がん細胞を熱で破壊する「光熱療法」実現へ新技術
東北大学の都英次郎教授らはエア・ウォーターとの共同研究で、近赤外線レーザーを使い、がん細胞を熱で破壊する「光熱療法」を実現へと前進させる新技術を開発した。治療用微粒子を腫瘍に届ける被膜材料と腫瘍内部からレーザーを照射する装置を組み合わせた。ネズミの大腸がんモデルで治療効果を確認。今後、早期臨床応用を目指し、研究を進める。
光熱療法は、光を熱に変える微粒子を患者に投与して腫瘍に集め、レーザーを照射して熱でがん細胞を破壊する次世代療法だ。
今回、免疫の攻撃を避けて微粒子を腫瘍に届けるため、AI(人工知能)で新たな被膜材を設計した。ヒト血清アルブミンの立体構造を基に高い親水性と適切な電荷バランスを持つたんぱく質「IDP1」を作製。従来の被膜材に比べ微粒子の血中滞留時間を4倍以上とし、正常臓器への分布は少なく腫瘍に集まることを確認した。
次に極細硬性内視鏡を注射針内に収め、腫瘍内に直接挿入してレーザー照射するシステムを開発した。従来の体外からのレーザー照射に比べ28%低い出力で、従来と同等の温度上昇を達成。ネズミを用いた検証では腫瘍が14日以内に消失した。研究成果は、ナノサイエンス分野の専門誌「スモール・サイエンス」に掲載された。
