映画のネタバレ記事公開で有罪判決 「感想動画」や「スクショ」アウトの境界線を弁護士が解説
仙台地裁は8月3日、仙台市のサイト運営会社代表の男(38)に懲役2年執行猶予3年罰金100万円の判決を言い渡した。
起訴状などによると、代表らは2020年からおよそ3年半にわたり、映画10作品の内容がわかる「ネタバレ記事」をウェブサイトに掲載し、約3400万円の広告収入を得たとして、著作権法違反の罪に問われた。仙台地裁の裁判官は「創造的な映画文化の発展を阻害しかねない」と述べている。
ネタバレは制作者にとって死活問題だが、ネタバレが許される境界線はどこにあるのか。
レゾバティール法律事務所阪口采香弁護士は、今回の判決のポイントについて「弁護側は著作権侵害があったことについては、特に争っていない。今回は情状弁護が中心だったが、ただ直近で似たような裁判があり、そこではしっかり著作権侵害になるのかどうかが争われた事例だった。そこでのポイントが、原作の本質的特徴を維持したまま記事になっているかどうか。それによって映画の原作、著作者のみなさんが正当な対価を失う権利も侵害しているのかどうかがポイントになっていた」と説明。
さらに、ネタバレの境界線についても解説する。「作品は使用せずに1分のネタバレ動画をアップロードする」について「著作権侵害としてはセーフ」としながらも「別で業務妨害などの可能性がある。著作権侵害は著作物の権利を保護しているので、著作権の本質的特徴、原作の本質的特徴がそのまま表れているかどうか。映画を小説化したようなものなのかどうかが主に見られるので、作品は使用していない、ネタバレだけ、著作権は大丈夫だが業務妨害になるということがあり得る」。
「作品は使用せずに、10分の感想動画をアップロードする」については、「これは1分から10分に増えていて、一般的に言うとその分数が増えれば増えるほど、映画の本質部分により近づいていくのでアウトにはなりやすい。しかしこの場合は、作品は使用していないし、感想動画。そのため原作の本質的特徴は維持していないということで、セーフになりやすい。10分だったとしても」。
「映画を観て感想をYouTubeにアップすることは、アウトなのか?」という質問があがると、阪口弁護士は「元の作品が引用にあたる程度のものなのであればOK。引用は主従関係というものの話になってくるが、投稿者の解説が主で『原作これだよ』というのが従たるもの。投稿者が解説をするために必要な限度で引用するということであれば、それは著作権的にもセーフ」と回答した。
過去の作品のネタバレについては「実はネタバレだけだと著作権侵害は生じない」として「あくまで業務を妨害しているくらい直近のものを言ったのか。昔からある作品のネタバレをしたとしてもみんな知っているし、何の業務も妨害されていなかったりとか。あとはいろいろなところで結末が出ていたりするときには、セーフなことが多い」と説明。
公開中の映画の感想、口コミについては「あくまで自分の言葉で感想を言っているのはセーフになりやすい」として「著作物、映画作品をそっくりそのまま写したのかも評価の対象になる。自分の言葉だったらそうではない」とコメント。
シーンの説明が細かすぎた場合はどうなのか。「(アウトの)可能性はある」として「映画を口頭小説で話しましたよぐらいそっくりそのまま描写しているかどうかにかかってくる。本質的場面は1個じゃないと思うが、『結局映画の本質はこれ』というものをすべて事細かく話してしまったらアウトになる可能性が高い」と解説した。
「ネタバレした状態の作品をスクリーンショットで友人に送る」という行為については「実はこれはアウトになりやすい」として「スクリーンショットするだけだとセーフ。私的利用と言って、個人だけで使うのはいい。しかし、それを友人に送ってしまうと、私的利用の範囲を超えたとなりやすい」と回答。
「ただ、人数だけで切り分けられる問題でもないが、(送ったのが)1人だけだとセーフになりやすい。私的利用の範囲内とも言えるが、たくさんの人に送ってしまったというときには私的利用の範囲を超えている。自分だけで使っていないということでアウトになりやすい」と補足した。
家族間ではどうなるのか。「家族間は友だちよりも『私的利用の範囲』となりやすい。しかし、家族だから何人に送っても大丈夫というわけではない。家族だったとしても、いろいろな家族に送ってしまうと私的利用、自分の利用を超えたとなってくる可能性もある」と注意を促した。
テレビ番組『M-1グランプリ』の結果や内容をネタバレする行為については、「テレビ番組はネタバレということだけで言うと、著作権としてはセーフ。しかし事細かに描写、画角がこうでああでと事細かく説明してしまって、『それはもうテレビを言っているだけだよね』となると、それはアウトになる可能性はある」と説明。
スポーツの勝敗や内容を話す行為については「結末だけを言っているのは著作権的にはセーフ。ただ『業務妨害である』となる可能性はある。では『損害とは何だ』という話になってきて、実際に立件はされない、業務妨害にならないという可能性のほうが高い」と解説した。
※本記事は、番組内で阪口采香弁護士が解説した内容を紹介するものです。著作権侵害にあたるかどうかは、利用した著作物の内容や利用方法、利用の範囲などによって個別に判断されます。
