マイクロソフト、AI特化型プラットフォーム「Project Solara」発表

マイクロソフト、AI特化型プラットフォーム「Project Solara」発表

マイクロソフトは、チップからクラウドまでを統合したプラットフォーム「Project Solara」と、コンセプトデバイスを発表した。

 「Project Solara」は、AIエージェントを主体とした、新しいデバイス体験を実現するもの。従来のアプリを起動する操作から、エージェントを通じて意図を伝える新しい対話モデルへの移行が目指される。

■ 「Project Solara」開発の目的

 これまでの新しい形態のコンピューター開発には、ハードウェアからソフトウェア、UIに至る全レイヤーの構築が必要で、多大なコストと時間がかかっていた。この負担を、AIとエージェント機能の進化によって軽減するのがマイクロソフトの狙いだ。

 毎回スタック全体を再構築することなく、これまで以上にコンテキストに沿って、価値をもたらす新しいタイプのコンピューターを作成可能とすることが「Project Solara」のミッションとして掲げられている。

 エージェントが「新しいプログラミング単位」や「人間と機械のインターフェイスの新しい単位」になると位置づけられており、アプリの枠を超えてワークフローやデバイス間を連携させることで、特定のタスクや環境にさらに特化したツールが開発しやすくなるという。

■ エンタープライズ向けの堅牢なプラットフォーム

 「Project Solara」は、企業向けの管理、セキュリティ、プライバシー保護を前提に設計されている。デバイス側のOSには、Android(AOSP:Android Open Source Project)をベースとしたエンタープライズ対応の「MDEP(Microsoft Device Ecosystem Platform)」が採用される。

 「Microsoft Intune」による、パソコンやモバイル端末と同等のデバイス管理が可能で、「Entra ID」を通じた既存のマイクロソフトアカウントの利用もサポートされる。

 また、デバイス側には生体認証「Hello for Business」を利用したアクセスや、物理的なマイクのミュートボタン、録音・待機状態を示す明確なインジケーターなど、ハードウェアレベルでのプライバシーコントロールが求められるのも特徴だ。

 UI面では、AIがインターフェイスを自動生成する将来像を見据えつつ、現在は「半構造化アプローチ」などにより、画面サイズや操作方法に応じて柔軟にUIを適応させる「Just-in-time UI」が導入され、開発者の負担を減らしつつ一貫した体験が維持される。

 さらに、単一のエージェントに依存せず、企業が自社の業務に合わせて構築した独自のエージェントを組み合わせて利用できる拡張性を備えている点も大きな特徴だ。

■ コンセプト端末

 プラットフォームの推進にあたり、マイクロソフトはクアルコム(Qualcomm)やメディアテック(MediaTek)と提携。携帯型と据え置き型のコンセプトモデルが開発された。

 クアルコムとは携帯型の「バッジコンセプト」で協業が進行している。ウェアラブル向けのチップセットが搭載されており、インフォメーションワーカー(ナレッジワーカー)や医療従事者、フロントラインワーカーが常にエージェントを持ち歩けるデバイスとなる。

 「バッジコンセプト」には、タッチ対応ディスプレイや、遠距離高SNRマイクアレイとスピーカー、Hello for Business対応の指紋センサーボタン、側面カメラを備える。5Gのほか、Wi-FiやBluetooth、GNSSに対応する。

 一方、メディアテックとは据え置き型の「デスクコンセプト」を開発。IoT向けシリコンを採用しており、Windows PCのコンパニオンとして動作するほか、外部ディスプレイ接続によるWindows 365クライアントとしても機能する。

 メディアテックのIoT製品向けチップセットを搭載し、タッチ対応ディスプレイや、Hello for Business対応の顔認証機能、デュアル遠距離マイクアレイとスピーカー、プライバシーロックボタン、マイクミュートボタンと音量ボタン、UWBプレゼンスセンサー、電源供給や外部ディスプレイ・周辺機器接続用のUSB-Cポートを2つ備える。無線接続はWi-FiとBluetoothに対応する。

■ さまざまなAIエージェントとの連携

 「Project Solara」は、「Microsoft 365 Copilot」のような既存AIエージェントと連携できる。日常の業務ブリーフィングの提供や、デバイスから直接ワンタップでの会議録音・要約など、日々の業務をシームレスにサポートする機能を備える。

 また、「Work IQ」のデータに基づいて「今、何に注目すべきか」を動的に取捨選択し、ユーザーに提示する実験的な「Priority Agent」の開発も進められている。

 さらに、開発者向けには「GitHub Copilot」を活用してコーディングプロジェクトの進捗を確認したり、医療従事者向けには「Dragon Copilot」を通じてワークフローを中断せずに診察内容の記録や関連情報を表示したりといった、多様な業界向けの実用化に向けた検証が進められている。

■ 今後の展開

 今後数カ月の間に、AccuWeather、Best Buy、CVS Health、Levi's、Targetなどの企業とパイロットプログラムが開始される。また、マイクロソフト社内でも既に数百人の従業員がコンセプトデバイスを使用し、業務改善のテストが実施されている。

 シリコンパートナーとの協業が広げられ、小売、医療、金融など多様な業界向けに特化したソリューションのエコシステム構築が目指される。

Microsoft、AIエージェント時代の新デバイス「Project Solara」

Microsoftは2日(米国時間)、開発者会議「Build」において、AIエージェント時代に対応した新たな「エージェントファーストデバイス」として、「Project Solara」を発表した。

AIエージェントを前提とした業務に適したデバイスとして、Azureによるクラウドサービスと連携して動作するデバイス。デスク向けデバイスはMediaTekと協力して開発。Windows Hello(Hello for Business)で安全にサインインし、即座にMicrosoft 365 Copilotなどのエージェントを呼び出せる。

また、ウェアラブルバッジは、Qualcommのチップを搭載したポータブルデバイスで、音声やカメラを使って「今日のSNS用の写真を選んでチームに送って」と指示を出したり、医療現場で看護師がハンズフリーでカルテを記録したりするといった活用を想定している。

ユーザーインターフェイスもエージェントを前提に設計し、コンテンツや画像、レイアウトなどをコンテンツにあわせて生成する想定。UIを含めてエージェントループの一部となる「ジャストインタイムUI」を想定する。

従来のレスポンシブデザインを超えつつも、完全にジェネレーティブとはせずに、一貫性とユーザービリティを維持しながら、異なるデバイス間で表示を揃える。

現時点ではコンセプトモデルだが、Microsoft社内では数百人の従業員が、業務を改善するために実際に使用してテストを行なっている。また、AccuWeather、Best Buy、CVS Health、Levi's、Targetなどと共同で、先行試験運用を開始予定としている。

今後、MediaTekとQualcommなどの半導体パートナーと協力し、ポータブル、ウェアラブル、デスクトップなどカテゴリーごとにリファレンスデザインを策定。医療、小売、金融、などの各業界ニーズに合わせた特化型のSolaraデバイスのエコシステムを目指す。

基盤技術としてはAndroid(AOSP)をベースに開発された「Microsoft Device Ecosystem Platform (MDEP)」と、Entra ID、Hello for Businessなどをデバイス側に搭載。カテゴリごとにディスプレイや音声、タッチなどのインターフェイスに対応する。

Project Solaraの目標は、新たな目的特化型で管理しやすいフォームファクター。自社の独自エージェントを組み込んだ専用デバイスを、すぐに作って導入できる基盤として、様々な業務で使える「ターンキーソリューション」を目指す

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