マイクロソフトXbox部門、大幅人員削減を計画-新CEOが事業立て直し

マイクロソフトXbox部門、大幅人員削減を計画-新CEOが事業立て直し

米マイクロソフトのゲーム事業「Xbox」部門は来月、大規模な人員削減を計画している。同部門の最高経営責任者(CEO)に新たに就いたアシャ・シャルマ氏が、減収に歯止めをかけるため改革を進める。

削減規模はまだ明らかでないが、6月30日に同社の会計年度が終了した後、間もなく実施される見通し。非公開情報だとして匿名を条件に、同社の戦略に詳しい関係者が明らかにした。同関係者によると、Xbox部門はマーケティングや一部事業分野の予算も大幅に削減する計画だ。

Xbox部門の担当者はコメントを控えた。

シャルマCEOは2月の就任以降、急速に存在感を示している。同部門が抱える課題について公の場で発言し、最近開かれたブルームバーグ・テック会議では、「健全な状態にない」Xbox事業を「リセットする」考えを示した。

ブルームバーグが確認した10日の従業員宛て電子メールで、同CEOは、マイクロソフトが利益率を示す指標として用いる「アカウンタビリティー・マージン」が同事業で3%に急低下したと説明した。このメールはその後、Xbox部門のブログに掲載された。

同CEOは、「アクティビジョン・ブリザード・キングを除くと、過去5年間にコンテンツやプラットフォーム、ハードウエア補助への継続投資として200億ドル(約3兆2100億円)超を費やしたが、その間に年間売上高は5億ドル近く減少した」と指摘。「今後、この状態を続けるわけにはいかない」とした。アクティビジョン・ブリザードは2023年にマイクロソフトが買収した。

かつてビデオゲーム業界の巨人だったXboxは、ここ数年成長に苦しんでいる。ハードウエア事業の売上高は急減し、ヒット作を安定的に生み出せず、サブスクリプションサービス「ゲームパス」の人気も頭打ちとなっている。親会社から利益率改善の圧力を受ける中、Xbox部門は過去2年、スタジオ閉鎖やゲーム開発中止、値上げを進めてきた。

シャルマCEOはメールで、Xbox部門には大きな可能性があり、プレーヤー需要も高い業界を代表するシリーズがあるとした上で、「競争に勝つための十分な資金を投じてこなかった」と指摘。同時に、成功には独占タイトルと新規知的財産(IP)の安定した供給が不可欠だとも述べた。「今後5年間に向け、独占タイトルや新規IPと、投資優先順位とのバランスを再検討する必要がある」と記した。

Xbox部門が今後数週間から数カ月でプラットフォーム基盤を再構築し、ポートフォリオを見直す必要があると同CEOは説明。コンテンツ供給を増やすため事業を拡大してきたが、コンテンツがより容易に入手できる環境で戦略転換を進める中、「過度に拡大した」状態になったという。

■独占提供に回帰へ

近年、同部門はソフトウエアの大半をソニーグループの「プレイステーション」や任天堂の競合ゲーム機でも発売してきた。これにより「インディ・ジョーンズ」や「フォルツァ・ホライゾン」などのゲームは、より幅広いユーザーに届いた。ただ、独占提供の路線から離れたことで、Xboxのゲーム機としての魅力が損なわれた可能性がある。

シャルマCEOはこの方針を転換しようとしている。7日のプレゼンテーション動画で今後のゲームラインアップを紹介した際、「ギアーズ・オブ・ウォー:E-Day」と「クロックワーク・レボリューション」をプレイステーションやスイッチでは発売しないと発表した。その後のインタビューで、同CEOと経営陣は今後のタイトルについて個別に判断すると述べた。

Xbox部門の戦略に詳しい関係者によると、新作「ギアーズ・オブ・ウォー」のプレイステーション5版は開発中で、同CEOが方針転換するまで発売が計画されていた。小売業者はプレイステーション5版の予約受付開始を準備しており、Xbox部門の多くの従業員は発表に驚いたという。

関係者によると、同CEOらは、先週のプレイステーションのイベントで公開予定だった「Halo(ヘイロー)」の予告編も取り下げた。両社の関係に悪影響を及ぼす恐れがあるという。

独占提供への回帰は熱心なXboxファンを沸かせ、ブランドの見通しを改善する可能性がある。一方で、相当な売上高を失う恐れもある。プレイステーション5の販売台数は9000万台を超えている一方、アナリストはXboxの販売台数をその約3分の1と推計している。

■次世代Xboxの戦略変更が必要

同CEOは従業員宛てメールで、Xbox部門が部品危機に直面していると改めて説明した。27年のホリデー商戦期までに、ストレージとメモリーの部品コストは24年の5倍になると見込むという。これに伴い、コードネーム「Helix(ヘリックス)」と呼ばれる次世代Xboxの全体戦略を変更する必要があると記した。

