減でした。
具体的な変更の数字としては1袋の本数が6本から5本に、代わりに1本あたりは約19.5gから約21.4gへと増量されます。結果として、内容量は117gから107gへと減少します。
そのことに対して「時代に負けてたまるか」というキャッチコピーと、その中身が合っていないとして「時代に負けてる」、「実質値上げと言え」という声が相次ぐ事態となりました。
炎上を呼んだ理由は前向きな言葉と内容量削減という中身のずれ
今回の炎上は、内容量が削減されたから起きたわけではないと見ています。実質値上げになった食品は、これまでいくつも例があるからです。何なら、シャウエッセンも4年前の2022年に内容量を127gから117gへと変更する実質値上げを実行しています。
しかし、そのどれでも批判は起きても炎上とまではなっていません。
やはり今回は、内容量削減というネガティブなお知らせを、前向きな言葉で包んで消費者をごまかそうとした点にあると考えます。
そもそも、予告の作り方からおかしいのです。「大切なお知らせ」だけだと、マイナス要素かと身構える人がいます。しかし、そのあとに「時代に負けてたまるか」と書けば、新商品や価格の据え置きといった良い知らせを期待する人が多くなることでしょう。実際、「良い報告かと期待してたのに残念」という反応もありました。
次に、言葉と中身の食い違いです。「時代に負けてたまるか」という言葉は、「内容量も価格も変えない」ときに使える言葉でしょう。しかし、内容量を減らす判断は、多くの消費者にとって時代に負けたようにしか見えません。
さらに、「正直に伝えます」と掲げながら、肝心の変更点が目立たないようになっていた問題もあります。投稿された画像には大きく「時代に負けてたまるか」とありますが、内容量の変更内容はその左下に小さく書かれているだけです。
「隠さず、正直に話します」と予告した以上、消費者が最初に知りたいであろうその内容、つまり内容量削減で本数とグラム数がどうなるかといった情報は、目立つかたちで表示する必要があったと思います。
その重要な数字よりもコピーが前に出たことで、前向きさを演出しようとしているだけではなく、消費者をごまかそうとしているように受け取られてしまいました。
今回の発表は、完全に戦略が間違っていたと思います。
余談ですが、2022年の実質値上げのとき、シャウエッセンは1本あたりの容量を約21.2gから約19.5gへと減らしました。今回の実質値上げでは「どうせなら、もっとおいしくなってやる」と1本あたりの容量を増やし、結果として4年前とほぼ同じ約21.4gになりました。
今回のコピーには「今できるいちばんのおいしさを届けること」が「40年以上愛されてきたシャウエッセンのプライド」と書かれています。そう考えると、2022年時点では「おいしさ」を犠牲にして内容量を減らしたのでしょうか?
という感じで話の整合性が欠けてきますので、やはりマイナス要素については言葉でごまかさずに正直に話すのが良いかと思います。
シャウエッセン実質値上げ 同じ価格で10グラム減…6本から5本に「分けにくい」の声も
日本ハムは5日、主力商品のソーセージ「シャウエッセン」について、価格は据え置き、1袋当たりの内容量を従来の117グラムから107グラムに減らしたと発表した。1日納入分から実施した。実質値上げは、127グラムから減らした2022年10月以来、4年ぶり。
原材料費やエネルギー価格の高騰が響いた。スーパーなどでは2袋を束にして売られることが多く、その場合の参考小売価格は従来と同じ702円。1袋6本から5本になると想定され、1本当たりの重量は増やし、「肉感を高め、より張りのある食感と食べ応えを実現した」と説明している。
シャウエッセンの公式X(旧ツイッター)は5日、「内容量が減ります」との告知とともに「時代に負けてたまるか」と投稿した。ただ返信欄では、5本だと2人家族でも3人家族でも分けにくいという指摘や、「『負けてたまるか』は、内容量も価格も変えませんという時に使える」といった厳しい意見もみられる。
「時代に負けてる」「なんやそれ」と消費者カリカリ…日本ハム・シャウエッセン「謎イキリ広告で炎上」に見る“値上げの作法”
日本ハムが主力商品の「シャウエッセン」について、内容量を減らして価格を据え置く「実質値上げ」を行うと発表したことを巡り、SNS上では物議を醸している。「時代に負けてたまるか。」というキャッチコピーを掲げながら、実質値上げを発表したことへの違和感が噴出しているのだ。
【画像】そりゃ批判も殺到するわ…日本ハム「シャウエッセン」問題の広告はこちら
圧倒的ブランド力を誇るにもかかわらず、なぜこれほど否定的意見が噴出する結果となったのか。今回の反応は、インフレ時代において、実質値上げ時に企業がどう消費者とコミュニケーションするべきかを教えてくれるような展開となった。SNS上の反響を踏まえ、批判が殺到した要因を見ていこう。
■シャウエッセンが実質値上げを発表。その内容は?
