食料品の消費税1%、政府・与党方針固める 30日にも高市首相指示
食料品の2年限定の消費減税について、政府・与党は来年4月から1%に引き下げる方針を固めた。高市早苗首相(自民党総裁)が30日にも、自民党に法改正に向けた党内手続きを指示する方向で調整している。複数の政権幹部が明らかにした。
与野党でつくる社会保障国民会議は27日の実務者会議で、消費減税について分かれる各党の意見の集約を断念。1%案のほか、現金給付案など各党の意見を併記する中間報告をまとめる方向となった。関係者によると、29日にも開く国民会議の親会議で各論を併記した中間とりまとめを決め、首相の判断に委ねる。
国民会議では、実務者会議の議長を務める自民党の小野寺五典税調会長が、現在8%の食料品の消費税率を4月から1%にし、残る1%分(約6千億円)の規模で中低所得者に給付を行うことで「実質ゼロ」とする議長案を6月に提示していた。政府・与党は、この議長案に沿う方向で進める。
目立つ課題の先送り…消費税減税中間とりまとめ案、外食産業や農業支援・代替財源に具体策盛り込まれず
社会保障国民会議の実務者会議で示された中間とりまとめ案では、消費税減税を実施する場合の多くの課題が先送りされた。経営の悪化が懸念されている外食や農業への支援、代替財源の確保について具体策は盛り込まれず、野党からは早期の具体化を求める声が上がった。
「農林漁業者や外食産業には、不安をお持ちの方もいる。しっかり寄り添った形で取り組んでいくことが大事だ」
実務者会議の議長を務める自民党の小野寺五典税制調査会長は27日の会議後、消費税減税で影響を受ける事業者への支援の必要性を強調した。
スーパーやコンビニで販売される総菜・弁当などの税率が8%から1%に引き下げられた場合、10%の外食との税率差が拡大し、外食の売り上げ減少につながる可能性がある。外食の業界団体からは需要喚起策などの支援を訴える声が出ていた。
小規模事業者への影響も懸念されている。売り上げが年1000万円以下の事業者は消費税の納付が免除されているが、食料品の税率が引き下げられれば、これまで収入になっていた販売時の消費税額が大幅に減少する。特に農家は8割以上が小規模事業者で、影響が大きい。
外食や農家などへの支援について、中間とりまとめ案では「2027年度からの実施に向け、支援内容を具体化していく」との表現にとどめた。事業者らが納得できる支援策を打ち出せるかは不透明だ。
■5兆円の穴
消費税減税に伴う代替財源の確保も明確化されなかった。
6月に示された議長案では〈1〉27年4月から2年間、食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる〈2〉1%分の税収額にあたる約6000億円強を中低所得者に給付する――ことで、消費税率の「実質ゼロ化」を実現させるとしていた。これらで年間約5兆円の税収減となる。
中間とりまとめ案は、代替財源について「特例公債(赤字国債)に頼らない」とした上で、租税特別措置(租特)や補助金の見直し、税外収入などで確保するという従来の政府・与党方針から踏み込まなかった。具体化は年末にかけて行われる27年度予算編成や税制改正に先送りされた。
政府が代替財源として当てにする租特・補助金見直しの行方は不透明だ。6月末までに行われた各省庁の自己点検では、約120項目の租特のうち廃止の方針が打ち出されたのは1件にとどまった。
高市政権は半導体やAI(人工知能)などの戦略分野に重点投資する方針を掲げており、防衛力強化に向けて防衛費の増加も不可欠となっている。消費税の減税を赤字国債に頼らずに進める場合でも、他の分野で国債が増発されれば市場の信認低下につながる懸念は拭えない。
国民民主党の古川元久代表代行は27日の会議後、代替財源や事業者らの支援に関し、「政府・与党において、懸念を払拭(ふっしょく)するようなパッケージとしての案を早急に示すべきだ」と指摘した。
