Apple Pencilが使える「iPhone Duo」は、iPad miniの代わりになるか? 必ず知っておきたい注意点

Apple Pencilが使える「iPhone Duo」は、iPad miniの代わりになるか? 必ず知っておきたい注意点

Apple初の折りたたみ「iPhone Duo」は、2026年内に予定されているソフトウェアアップデートによって「Apple Pencil(USB-C)」によるペン入力に対応する。「iPhoneでApple Pencilが使えたら」という、誰もが妄想したことのある機能が、ついに折りたたみiPhoneという形で実現することになる。

【画像で見る】「Galaxy Z Fold6」までは、筆圧検知も利用できるペン入力に対応していた

フォルダブルスマートフォンにおけるペン入力の希少価値

 現在の折りたたみスマートフォン市場で、ペン入力に対応するデバイスは極めて貴重な存在だ。国内市場でペン入力できる折りたたみスマホといえば、サムスン電子の「Galaxy Z Fold」シリーズが挙げられる。

 しかし、2025年に発売された「Galaxy Z Fold7」以降は、本体の薄型化と軽量化を最優先するために、これまで搭載していたSペン対応が打ち切られてしまった。

 ディスプレイ側に専用のデジタイザ層を組み込むと厚みが増してしまうことや、ヒンジ部分の応力分散に用いられる金属プレートが電磁誘導(EMR)方式のペンの認識を妨げるという構造上のジレンマがあったと考えられる。各社が数mm単位の薄型化競争を繰り広げる中、ペン対応はトレードオフの犠牲になりやすいのが実情だ。

 このような市場背景があるからこそ、開いた状態で約5.2mmという薄さを実現しながらもペン入力の選択肢を残したiPhone Duoの登場は、他社製品と比べても非常に興味深い。

しかし、立ちはだかる「筆圧検知非対応」の壁

 ここで注意しなければならないのが、iPhone Duoで利用できるペンがApple Pencil(USB-C)に限定されているということだ。なぜ上位モデルの「Apple Pencil Pro」や「Apple Pencil 第2世代」に対応していないのか。

 それはペンを側面でワイヤレス充電/ペアリングするための磁気接続面をiPhone Dup本体に設けることが物理的に困難だったためと推測できる。有線ケーブルで直接充電できるUSB-Cモデルのみが、iPhone Duoの要件に合致したということだ。

 Apple Pencil(USB-C)は、高精度な描画や低レイテンシ、そしてペンを傾けることで影やグラデーションを表現できる傾き検知には対応している。しかし、ペンを押し込む強弱で線の太さや濃淡を変化させる筆圧検知機能は省かれている。また、ツールを素早く切り替えるダブルタップ機能など、作業効率を上げるショートカットにも対応していない。

イラストレーターにとってiPad miniの代替にはならない

 この「筆圧検知がない」という仕様は、イラストレーターや漫画家など、ペン入力を創作活動の主軸に置くユーザーにとって致命的なネックとなる。デジタルイラストにおいて、筆圧による線の「入り抜き」の表現は、作品のクオリティーやタッチの繊細さを左右する根幹の要素である。筆圧が感知できなければ、どれほど高精細なディスプレイであっても、線は均一でのっぺりとしたものになってしまう。

 7.6型という画面サイズと携帯性の高さから、iPhone Duoを「iPad miniの代替機」として外出先での本格的な作画に使いたいと考えていたクリエイターも多いだろう。しかし、最新のiPad mini(A17 Pro搭載モデル)がApple Pencil Proの高度な筆圧検知やスクイーズ機能に対応しているのに対し、iPhone Duoはあくまで均一な線しか引くことができない。本格的なお絵描きツールとして両者を比較した場合、iPhone Duoは明らかに力不足であると言わざるを得ない。

 ただし、将来的に筆圧検知に対応できる可能性はゼロではないはずだ。Apple Pencilはペン先の位置や傾きをディスプレイ側のセンサーで読み取るが、筆圧はペン先のセンサーで検知している。

 将来、筆圧検知やダブルタップ機能に対応した“Apple Pencil Pro(USB-C)”といった製品が登場すれば、iPhone Duoでも筆圧が利用できるかもしれない。これは勝手な想像だが……。

用途を見極める必要性

 もちろん、用途を限定すれば評価は大きく変わる。テキストメインのメモ取り、PDF書類への署名や注釈、簡単な図解の作成といったビジネス用途や日常使いであれば、筆圧検知の有無はさほど問題にならず、むしろ遅延のない滑らかなレスポンスが光るはずだ。

 iPhone Duoは、最小構成でも36万円を超える極めて高価な製品だ。常にポケットに入れて持ち歩ける手帳感覚で手軽に「書く」デバイスを求めているのか、それとも精緻なイラストを「描く」ためのクリエイティブツールを求めているのか。発売前に自身の用途を明確に見極めることが、この新しいフォルダブルデバイスを正しく評価する最大の鍵となりそうだ。

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