マツダ、新型「CX-5」を発売 9年ぶり全面刷新!マツダ「新型CX-5」に試乗! ハンドルを握って感じた「マツダの走りが変わった」の理由とは? マツダを支える「絶対的エース」の大きな進化とは

マツダ、新型「CX-5」を発売 9年ぶり全面刷新

マツダは21日、全面刷新した主力SUV「CX-5」の国内発売を開始しました。

2回目のモデルチェンジとなる「CX-5」は、マツダの販売の4分の1を占める主力車です。全面モデルチェンジは9年ぶりで、ベビーカーを縦方向で収納できるなど車内空間を従来から大きく広げたほか、これまでのディーゼルエンジンから簡易的なハイブリッドに変更されました。

先週の決算発表でマツダは、新型CX-5の販売拡大などで今年度の営業利益は昨年度のおよそ3倍になると見込んでいます。一方、昨年度の販売台数は前の年と比べて6%減り、国内販売は、この10年で最も少なくなっています。

国内市場の縮小や競合モデルがしのぎを削る中、主力SUVの刷新が販売拡大と収益回復につながるかが焦点です。

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フルモデルチェンジしたマツダの新型「CX-5」は、完成度の高いSUVだった! 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキが試乗時の印象をリポートする。

「人馬一体」の最新の境地

(前のページから続く)いよいよ新型CX-5のステアリングを握り、横浜の街へと滑り出した。

まず驚いたのが、フロントシートの絶妙な座り心地。マツダは近年、骨盤を立てて背骨のS字カーブを維持する理想的なドライビングポジションを提唱してきたが、新型CX-5のシートは、その哲学をさらに推し進め「一体感」と「快適性」、ふたつの要素を両立させている。

一部の先行車種で採用されていたシートは、一体感を重視するあまりやや硬めの座り心地であったが、新型CX-5では座面や背もたれのクッション材や構造を見直し、座った瞬間から身体を優しく包み込む。

路面からの微小な振動をシートが効果的に吸収しながらも、コーナリング時などクルマが大きく動く場面では、乗員の身体の軸をしっかりとホールド。無意識のうちに身体のバランスを保ってくれる。

走り出して最初に感動したのは、やはり動き出しの圧倒的な軽やかさである。

マイルドハイブリッドのモーターアシストが、車両の重量を感じさせないほどにスムーズに車体を前に押し出してくれる。

先代モデルで感じていた低速域でのステアリングの重さも払拭され、交差点を左折する際にも、手首の軽いスナップだけでスッとノーズが意図した方向へと向きを変える。「ペーパードライバーが運転してもまったく苦にならない」といった開発陣の言葉が、決して誇張ではないのを理解した。

市街地を抜け、首都高速への合流ランプへと向かう。

アクセルペダルを深く踏み込むと、SKYACTIV-G 2.5エンジンが心地よいエグゾーストノートを奏

でながら、リニアに回転数を上げていく。ターボエンジンのような暴力的な加速ではないが、ドライバーの右足の動きと完全に直結した、どこまでも伸びやかで爽快な加速感だ。トランスミッションの変速もスムーズであり、ショックを一切感じさせず、瞬時に必要な駆動力を引き出す。

高速道路の本線に合流し、巡航速度へと移行すると、今度は圧倒的な静粛性とフラットな乗り心地に驚かされた。

横浜ベイブリッジを吹き抜ける強い横風を受けても、ボディは矢のように直進し続け、風切り音はほとんど車内に侵入してこない。

足元のサスペンションは、橋の継ぎ目を越える際の「タンッ」といった衝撃を吸収し、車体の上下の揺れをまろやかにいなす。新開発の55mm径ダンパーが、まさに路面に吸い付くような接地感を生み出しているのが体感できた。

減速のため、ブレーキペダルに足を乗せる。新採用の電動ブースターの恩恵は絶大であり、足の裏のミリ単位の力加減に対して、ブレーキが正確に反応してくれる。

完全停止の瞬間、ペダルからわずかに力を抜く「踏力コントロール」が嘘のように決まり、同乗者の頭を揺らさず、まるで水面を滑るようにピタリと停止できた。

少しペースを上げてタイトなコーナーを曲がってみる。柔らかく設定されたスプリングにより、車体は自然なロール(傾き)を許容するものの、ロールのスピードが穏やかで、かつ予測しやすいため、ドライバーには不安感がない。

むしろ、外側のタイヤにしっかりと荷重が乗っているのがステアリングを通じて鮮明に伝わってくるため、クルマとの深い対話を楽しめた。

これこそが、マツダが長年にわたって追求し続けてきた「人馬一体」の最新の境地であり、Emotional Daily Comfort SUVのコンセプトが、机上の空論ではなく、現実の路面上で具現化されているのを、確信した。

新型マツダCX-5 Lが、感性に深く寄り添うSUVであるワケとは?

