2nm世代採用 「iPhone 18 Pro」分解で見える7000日の進化の歩み
2026年9月18日に発売された、Apple最新スマートフォン「iPhone 18 Pro」を分解する。TSMC 2nmプロセス製造のプロセッサを採用する同製品、改めて2007年発売の初代機「iPhone 2G」と見比べると、驚愕するような進化の歴史を歩んできていることが分かる。
ついに2nmプロセス採用! iPhone 18 Proを緊急分解
今回は、前回最後で告知をした2026年のスマートグラスの報告を来月以降にシフトして、2026年9月18日にAppleから発売されたスマートフォン「iPhone 18 Pro」を取り上げる。Appleは2026年秋に多くの新製品を発売している。同年10月にはApple初の折り畳みスマホ「iPhone Duo」の発売も控えている。
2026年9月18日には「iPhone 18 Proシリーズ(ProとPro Max)」だけでなく、スマートウォッチ12世代目の「Apple Watch Series 12」、ワイヤレスイヤフォン5世代目の「AirPods 5」も同時に発売している(無印の「iPhone 18」は後発で発売される模様)。上記はいずれも弊社で分解が終わっており、現在チップ開封解析などを行っているところだ。
iPhone 18 Proシリーズには、TSMCの2nmプロセスで製造される新プロセッサ「A20 Pro」が搭載されている。2026年を振り返ると、3月にはSamsung Electronics(以下、Samsung)の2nmプロセス製造の「Exynos 2600」を搭載したスマホ「Galaxy S26」(日本未発売)が、春にはIntelの第3世代「Core Ultra」(CPUを2nm相当の18Aプロセスで製造)搭載のノートブック型PCが各社から発売されるなど、2026年は2nmプロセッサ商用の幕開けの年となっている。
Samsungらに対しておおよそ半年遅れだが、Apple製品を皮切りに、怒涛のTSMC 2nmプロセス製品ラッシュが年末に向けて続いていく(Qualcommの「Snapdragon 8 Elite Gen6/8 Elite Extreme Gen6」やMediaTekの「Dimensity 9600 Pro」といった上位の新プロセッサはいずれもTSMC 2nmプロセスで製造される。今後入手の上、分解解析を行う予定だ)
毎年のことだが、Appleの秋の製品ラッシュでは面となって製品がリリースされる。9月22日には「M6」(TSMC 2nm製造)搭載の「Mac mini」や、「M5 Ultra」搭載の「Mac Studio」が発売となっている。こちらも新プロセッサばかりだ。
ディスプレイを外した内部の様子は?
図1はiPhone 18 Proの分解第一歩であるディスプレイ外しの様子である。ディスプレイの取り外し手順は従来と同じ。下部に2個のネジ留めがあり、ネジ固定を外してからディスプレイを外す。ネジ以外はAndroidスマホとほぼ同じ手順だ。ディスプレイを取り外すと、図1中央のように全体に黒いシートを貼った金属プレートが現れる。
図2は金属プレート取り外しの様子である。金属プレートは本体にネジ留めされており、プレートごと簡単に取り外すことができる。金属プレート内部には、「iPhone 17 Pro」から採用が始まった冷却機構「Vapor Chamber」が埋め込まれている。
プレートの反対面には電池が搭載されている。プレートは簡単に外せるので、電池交換はプレートごと換える構造になっている(交換難易度は非常に低い)。電池の形状、サイズはiPhone 17 Proと同じだが、電圧/容量ともに若干アップしている。具体的には、iPhone 17 Proが3.894V/4252mAhだったのに対し、iPhone 18 Proでは3.908V/4288mAhに増加している。
最新カメラの進化を確認
図3はiPhone 18 Proのワイドカメラの様子である。iPhone 18 Proにはワイド/ウルトラワイド/ペリスコープの3種のカメラが搭載されている。いずれも4800万画素のソニー製CMOSセンサーだ。構成や仕様はiPhone 17 Proとほぼ同じだが、ワイドカメラには、Apple製品としては初の絞り機能が搭載されている。絞り機能付きカメラは、Androidスマホでは2024年以降のハイエンドモデルで標準的に採用されるようになっており、Appleも採用した形だ。
