「果物は健康のために積極的に摂取するほどの食材ではない」と医師が断言する理由…「糖と脂質」が脳に与える意外な影響
「果物は体にいい」「ナッツは健康食だから安心」――そんなイメージを持っている人は多いだろう。しかし、 “ヘルシー”と思われている食品の食べすぎが、血糖値や健康状態に影響を及ぼすケースも少なくないという。果物に含まれる糖の正体や、ナッツ・チーズとの付き合い方について、元オックスフォード大の医学研究者が解説する。
『糖毒脳 いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』より一部抜粋、再構成してお届けする。
「果物は体にいい」という誤解
果物は体にいいというイメージがあります。健康のために積極的に果物を食べるよう心がけている人もいるのではないでしょうか。
「果物の甘さは血糖に関係ない」「果物は糖尿病や高血圧を改善してくれる」という話を聞いた人もいると思います。
しかし残念ながら、これは誤解です。
確かに、果物の甘さの素の一つである果糖は、そのままでは血糖にはなりません。ですが肝臓などで代謝されると、結局は糖になります。
また、果物には果糖以外にも通常の糖(ブドウ糖)とショ糖(スクロース)が含まれています。
ブドウ糖は食べればそのまま血糖になりますし、ショ糖も、果糖とブドウ糖が結合しただけの物質です。体の中に入れば速やかに果糖とブドウ糖に分解されます。
つまり果物を食べた場合、果物にもともと含まれている糖と、ショ糖から分解された糖が速やかに血糖値を上昇させます。
「果物は血糖値を上げない」ということはないのです。
「果物にはミネラルやビタミンなどの重要な栄養素が含まれているから食べた方がいいのではないか」
そんな意見もあります。
確かにそのとおりですが、ビタミンやミネラルといった栄養素は、普通に食事をとっていれば十分な量を摂取することができます。
つまり果物は、健康のために積極的に摂取するほどの食材ではありません。
むしろ「おいしいから」という理由でこそ召し上がってください。週に1〜2回ほど、楽しむために食べる「嗜好品」だと考えるとちょうどいいのではないでしょうか。
ナッツとチーズは「諸刃の剣」
糖質制限をしている人にありがちなのが、糖質を控える代わりにナッツやチーズを多めに摂ることです。
テレビや雑誌の健康特集でも、「ナッツやチーズは吸収に時間がかかるから急激な血糖値上昇を抑える」「含まれている脂肪酸やビタミン、ミネラルなどの成分が代謝を活性化して、血糖値の上昇を防いでくれる」と説明されることがあります。
そして何よりナッツやチーズは腹持ちもよく、空腹を紛らわすのにちょうどいいと感じるかもしれません。
確かにナッツやチーズには、身体にとって良い成分が含まれています。ただし、良い効果を得るには、たった1つだけ重要な条件があります。
それは「適量ならば」という点です。
医学的に明らかになっているナッツの1日の摂取許容量をご存じでしょうか?
答えは、わずか30グラムです。手のひらに軽く一杯程度の量にすぎません。
ですが、ナッツやチーズを「ごく少量だけ食べる」ということは、ほとんどないのではないでしょうか。
ナッツ、つまり豆類は、「あとひき豆」という言葉があるくらいに、一度食べ始めると止まらなくなる食べ物の代表です。「あと一口だけ」という誘惑を断ち切るのは簡単ではありません。
少量で済ませる忍耐力があるなら良いのですが、基本的には、多くの人が許容量以上に食べすぎてしまいます。
ナッツやチーズの食べすぎに気をつけていただきたいのは、摂取しすぎると確実に体に悪影響を及ぼすからです。まさに「諸刃の剣」なのです。
その要因の1つが、これらの食物に大量に含まれている「脂質」です。
チーズは乳製品であるため、脂質が含まれているというのは納得できるでしょう。一方で、硬いナッツに脂質が含まれていると聞くと、意外に感じるかもしれません。
ですがアーモンドオイルという商品があるように、ナッツを絞れば油がとれるのです。
もちろん、ナッツから摂れる脂質は「体に良いオイル」とされています。
しかし体に良いとはいえ油は油です。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」と言うように、いくら体に良い効果があるとされているオイルでも、摂りすぎてはいけません。
先ほど述べたように、ナッツやチーズの適量はごくわずかです。少しでも多く食べれば、それは「摂りすぎ」なのです。
