あの中国がアメリカよりも先にスマートグラスのプライバシー問題に取り組んでいるって⁉︎
えらいぞ、中国!
ちょっと失礼な言い方ですけど、びっくり仰天なことが起こっています。中国がスマートグラスに関するプライバシーを守るという点で、他の国より先に対策を講じることになったのです。
でもそれくらいスマートグラスというのは、パワーがあるウェアラブルってことかもしれません。中国情報通信研究院が中国全土の企業向けのガイドラインを打ち出しました。これは、スマートグラスをどう、いつ使うべきか、そしてハードウェアにどんなプライバシー対策を組み込むべきかの基準を定めたものです。
プライバシーを守ろうと動く中国政府
South China Morning Postによると、このガイドラインはユーザーの行動だけでなく、企業がハードウェアをどのように設計すべきかなどにも焦点が置かれているといいます。
中国政府はスマートグラスのメーカーに対し、録画する相手からきちんと同意を得るよう求めています。ちなみに政府がこう促した背景には、スマートグラスメーカーのRokid(ロキッド)のスキャンダルが原因だと考えられています。Rokid製のスマートグラスをつけた人が客室乗務員を録画し、その動画がRokidのコミュニティプラットフォームに投稿された、という一件でした。
さらにこのガイドラインは、写真や動画を撮影中だと周りの人に知らせるために光るLED録画インジケーターの標準化も狙っているとのことです。こうしたインジケーターは、中国でもアメリカでも売られているスマートグラスにはすでに付いていることが多いのですが、今のところどちらの国でも法的に搭載が義務づけられてはいません。
録画も最小限に
このガイドラインはまた、スマートグラスが収集するデータは最小限にする、という方針も打ち出しています。つまり「企業はセンシティブな情報をなるべく集めず、保管もしないでほしい」ということです。
今年初めに、Meta(メタ)のスマートグラスをめぐるスキャンダルで明らかになったように、写真や動画はときに収集・保管され、最終的にMetaのAIの訓練を手伝うスタッフに中身をチェックされることがあります。そしてその中身には、多くの人がプライベートにしておきたいもの、たとえば着替えているところや、トイレで用を足している場面、そして銀行の口座情報まで含まれているかもしれないのです。
意外すぎる中国の動き
中国といえば「監視国家」として知られています。世界最大かつ最も複雑とされるCCTVシステムを動かしていると言われています。2023年時点で7億台以上のカメラが存在し、顔認識のような技術もあちこちに広がっています。
スマートグラスに対する中国の姿勢が意外なのは、トップダウンで先手を打ったから(アメリカの規制は今のところ州レベルで徐々に出てきているだけの状態)というだけでなく、こうした背景があるから。
ただ、このガイドラインはどれだけ目新しくても、結局何の強制力もありません。South China Morning Postが指摘しているとおり、この行動規範はあくまでも任意なので、やろうと思えば上で挙げた内容は全部簡単に無視できてしまうというわけです。
さらに権限という壁もあります。企業がユーザーに、相手の知らないところで録画してはいけないといくら呼びかけても、いったんユーザーがグラスを手にしたら、録画をするかしないかを決めるのは本人の倫理観によるものだからです。
どちらにしても中国はしっかりとスマートグラスへの懸念に向き合って行動を起こしているというのは、アメリカよりも一歩進んでいると言えます。とはいえ、アメリカでも近いうちに空気が変わるかもしれません。たとえば、Metaがスマートグラスに顔認識を導入する可能性があり、これが動かざるを得ないとどめの一撃になるかもしれません。