絞りは複数のフィルムフィンで構成されており、レンズ周縁にコイルとマグネットを配置しフィンを駆動する構造になっている。Androidスマホと構造は同じだ。ウルトラワイド、ペリスコープカメラはiPhone 17 Proと同じ構造のままだった。前面のFaceカメラの構成に大きな変化はないが、赤外線カメラの配置場所が、中央から左端に移動している。
通信基板には最新の独自モデムを搭載
図4はiPhone 18 Proの基板の様子である。基板のサイズと機能の配置はiPhone 17 Proとほぼ同じだ(細かいところの変化はある)。2層基板構造になっており、左側のプロセッサ基板、右側の通信基板と、機能で2枚に分かれている。プロセッサ基板側にはA20 Proプロセッサとストレージメモリ、電源IC、セキュリティコントローラーなどが搭載されている。
通信基板には4G/5Gの広域データ通信モデムチップセット(全球測位衛星システム[GNSS]機能を含む)、超広帯域無線(UWB)、Wi-Fi&Bluetooth、NFCなどの他、RFパワーアンプやオーディオ系チップ、慣性計測ユニット(IMU)センサーが搭載されている。プロセッサ関連以外は全て通信基板側といった配分だ。両基板ともに放熱対策、ノイズ対策が十分に施されている。
図5は通信基板の様子である。基板の裏面には電源ICやパワーアンプなどが多数搭載されている。4G/5Gモデムは「Apple C2」チップセット。iPhone 17 ProではQualcommのチップセットだったので、サプライチェンジとなっている唯一の場所である(モデムチップセット以外は、同じメーカーのものが継続使用されている)
Appleは、2025年発売の最薄モデル「iPhone Air」で、独自開発の「C1」モデムを搭載した。今回のiPhone 18 Proで搭載されるC2は、C1に続く第2弾のAppleモデムだ。ベースバンドプロセッサはC1からC2に切り替わっているが、図5左のRFトランシーバーチップは、C1と同じものがそのまま採用され、C2に組み合わせられている。
TSMC 2nm製造プロセッサ基板の様子は?
図6はプロセッサ基板の様子である。ほぼ中央にA20 Proプロセッサが配置されている。基板の裏面に電源ICやストレージメモリが配置される。A20 Proのパッケージ内部には、DRAMとプロセッサシリコンなどが収まっており、WMCM(Wafer Level Multi Chip Module)で構成されている。現在チップ開封中なので、次回以降の本報告で取り上げる予定だ。
A19 ProまではプロセッサシリコンとDRAMシリコンを積層する配置であったが、A20 Proではシリコン横並びに配置転換されている。3nmプロセス製造のA19 Proから、A20Proでは2nm製造となっており、微細化が進んだことでコア数、コア種なども大きく変化している。多くの解説情報がネット上などに出回っており、同じ内容を書き連ねても仕方ないので省略する。
初代機発売から7000日超、iPhoneの進化に改めて驚愕
表1はまとめになるが、iPhone 17 ProとiPhone 18 Proの比較である。外観やサイズもほぼ同じものだが、内部の構成、構造もほぼ同じ。内部での大きな変化は、Vapor Chamberと赤外線カメラの場所程度の差となっている。分解手順もほぼ同じ(工具も同じ)。電池は若干ながら数字が変化しているが、ほぼ同等だ。カメラも配置や外部形状は同じ。絞り機能の有無、CMOSセンサーの差などあるものの、iPhone 17 ProのベースがiPhone 18 Proにそのまま引き継がれている。iPhone 17 Proでは「iPhone 16 Pro」と大幅に内部構造、構成を変えていたので、16→17がフルモデルチェンジだとすれば、17→18はマイナーチェンジといったところだ(プロセッサなどは大幅変化しているが)
表2は、iPhone AirからiPhone 18 Proへのプロセッサとモデムチップセットの変化の様子である。本報告のまとめとして掲載した。
表3は2018年以降のiPhone(Pro優先)の背面、内部、基板外観のまとめである。2007年の初代からの全写真もあるが、ページの関係で省略した。iPhone 18 ProがiPhone 17 Proと類似していることが明確になっている。こうして並べてみると、いろいろなものが見えてくるが、言及は控えたい。2027年モデルがどのようになるか、今から待ち遠しい。
図7は2007年発売の初代機「iPhone 2G(型名A1203)」と最新のiPhone 18 Proの比較である。iPhoneは7000日以上続いている製品シリーズだ。驚愕するような半導体や機器進化の7000日。ぜひiPhoneの1万日超えに向け、継続して観察していきたい。
