オープンAIの「AI暴走」、700のエージェントが連携=調査報告書
米オープンAIが開発した人工知能(AI)エージェントがオープンソースプラットフォームを運営するAI新興企業ハギングフェイスのシステムに不正侵入した問題で、約700のエージェントが連携してハッキングを実行し、多くの場合その痕跡を隠蔽(いんぺい)しようとしていたことが、26日公表された2件の調査報告書で明らかになった。
今回の調査結果は、ますます高性能化するAIシステムに対する懸念を一段と強める可能性が高い。
AIモデルの「暴走」については、これまでにも一部が公表されていたが、今回オープンAI自身と外部の調査機関がそれぞれ公表した報告書により、侵入の経緯などに関する新たな詳細が明らかになった。
それによると、今回の侵入は単一のエージェントの暴走によるものではなく、約700のエージェントが連携して行動していたという。
オープンAIは複数のエージェントが侵入に関与したと説明していたが、独立調査を実施したMETRとレッドウッド・リサーチは、その数を約700と推定。オープンAIは調査チームの示した数字は正確だと認めた。
オープンAIが公表した報告書では、同社のエージェントがテストで不正を働いたり、行動の自由度を高めたりする目的で、社内システムの一部にハッキングを行ったことが分かった。また、サイバーセキュリティーとは無関係なタスクで不正行為を行ったエージェントもあったという。
両報告書とも、AIモデルが行動の記録を削除・改ざんすることで不正行為を隠そうとしたと指摘した。
独立調査では、エージェント同士が非公式のメッセージボード上で何万件ものメッセージをやり取りしていたことも明らかになった。こうした暴走行為の規模は、オープンAIがテストをどの程度注意深く監視していたかを巡る懸念を引き起こす可能性が高い。
オープンAIは報告書で「事後的に振り返れば、本報告書で特定された初期の兆候の一部から、より早期の対応が可能だった可能性がある」と述べた。
AIエージェントの能力と動機を研究するパリセード・リサーチのジェフリー・ラディッシュ氏は、サイバーセキュリティー関連以外のテストでも不正行為があったことは、問題がより根深い可能性を示唆すると指摘した。
オープンAIは、エージェントが同社のインフラに侵入した7月19日の2件の事例について明らかにした。1件目の事例では、エージェントがコンピューターの脆弱性を突き、制限されたテスト環境から脱出して他の接続システムにアクセスした。
同日発生した別の事例では、エージェントがオープンAIの認証情報を窃取し、同社のクラウド環境を改ざんした。
複数のエージェントが、不正行為の証拠を隠す目的で、モデルの性能を評価するために使われる自動化システムを標的にしたという。
オープンAIは、研究インフラの強化、監視の拡充、有害または意図しない行動を防ぐための安全対策の改善を進めていると表明。「AI業界の急速な進歩を踏まえれば、このような攻撃は企業組織にとって近い将来に起こり得る脅威と想定すべきであり、今回の事例よりも高度なものになるだろう」と述べた。
