【120km/h走行は損?】高速道路で80km/hから速度を上げると燃費が7.3km/L悪化する理由

【120km/h走行は損?】高速道路で80km/hから速度を上げると燃費が7.3km/L悪化する理由

120km/hで走行すると燃費は3割落ち込む

高速道路を走るとき、「スピードを抑えたほうが燃費は良くなる」と聞いたことがある人は多いと思います。

一方、高速道路は信号や交差点がなく、一定速度で走り続けられるため、「100km/hでも120km/hでも、燃費はそれほど変わらないのでは?」と感じるかもしれません。

では実際、走行速度によって燃費はどれほど変わるのでしょうか。この疑問に対して、JAF(日本自動車連盟)が興味深い実車テストを行っています。

テストが実施されたのは2025年1月30日。新東名高速道路の御殿場IC~新城ICを往復し、ハイブリッド車を使ってACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の設定速度を80km/h、100km/h、120km/hと変え、車載燃費計の数値を比較しました。

ここで注意したいのは、120km/h設定でも全区間を120km/hで走ったわけではないことです。120km/hで走行したのは最高速度120km/hに指定されている御殿場IC~浜松いなさJCT間で、それ以外は100km/hで走行しています。

結果は、かなりはっきりと分かれました。80km/h設定では24.4km/L、100km/hでは20.7km/L、120km/h設定では17.1km/L。80km/hと120km/h設定車では、実に7.3km/Lもの差がつきました。

80km/hから100km/hへ速度を上げると燃費は約15%低下。120km/h設定では、80km/hに対して約30%悪化した計算になります。

空気抵抗は速度の二乗で重くのしかかる

なぜ、これほど差が出たのでしょうか。大きな理由は空気抵抗です。JAFによると、空気抵抗は速度の二乗に比例して大きくなるため、速度が上がるほどクルマを前へ進めるために大きな力が必要になります。

さらに実際の高速道路では、常に設定速度を維持できるわけではありません。速度が高くなるほど前走車に追いつく機会が増え、そのたびに減速と再加速が発生します。JAFも、この加減速の増加が120km/h設定車の燃費に影響したと分析しています。

もちろん、速度を抑えればそのぶん時間はかかります。今回のテストでは、80km/h設定車の所要時間が2時間10分だったのに対し、120km/h設定車は1時間42分。その差は約30分でした。

平均燃費とテスト時のガソリン価格から算出した燃料代では、120km/h設定車のほうが525円高くなりました。今回の条件では、所要時間を約30分短縮する一方、燃料代は525円増えたことになります。

ACC任せにするほうが人間の足より低燃費

そして、もうひとつ興味深い結果があります。同じ100km/hでも、ACCを使うかどうかで燃費に差が出たのです。

ACC使用時は20.7km/Lだったのに対し、ACCを使用せずドライバーがアクセルとブレーキを操作した車両は19.1km/L。差は1.6km/Lでした。

今回のテストでは、ドライバーがアクセルとブレーキを操作するより、ACCに速度調整を任せたほうが燃費が良かったことになります。

JAFが過去に行った別のテストでも、高速道路でACCを使用すると燃費が最大12%向上したケースがありました。アクセルやブレーキの操作回数が減り、速度変化を抑えやすくなることが理由として挙げられています。

ただし、ACCを使えば必ず燃費が良くなるわけではありません。JAFも道路状況や天候、走行時刻、ドライバーの運転経験などによって結果は変わるとしています。

では、「高速道路はゆっくり走れば走るほど燃費が良くなる」という理解でいいのでしょうか。

ここは少し注意が必要です。今回のテストで比較した最低速度は80km/hです。60km/hや50km/hまで速度を落とせば、さらに燃費が良くなることを示したテストではありません。

エンジンやモーターにはそれぞれ効率の良い領域があり、車種やパワートレイン、車重、空力性能、道路の勾配、気温などでも燃費は変化します。

今回のJAFテストから確認できるのは、同じハイブリッド車を使った80/100/120km/h設定の比較では、80km/hがもっとも燃費に優れていたということです。

また、当然ながら120km/hで走行できるのは、最高速度120km/hに指定された区間に限られます。普通乗用車の場合、高速自動車国道で速度指定がない区間の法定最高速度は100km/h。一部区間では指定最高速度として120km/hが設定されています。

今回の実験では、80km/h設定から120km/h設定へ上げることで所要時間は約30分短縮しましたが、燃費は24.4km/Lから17.1km/Lへ悪化しました。

約30分と525円。

高速道路で速度を上げることで何が得られ、何を失うのか。JAFの実走テストは、その違いをかなり具体的な数字で示しています。

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