プーチン氏風刺のロシア人アーティスト、ポーランドで射殺される
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を風刺することで知られていたロシア人アーティスト、セミヨン・スクレペツキー(本名:ロベルト・クゾフコフ)氏が、ポーランド東部ビャワポドラスカで射殺された。当局が16日、発表した。
ポーランド東部ルブリン県検察のマルチン・コザック報道官は記者団に対し、「メディアでセミヨン・スクレペツキーとして知られる、ロシア連邦国籍の44歳の男性が殺害された事件について、現在捜査が進められている」と述べた。
同氏によると、この殺人事件に関連してベラルーシ国籍の男2人が逮捕された。2人は、ビャワポドラスカにあるベラルーシ領事館の周辺で拘束されたという。
だが、ルブリン県警察のアンジェイ・フィヨレク副警視によると、実行犯は今も逃走中で、警察が行方を追っているという。
ポーランド当局によると、スクレペツキー氏は15日朝、正体不明の男に襲われた。拳銃で3発撃たれて倒れ込むと、近づいてきた男に至近距離からさらに3発撃たれたという。
ポーランド政府のアダム・シュラプカ報道官によると、同国はスクレペツキー氏に身辺警護を打診していたが、本人が辞退していた。
だがポーランドメディアによると、事件を受けてスクレペツキー氏の家族は安全な場所に移されたという。
スクレペツキー氏は挑発的とも言える風刺画で知られており、プーチン氏や旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンから、2024年2月に獄死したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏、ロシア南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長に至るまで、旧ソ連やロシアの著名な政治家を風刺していた。
代表作の一つは、伝統的な正教会のイコン(聖像画)を再解釈したもので、幼子イエス・キリストを抱く聖母マリアの代わりに、プーチン氏を抱くスターリンの姿を描いたものだ。
スクレペツキー氏は2021年、ロシアで政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあるとしてポーランドに亡命した。
亡命先でも独自路線を貫き、ロシア反体制派のイベントに出席する一方、反体制派を公然と批判することもあった。
ロシア政府に反対した複数の人物が、国外で襲撃を受けている。
英国では2006年、亡命していた元連邦保安局(FSB)職員のアレクサンドル・リトビネンコ氏が放射性物質ポロニウムによって毒殺された。2018年には、ロシアの元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏とその娘のユリア氏が、神経剤ノビチョクによる毒殺未遂に遭った。
ドイツでは2019年、チェチェン紛争で分離主義派を指揮したゼリムハン・ハンゴシュビリ氏がロシア国籍の男に射殺され、独ロ間の外交危機を引き起こした。
リトアニアでは2024年、ナワリヌイ氏の元側近レオニード・ボルコフ氏へのハンマーで襲撃された。リトアニア当局はこの事件について、ロシア主導である「可能性が高い」と指摘していた。
ロシア政府はこれら一連の襲撃事件への関与を一貫して否定している。
