1070馬力へチューニング費1248万円。総額2080万円超を投じたR35 GT-Rが約1123万円で決着
英国アイコン競売に現れたゼロヨン9.4秒のJM1300における鍛造VR38と強化ミッションの真価
2026年7月に英国で開催されたオークション「The Iconic Sale at the BRDC Classic 2026」にて、2009年式の日産「R35 GT-R Black Edition」をベースとしたカスタムカー「JM1300」が出品された。英国のプロショップである「JM Imports」が徹底的に手を加えた車両であり、公道仕様として圧倒的なパフォーマンスを誇る1台が、5万4000ポンド(1ポンド=208円換算で約1123万円)で取引を終えた。
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1500馬力オーバーの受容限界を持つ鍛造VR38DETTと緻密な独立燃料制御
心臓部の「VR38DETT」エンジンには、CP製鍛造ピストン、Carrillo製コンロッド、ビレットクランクシャフト、CNCポート加工ヘッド、JUN製カムシャフト、ACLレースベアリングなどが組み込まれている。本来は1500馬力以上の出力に耐えうる耐久性を持って設計されたフルバランスエンジンだ。強烈な燃焼圧力に耐えるビレット鋼クランクシャフトの高いねじり剛性と、吸排気効率を極限まで高めるCNCシリンダーヘッドポート加工が、高回転域における圧倒的な伸びと耐久性を両立させている。
過給機にはBorgWarner製ビレットホイールを組み込んだGreddy製TD06HR-25Gターボキットを採用している。燃料系にはHKS製12インジェクターインレットマニホールド、ID1700インジェクター、Fore Innovations製トリプル燃料ポンプを組み合わせ、Syvecs製「S6+」スタンドアローンECUにより統合制御される本格的な仕上がりだ。気筒あたり2本(計12本)のインジェクターをECUで緻密に打ち分けることで、4桁馬力のハイブースト時に必要な大容量の燃料供給を確保しつつ、アイドリングや低回転時の安定したドライバビリティを高次元で両立する高度な独立制御技術が息づいている。
公道燃料で4桁の出力を発揮しクォーターマイルを制する駆動系メカニズム
駆動系にはAlbins製1~6速強化ギアセットおよびアウトプットシャフト、Xtreme製18プレートクラッチ、Dodson製補強パーツを搭載し、8000rpmシフトに対応するTCMチューンが施されている。
この過激な構成により、通常のShell V-Power(ハイオクガソリン)で最高出力約1070bhpを発揮し、レース用燃料使用時には最大1300bhpまで出力向上が可能とされる。オーナー計測のパフォーマンスデータでは、0-400m(クォーターマイル)加速で9.4秒(終速約257km/h)、100-200km/h加速で約3.5秒という異次元の速度域に達している。
莫大な費用が注がれた怪物が国内相場を下回る価格帯で成立した背景
足回りにはH&Rサスペンション、396mm大径ブレーキローター、Advan Racing製軽量マグネシウムホイール、ミシュランPilot Sport Cup 2タイヤを装着する。外装は2017年モデル仕様のフロントエンドやLEDリアライトに換装され、Xtreme製フロントスプリッターやDifflow製リアディフューザーなどのカーボンパーツが奢られた。
チューニングや整備の請求書だけで6万ポンド(約1248万円)を超え、車両製作にかかった総投資額は10万ポンド(邦貨換算約2080万円)オーバーとされる。今回のオークションにおける事前予想(エスティメート)は5万~6万ポンド(邦貨換算約1040万~1248万円)であったが、実際の落札価格は5万4000ポンド(邦貨換算約1123万円)となった。
2009年当時の日本での新車価格が約882万円、現在の日本国内におけるBlack Edition中古市場の中央値が1500万円(全世代含む)であることを考慮すると、投じられた莫大なカスタム費用に対して極めてリーズナブルな価格で新たな主のもとへ迎え入れられたといえる。
※為替レートは1ポンド=208円(2026年9月27日時点)で換算
■ 注目ポイント(3点)
・英国の名門JM Importsが製作した1500馬力耐空仕様のフル鍛造VR38DETTエンジン
・通常ハイオクガソリンで最高出力約1070馬力を発生し、0-400m加速は9.4秒を記録
・チューニング請求書1248万円超・総投資額2080万円超のハイエンド仕様が5万4000ポンド(約1123万円)で落札
■ 日産 R35 GT-R Black Edition JM1300 スペック・仕様一覧
・車種名:日産 R35 GT-R Black Edition JM1300(2009 Nissan GT-R R35 Black Edition JM1300)
・ベース年式 / 仕様:2009年式(英国正規輸入車 / Violetラッピング外装)
・出品オークション:Iconic Auctioneers「The Iconic Sale at the BRDC Classic 2026 – Collector Cars」
・ロットナンバー:Lot 292
・シャシーナンバー:JN1GANR35U0100982
・登録番号:MT09 DKJ
・総走行距離:実走行 4万2631マイル(※2012年保証交換時2万4304マイル+現在メーター表示1万8327マイル)/ エンジン組み上げ後約6000~7000マイル走行
・エンジン仕様:JM Imports Signature Spec 3.8L V6ツインターボ「VR38DETT」(CP鍛造ピストン、Carrilloコンロッド、ビレットクランク、CNCポートヘッド、JUNカム、ACLレースベアリング、ARPファスナ、Tomeiオイルポンプ、Boost Logicキャッチタンク等)
・過給機:Greddy TD06HR-25G ターボチャージャー(BorgWarnerビレットコンプレッサーホイール)
・燃料&制御系:HKS 12インジェクターマニホールド、ID1700インジェクター、Fore Innovationsトリプルポンプ、Syvecs S6+ フルコン(Toucanディスプレイ、フレックスフューエル対応)、102mm GTCチタンエキゾースト
・トランスミッション:Albins 1~6速強化ギアセット&アウトプットシャフト、Xtreme 18プレートクラッチ、8000rpm対応TCMチューン
・最高出力 / 性能:ハイオクガソリン時 約1070 bhp(レース燃料時 最大1300 bhp)/ 0-400m加速 9.4秒(終速160mph)、100-200km/h加速 約3.5秒
・足回り / ブレーキ:H&Rサスペンション、396mm大径ブレーキローター(Pagid RS29パッド)、Advan Racing軽量マグネシウムホイール、Michelin Pilot Sport Cup 2タイヤ
・エクステリア / エアロ:MY17フロントフェイス移植、LEDリアライト、Xtremeフロントスプリッター、Zeleサイドスカート、Difflowリアディフューザー、カーボンフェンダーヴェント、MSL Customsフルラッピング
・エスティメート(予想価格):5万 ~ 6万ポンド(約1040万 ~ 約1248万円 ※1ポンド=208円換算)
・落札価格:5万4000ポンド(約1123万2000円 / 約1123万円 ※1ポンド=208円換算)
・新車当時価格(2009年日本):Black Edition:約882万円(※2010年MY11は930万3000円)
・国内中古車相場(2026年9月時点):Black Edition中央値1500万円(全世代含む)/ R35全体の下位10%価格帯は980万円~
