TDK、「普通のメガネに見えるスマートグラス」へ新技術 網膜投影ミラーを超薄型化

TDK、「普通のメガネに見えるスマートグラス」へ新技術 網膜投影ミラーを超薄型化

TDKは10月2日、普通のメガネに近い見た目のスマートグラスを実現する新技術を実証したと発表した。厚さわずか150nmの極薄ミラーをメガネのレンズに埋め込み、レーザー光を網膜へ反射させて映像を表示する。従来は目の前に曲面ミラーを置く必要があったが、これをレンズ内に収められるようにした。

 新開発したのは「メタオプティクスミラー」と呼ぶ光学部品。同社によると、このミラーを使った網膜直接描画ディスプレイの実証は世界初という。現時点では単色表示で、数年以内にフルカラーでの実証と量産化を目指す。

 従来方式では、目の前に置く曲面ミラーがスマートグラスの小型化やデザインの制約になっていた。メタオプティクスミラーは、この曲面ミラーを置き換えるものだ。

 平らなミラーで曲面ミラーと同じ働きを実現する仕組みは、表面に並べたナノサイズの反射体にあるという。場所ごとに光の反射方向を細かく制御することで、さまざまな方向から入ってくるレーザー光を網膜へ導く。さらに、ミラーの厚みは可視光の波長より薄く、光の干渉による虹模様も減らせるという。

 外から見たときの自然さも特徴だ。ミラーは映像に必要な光を反射しつつ、可視光の80%を通す。同社は、通常のメガネレンズと同等の透明性を確保したとしている。向かい合う相手から映像が見えないため、見た目の違和感やプライバシー面の懸念も抑えられるという。

 コスト面の利点もうたう。同社は、一般的な導波路型ディスプレイは構造が複雑でコストが高いと指摘する。これに対し、メタオプティクスミラーは半導体と同様の製造プロセスを使えるため、量産時のコストを抑えやすいとしている。

 TDKはスマートグラスを、注力するAIエコシステムの中で成長が見込まれる用途と位置付けている。これまでも、網膜直接描画に必要な主要部品を開発してきた。具体的には、世界最小クラスの「超小型フルカラーレーザーモジュール(FCLM)」と、4K解像度の映像を可能にする「可視光フルカラーレーザー制御デバイス」だ。

 外部との協業も進める。TDKはQDレーザと事業協力契約を結んでいる。QDレーザの網膜投影技術と、TDKのレーザー光源や制御デバイス、今回のメタオプティクスミラーを組み合わせ、スマートグラス向けの表示システムの開発を進めているという。

 メタオプティクスミラーを使ったスマートグラスのデモ機は、10月13日に開幕するCEATEC 2026に出展する。技術の詳細は同社サイトの解説ページで公開している。

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