大型ミニバン「エルグランド」16年ぶり全面改良、日産ブランド復権なるか
日産自動車は16日、新型大型ミニバン「エルグランド」を16年ぶりに全面改良して発売した。日産を代表する旗艦ミニバンであり、経営再建期間中の同社が「ブランド復権の象徴」にしたいという願いを込めた新車だ。シリーズハイブリッド第3世代「eパワー」のモーター駆動など最新電動技術を投入した。事実上の再参入となる高級ミニバン市場。日産は電動技術をフル活用してドライバーの「運転する楽しさ」を打ち出し、トヨタ自動車「アルファード」の牙城を崩しにかかる。(編集委員・小林広幸)
「らしく走れNISSAN」―。同日、横浜市西区のグローバル本社で開いた発売イベントで、杉本全執行職が発表したのは、新たなブランドメッセージだ。電動化をはじめとする日産らしい挑戦と顧客が大切にしている価値観の重なり合う領域を目指す。メッセージを体現するモデルとして新型「エルグランド」を紹介した。
杉本執行職は「日産が目指してきたのは、技術のための技術開発ではない。技術を通して顧客の喜びや感動、より豊かな体験を実現することだ」と強調。最新の電動化技術をふんだんに盛り込んだエルグランドが、これまでにない顧客体験を提供できるものであることに自信を見せた。
エルグランドは日産の商品戦略で、軽電気自動車(EV)「サクラ」などとともに、新たな市場機会を捉える「成長(グロース)モデル」に位置付けられている。初代のエルグランドが切り開いた高級ミニバンというジャンルだが、現在はほぼ空白域。台当たり単価の高い車両の販売で収益増を図るとともに、“王者の復活”を日産ブランド復権の起爆剤にしたい考えだ。
市場では競合車アルファードが絶対的な地位を譲らない。ショーファーカー(運転手付き自動車)として評価が高い競合車への差別化ポイントとして、エルグランドは“ドライバーズカー”を訴求する。
モーター駆動だからこそできる発進時からの力強いトルク、アクセル操作への高い応答性や、路面状態や操縦に瞬時に対応する緻密な4輪およびサスペンション制御。これらを特徴として打ち出すエルグランドの運転性能は、日産の電動車技術の到達点でもある。
日産は工場再編をはじめとする経営再建計画「リニッサン」中ではあるが、前向きに力強く、巻き返しフェーズに入っている。イバン・エスピノーサ社長ら現経営陣のリーダーシップが受け入れられているのに加え、相次ぐ新型車の投入が追い風となっている。これに、ブランド力や販売回復という結果が追いついてくれば、再建の先に新たな未来も確実に見えてくる。
