トランプ氏、AI規制強化で大統領令 新モデル事前審査へ提出要請
トランプ米大統領は2日、高度な人工知能(AI)規制強化に向けた大統領令に署名した。ホワイトハウスによると、主要なAI開発企業に対し、最新モデルを一般公開する前に政府のサイバーセキュリティー審査に自主提出するよう要請する内容だ。
サイバーセキュリティー能力が著しく高いとされるアンソロピックの新型AIモデル「クロード・ミュトス」などを巡り、政府内で懸念が高まっていることが背景にある。
大統領令は、財務省、国防省、商務省、国土安全保障省などの政府機関や政府高官に対し、AI開発企業との間でモデル審査に関する合意を確保するよう指示している。具体的には、モデルが一般公開される最大30日前に政府機関が審査できるようにする。また大統領令は、政府全体でサイバー防衛の強化を重視するよう各機関に指示した。
トランプ氏はこれまで、連邦政府がハイテク分野に干渉すべきではないと主張し、自身が反対するAI規制を各州が導入しないよう訴えてきた。しかし、今回の大統領令は、同氏がAI戦略を転換し、技術の能力監視でより積極的な役割を担おうとしていることを示している。
一方、事前審査の導入が新モデルの展開を遅らせたり、企業がセキュリティー上の懸念に対応するために性能を変更したりすることになれば、業界の利益を損なう可能性もある。
オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、今回の大統領令が「バランスが取れている」と評価。「米国は最高のモデルの開発を続け、その安全性を確保し、サイバー対策ツールを信頼できる防御側の手に届けることで、AIをリードすべきだ」と語った。
トランプ氏は当初、5月21日にAIに関する大統領令に署名する予定だった。しかし同日、大統領令の一部について、中国とのAI競争で米国の立場を損なう恐れがある措置は取りたくないとして署名を延期していた。
