【日本が世界をリードするデトネーションエンジン開発】爆発の衝撃波を利用する次世代エンジン

【日本が世界をリードするデトネーションエンジン開発】爆発の衝撃波を利用する次世代エンジン

宇宙ロケットに使われてきた従来のエンジンは、燃料を燃やして生じる「爆発」によって推進力を得ています。しかし、この方式はエネルギー効率に限界があり、より高性能で燃費の良い次世代エンジンの研究が世界中で進められてきました。

その中で注目されている、衝撃波を伴う超高速燃焼「爆轟(デトネーション)」を利用するデトネーションエンジンをご紹介していきます。

燃焼には速度の違いがあります。焚き火のようにゆっくり進む燃焼もあれば、一瞬で進む爆発もあります。さらにその先、燃焼の伝播速度が音速を超え、衝撃波を伴う状態になると「爆轟」と呼ばれます。

一般にイメージされる大規模な衝撃波を伴う爆発現象の多くは、物理的には爆轟に分類されます。爆轟は通常の爆発とは比べものにならないほど強力なエネルギーを生み出すのです。

爆轟の凄まじさを示す例として、2020年に起きたレバノン・ベイルートの港湾爆発事故があります。倉庫に長年保管されていた大量の硝酸アンモニウムが爆轟を起こし、10km以上離れた場所でもガラスが割れるほどの衝撃波が発生しました。この事故は、爆轟がいかに巨大なエネルギーを伴う現象であるかを世界に示しました。

爆轟を「制御」して推進力に変える挑戦

デトネーションエンジンは、この爆轟を意図的に、かつ連続的に発生させ、その衝撃波を推進力として利用します。理論上は、従来型エンジンよりも小型・軽量で、燃費が良く、高速飛行が可能になります。

一方で最大の課題は、爆轟という極めて不安定な現象を安定して持続させることでした。

この難題に真正面から挑んできたのが、日本の研究チームです。JAXAは、爆轟を円周方向に連続して回転させる「回転デトネーションエンジン」の研究を進め、2021年には観測ロケットS-520 31号機に搭載して実証試験を実施しました。

鹿児島県・内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたロケットは、無事に飛行を終え、エンジンが宇宙空間で安定して作動することを示しました。その後、名古屋大学などの研究機関から詳細な飛翔データが発表され、エンジンの安定動作や高い性能が確認されています。

ロケットから月・火星航行へ

さらに2024年には、液体推進剤を用いた改良型デトネーションエンジンの宇宙実証にも成功しました。液体推進剤は同じタンク容量でも多くの燃料を搭載できるため、将来的な輸送能力の向上につながります。目標とされていた推力や比推力も達成され、実用化への道が大きく開かれました。

デトネーションエンジンは、ロケットだけでなく、将来の月・火星間を行き来する宇宙船用エンジンとしても期待されています。基礎研究から宇宙実証までを一気に進めている点で、日本の開発は世界的にも先行していると言えるでしょう。

次世代宇宙輸送を支える技術として、日本発のデトネーションエンジンが本格的に実用化されたとき、宇宙開発はどのように変わると思いますか?ぜひ皆さんからのコメントお待ちしています。

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