「業界全体が部品危機に直面しているが、過去5年のわれわれの選択により、多くの同業他社よりも深刻な影響を受けていると考える」と同CEOは記し、「現在、われわれはプレーヤーが購入したいだけの台数を生産できていない。Helixへの取り組みを続ける中で、ハードウエアについて新たなビジネスモデルと提携が必要だ」とした。

従業員宛てメモで人員削減には触れなかった同CEOは、ブルームバーグ・テックで、前任のフィル・スペンサー氏と同じ財務上の圧力をマイクロソフトから受けているわけではないと述べた。

「私に与えられた任務は30%のアカウンタビリティー・マージンを達成することではない」と発言。「法人向けソフトウエア並みの利益率でもない。ゲームとエンターテインメントでナンバーワンの企業になることだ」と語り、抜本的な変革を必要とする企業像を示した。

同CEOはメモで「こうした現実に驚き、いら立ちを覚える人もいるかもしれない」と記しつつ、「厳しい真実を隠していては成功しない。同じことを繰り返しながら、異なる結果を期待しても成功はない」とした。

Xboxは「このままでは続けられない」―新CEOアーシャ・シャルマ氏が厳しい現状を共有。事業リセットを宣言

Xbox Wireが更新され、新CEOであるアーシャ・シャルマ氏とXbox EVP兼チーフ・コンテンツ・オフィサーのマット・ブーティ氏の共同声明として、マイクロソフトのXbox部門が厳しい状況に立たされていることを明らかにしました。

「このままでは続けられない」

発端となったのは、Bloombergによる大規模なレイオフ計画の報道です。同報道では、関係者筋からの情報として、会計年度が終了する6月30日の直後に、正確な規模は不明ながら、小さくない規模のレイオフや予算削減が行われる見込みであると伝えられています。Xboxの広報担当者は、同誌の問い合わせには回答しませんでした。

その次にXbox Wireで公開されたのは、世界中のXbox従業員向けに送られた「Xbox再生」を目指すメッセージです。まずは『Forza Horizon 6』の成功や、Xbox Games Showcaseでの独占タイトル路線への回帰や、FanFestの復活によってファンからの支持を得られたことに触れ、「ファンは私たちを応援してくれています」と従業員を励ましました。

一方で、厳しい現状も共有されています。今会計年度末の説明責任マージン(accountability margin、Microsoftが用いる利益率の指標)は約3%にとどまり、前年比で低下。Activision Blizzard Kingを除くと、過去5年でコンテンツ、プラットフォーム、ハードウェア補助への継続的投資に200億ドル以上を費やしてきたものの、年間収益は約5億ドル減少しているといい、「今後、この状況を続けることはできません」と述べました。

加えて、コンソール用ストレージ部品の調達価格が昨年秋と比べて2倍以上になっており、2027年ホリデーシーズンに向けてはさらに大幅な上昇が見込まれ、2年前の5倍を超える水準になるというハードウェアコスト面での現実も共有されています。

さらに、ここ数年でGame Passやクラウド、マルチデバイス展開など複数の戦略に対応するための体制を整えてきた結果、投資やリソースが分散しすぎ、強力なフランチャイズへの需要に対して十分な資金を投じることができていなかったとも説明。加えて、現在のプラットフォーム基盤は複雑化しており、外部ベンダーへの依存も大きいとして、自社の技術力を高めながらシステムを再構築していく方針が示されました。

なお、シャルマ氏とブーティ氏は今回の声明内で、人員削減について直接言及していません。一方で、Xbox事業の収益性低下やハードウェアコストの高騰、投資優先順位の再評価、プラットフォーム基盤の再構築など、抜本的な見直しが必要であることは明確に示されています。

フィル・スペンサー氏からアーシャ・シャルマ氏に交代して以降、急速に改革が進むXbox。Bloombergが報じた大規模レイオフ計画が今後どのような形で実施されるのか、そして新体制のXboxがどのような方向へ進むのか、動向に注目が集まります。

「Xbox」の現状を伝える新CEOのブログが公開。ハードの危機に直面、サブスクは再び成長軌道に

マイクロソフトは6月11日、公式ブログ「Xbox Wire」にて「Next 100 Days: Xbox Reset」を公開した。

 新CEOであるアシャ・シャルマ氏の就任、サブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」の値下げ、次世代機「Project Helix」の開発発表など、立て続けに大きなアクションが行なわれているXbox部門。今回、CEOのアシャ・シャルマ氏、CCOのマット・ブーティ氏による「Xbox」の現状を伝えるブログが公開された。

 Xboxは、過去5年間でプラットフォームやハードウェア、コンテンツに200億ドル以上の投資を行なってきたが、年間収益は5億ドル以上減少しており、この現状は「許容できない」とコメント。また、ハードウェアの危機にも直面しており、ストレージやメモリのコストは2年前と比較して5倍を超えると予想しているほか、現行機のXbox Series X|Sは十分な量を生産できておらず、次世代機「Project Helix」には新たなビジネスモデルとパートナーシップが必要になるとした。