日本ハムによると、10月1日納品分から容量が減少した商品に変更になるという(つまり、すでに納品され始めている)。これまでの容量が117gだったのに対し、10g減少した107gになるというのだ。
なお、内容量の減少に際し「ただ減らすのではなく、一本あたりの重量を増やして肉感をアップさせる」とし、よりハリのある食感や満足感が増すよう工夫をこらしたという。
単なる値上げではなく、企業努力の形が見られる一方で、消費者からの否定的な意見は後を絶たない。「時代に負けてたまるか。」というキャッチコピーと「実質的な値上げ」が噛み合わず、違和感を覚える人が続出したのだ。
■シャウエッセンの実質値上げ。SNSの反響は?
今回の実質値上げに際し、SNS上では以下のような意見が見られた。
「マーケティングが下手くそすぎる」
「『時代に負けてたまるか。』と謳っているが、時代に負けたから値上げするのでは?」
「いっそはっきり『値上げします』と書いた方が好印象だった」
「減らすくらいなら値上げすればいいのに」
キャッチコピーへの違和感からくるマーケティングへの不信感と、容量減少に対する不満の声が多いようだ。
さらに、今回の発表に際し、前日の午後5時から「明日。シャウエッセンから、大切なお知らせがあります」という匂わせ投稿をしていたのだ。「時代に負けてたまるか。」というフレーズから、ポジティブな発表を予想していた消費者もいただろう。結果、余計な投稿になってしまった形だ。
そんなふうに、SNSで否定的な意見が多く見られる今回の発表だが、筆者が気になったのが「本数が減るならもう買わない」といった声が少なからず見られることだ。
そもそもウインナーは重量を基準に販売されることが多く、「6本」が絶対的な基準というわけではない。例えば競合の丸大食品「燻製屋熟成あらびきウインナー」やプリマハム「香薫あらびきポークウインナー」は、いずれも1袋90gの商品であり、公式サイトなどを見ても本数は明記されていない。
ただし、今回のシャウエッセンのケースは、「容量減かつ、1本あたり増量」であり、普通に考えれば現行品で一般的に見られる1袋6本から5本への変更は簡単に予想することができる。
広告において日本ハムは「意地の107g」というワードを使ったが、広告には書かれなかった「6本が5本になる」という変化のほうが、はるかに生活への影響をイメージしやすかった。メーカーと消費者の間で、変更の受け止め方にズレがあったとも言えるし、むしろ「基本、5本になる」と伝えるべきだったのだろう。
ファミリー世帯での本数減少は食卓への影響が小さくはないはずで、実際、「家族できれいに分けられなくなるならもう買えない」という意見があちこちで見られる。
■企業努力が及ばないレベルの物価高…値上げを企業はどう伝えるべきか
今回のように、商品の値上げや、それに際した消費者コミュニケーションの文脈で取り上げられることが多いのが、赤城乳業の「ガリガリ君」だ。同商品は2024年3月より、70円から80円に値上げしたが、その際、マーケティングの一環として「謝罪」を行ったのだ。
新聞や交通広告で、従業員が深々と頭を下げる写真を掲載。値上げによる消費者の負担増加に対し「深くお詫び申し上げます」と謝罪したところ、その素直な姿勢が好感を持って受け入れられたのだ。
他にも「うまい棒」で知られるやおきんの事例もよく知られている。同社では、2022年1月に2円の値上げ(10円から12円)を発表した際、事前の情報錯綜でお騒がせしたことに対しては謝罪したものの、値上げについては謝罪はせず、「42年間、ありがとう。うまい棒は12円(税抜)へ。」という前向きなメッセージを展開した。その結果、消費者から「むしろ今までありがとう」といった声が寄せられる結果となった。
アプローチは異なるが、どちらも値上げを隠さず伝え、長年価格を維持してきたことへの思いを消費者に率直に示した事例と言える。加えて、低価格帯の商品であることも大きいだろう。最大限の企業努力により低価格を保ち続けてきたことが消費者にも伝わるからこそ、そのコミュニケーションに価値が生まれ、広告そのものが大きな話題となったと言える。
その点、今回のシャウエッセンの広告は妙にポジティブであり、「正直に言えばいいのに」と消費者に思わせるものだった。また、宣伝色が混ざったこともあって、「上手いことを言おうとしてるのかな?」という印象を消費者に与えてしまうものでもあった。
確かに、内容量の減少や、それに伴う実質的な本数減は大きな変化であり、なんとか軟着陸させたい気持ちも理解できる。ただ、だからといって「時代に負けてたまるか。」とポジティブに表現しても、消費者にはすぐ実質的な値上げだと伝わってしまう。ガリガリ君は特殊な成功例であって、(実質)値上げをポジティブに受け取ってもらうことは、基本的には至難の業なのだ。
■実質値上げをポジティブに伝えるのは諦めるべき?
そもそも、シャウエッセンはウインナー界で確固たる地位を確立した商品だ。内容量を保つために値上げしたとしても、消費者は許容したのではないか。シャウエッセンとは、それだけの金額を払ってでも食べたいと思わせる商品なのだ(もちろん、スーパー側が単純な値上げを嫌う、などの事情はあるのだろうが……)。
ハイブランドならハイブランドとしての矜持を持ち、「物価高にあらがえないので値上げします」「品質は落としません」とメッセージを打ち出したほうが素直に受け取れる人が多かったのではないか。結局、シャウエッセンの商品力を一番信じられていなかったのは、シャウエッセンに関わる人たちだったのかもしれない。
量が減って大炎上したシャウエッセンについて