 一方で毎年10億人以上のプレーヤーがXboxゲームをプレイしており、コンソールやPC、モバイル、ストリーミングを合わせた総プレイ時間は720億時間に達すると発表。Xboxフランチャイズは世界的に愛されており、値下げが行なわれた「Xbox Game Pass」も再び成長軌道に乗ったことを報告した。

 アシャ・シャルマ氏とマット・ブーティ氏は「最初の100日間で培った“日々の成功”という精神に基づき、ハードウェア、コンテンツ、ユーザー体験、サービスにおいて、共に前進するために全力で取り組んでいきます」とコメント。続けて「No.1のゲーム&エンタメ企業を築き上げよう」と締め括った。

Xbox新CEO、独占タイトル路線への回帰を説明―Game Pass値上げで加入者が減少傾向も、値下げで成長軌道に戻りつつあることにも言及

ビジネス紙「フォーチュン」は6月10日、同紙の企画番組「Fortune Conversations」で、Xbox新CEOのアーシャ・シャルマ(Asha Sharma)氏へのインタビューを行いました。

今回の対談「To the Next Level」はXbox新CEOを迎え、コスト高騰や市場の変化に直面するゲーム業界の現状と、今後のプラットフォームビジネス戦略などについて語られています。

加入者減少でGame Pass方針を修正、回復基調に

冒頭でここ数年、Xboxの先行きが不透明視される中、新CEOとして初めてショーケースを開催した感想を問われると、シャルマ氏は就任からの100日間で新CEOとしての“3つの誓い”として掲げた「素晴らしいゲームを守り抜き、Xboxの復活を牽引し、ゲームの未来について語り合う」ことに再度触れ、「ショーケースでは2つの新しい独占タイトルの発表に加え、25周年記念の特別エディションコンソールも登場し、Xboxの復活を飾ることができ、素晴らしかった」と述べました。

Xboxの長年の柱であるGame Pass価格の引き下げの経緯を問われたシャルマ氏。「Game Passは同社の豊富なラインナップに触れ、そして新作もローンチ初日からすぐ遊べる、素晴らしいサービスです。しかし2025年10月に価格を最大50%引き上げると加入者数の減少傾向が見え始めました。シンプルにユーザーにとって手の届かない価格設定になったからです」と、同氏が就任する前の出来事について振り返りつつ、失敗を認めた上で次のように述べています。

「そこで(同氏が就任後に)価格とサービス内容の調整を行いました。結果は、加入者数が増加し成長軌道に戻りつつあります。さらに重要なのは、ユーザーの定着率が向上し始めていることです」

このように、Game Pass加入者状況は順調に戻りつつあるようです。

さらに「まだやるべきことは残っています。今夏、あらゆるタイプのプレイヤーのニーズに応え、より柔軟なサービス展開を図れるよう、さらなる取り組みを進め、今後も継続的に改善していく予定です」と語りました。

Xbox独占タイトル復活へ「通らねばならない道」

来場者からの質問としてピックアップされたのは、Xboxの独占タイトルに関する話でした。前CEOは独占配信を排除する方向でしたが、今回のショーケースで発表された『Clockwork Revolution』と『Gears of War: E-Day』は、どちらもXboxコンソール独占タイトルです。

これについては先日、Xbox部門CCOのマット・ブーティ氏がコンソール独占にするかどうかは「ケースバイケース」と発言していました。すでにマルチプラットフォームでの発売がアナウンスされているタイトルについては、当初の予定通り発売されることが、Xbox公式ブログでも書かれています。

この方針転換の背景についてシャルマ氏は自らを“世界第2位のパブリッシャー”であると述べ、「その立場にある以上、自社のゲームをあらゆるプラットフォームで提供したいと考えるのは当然のこと」としながらも、「同時に私たちは(単なるパブリッシャーではなく)プラットフォーマーとしての傾向を強めており、独占的なサービスやコンテンツを持たないプラットフォームの先例を見つけるのは難しい状況です。それゆえ、これは私たちが通らねばならない道のりだと言えます」と、プラットフォームとしての生存戦略であることを強調しました。

また、「まずは少数の代表的な独占コンテンツから導入し、事業が好調になれば、さらに多くの取り組みを行っていきたいと考えています」と、今後もXbox独占タイトルの登場を示唆しています。

インタビューの最後に「PlayStationユーザーとも、任天堂のユーザーとも違う、今日Xboxユーザーであることの意味はなんでしょう?」という質問が投げかけられました。その回答は「Xboxはプレイヤーも開発チームも、常に少し他とは違うという点」でした。「オンラインゲームの価値をまだ誰も信じなかった時代に、彼らはXboxにイーサネット接続を搭載し、人々が「ソーシャル」という概念を理解する前からXbox Liveを立ち上げました。良い時も悪い時も、プレイヤーと開発チームは助け合うために力を合わせ、常に他では誰もやらないことに挑戦してきた存在」としています。

なお、シャルマCEOが人生で初めてプレイしたゲームは『スターフォックス』で、Xboxでの初プレイタイトルは『Halo』だそうです。

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