フルモデルチェンジしたマツダの新型「CX-5」は、完成度の高いSUVだった! 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがまずは車両の詳細を報告する。

新たなる時代の幕開け

横浜の海風が心地よく吹き抜ける中、マツダR&Dセンター横浜にて新型マツダCX-5の公道試乗会が開催された。

初代モデルが誕生して以来、CX-5はマツダのグローバル販売台数において約28%、国内市場においても約25%を占める、まさに屋台骨とも言える絶対的な基幹車種へと成長を遂げた。

重要性は計り知れず、フルモデルチェンジにあたって開発陣が背負ったプレッシャーは想像に難くない。

しかし、目の前に姿を現した新型CX-5は、そうした重圧を微塵も感じさせないほどに堂々たる風格と、洗練された美しさを漂わせていた。

先代モデルが築き上げた輝かしい実績と高い評価を継承しつつも、マツダが掲げる「Emotional Daily Comfort SUV」の新たなコンセプトのもと、日常のあらゆるシーンにおいてドライバーと同乗者の双方に深い感動と心地よさをもたらすクルマとして、新しい次元へと進化を遂げていた。

試乗の舞台は、横浜の市街地から大黒ふ頭へといたる、多彩な路面状況と交通環境が入り混じるコース。ストップアンドゴーが頻繁に繰り返される市街地、道幅が狭く見通しの悪い裏路地、そして海風を切り裂きながら高速巡航を行う首都高速道路と、新型CX-5の真価を問うにはこれ

以上ないほどのシチュエーションかもしれない。

マツダが提唱する「人馬一体」の哲学が、この最新のSUVにおいてどのような形で具現化されているのか。期待に胸を膨らませながら、新型CX-5の運転席へと向かった。

ドアを開けた筆者を迎え入れたのは、精緻に作り込まれたインテリア空間。エンジンに火を入れる前から、このクルマが乗る者の感性に深く寄り添おうとしていることがひしひしと伝わる。マツダが長年にわたって追求し続けてきた「クルマと人との深い絆」が、新型CX-5のあらゆるディテールに宿っていた。

開発コンセプト

新型CX-5の開発にあたり、マツダは具体的かつ現実的なターゲットカスタマーの姿を描き出している。

それは「子育て世代」。根っからのクルマ好きでワインディングロードの走行を好む父親、子育てを機にペーパードライバーから運転を再開した母親、そして週末に家族での遠出といった、現代の日本において普遍的でありながらも、クルマに対して多様な要求を抱くファミリーの姿だ。

十分な荷室容量の確保はもちろん、子どもから大人までがストレスなく乗り降りできる乗降性の高さ、そして家族全員がくつろげる居住空間の創出が追求された。

車内のインフォテインメントシステムには、新たにGoogleを搭載。これにより、スマートフォンで日常的に使用しているYouTubeなどのアプリケーションをそのまま車両のディスプレイで楽しむことが可能となった。

さらに、小柄なドライバーでもリラックスして運転できるドライビングポジションの最適化や、手荷物を容易に取り出せるコンソールの進化など、細部にいたるまでユーザー目線での改良が施されている。日常の生活道路を使って保育園へ子供を送迎する、一見するとありふれたシーンにおいてなど、新型CX-5の真価が発揮されるかもしれない。

高い静粛性

クルマの快適性を語る上で、静粛性(NVH:ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)の向上は決して避けては通れない重要なテーマだ。新型CX-5は、本領域においても先代モデルから進化を遂げた。

開発陣が目指したのは、単に物理的な音量を下げることだけではなく、「フラットな周波数特性」だ。

車速の上昇に対して音圧がリニアに変化するよう緻密にチューニングされており、高速走行時においても不安を煽るような唐突なノイズの増大を抑え込んでいたのは印象的だった。

さらに、局所的な音の発生を防ぎ、音の到来方向を均一化し、長時間のドライブにおける乗員の疲労感を最小限に食い止める工夫も凝らされている。

具体的な風切り音対策としては、Aピラーの形状を根本から見直し、風を滑らかに沿わせることで音源となる空気の渦の発生を抑制。また、ドアミラー後方の気流の向きを整え、同様に渦の抑制に成功している。

これらの空力的なアプローチに加えて、吸遮音材の配置と材質も見直された。音の発生源と伝播経路を精緻に解析し、最も効果的に音を遮断・吸収できる部位に、従来よりもさらに高い性能を持つ新たな吸遮音材を最適に配置したという。

確かに試乗時、市街地の低速走行時から高速道路でのクルージングにいたるまで、あらゆる速度域において静粛性が高かったのは印象深い。前席と後席に座る乗員同士が、声を張り上げず自然な声のトーンで会話を楽しめ、かつ音楽の細やかなニュアンスまでもクリアに味わえ。

そして、静寂に包まれた車室内には、エンジンが発する心地よいサウンドがドライバーの意図に呼応して適度に響き渡り、走る歓びをより一層引き立ててくれる。

静粛性の高さは、同乗者への思いやりであり、プレミアムSUVと呼ぶにふさわしい上質な移動空間を新型CX-5にもたらす。

パワートレインの刷新とマイルドハイブリッドの恩恵

新型CX-5の走りの心臓部たるパワートレインには、先代モデルでも高い評価を得ていた2.5リッターの直列4気筒直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.5」に、新たにマイルドハイブリッドシステム(M Hybrid)が組み合わされた最新のユニットを搭載。

マイルドハイブリッド化は、単なるカタログ燃費の向上を目的としたものではなく、マツダが追い求める「人馬一体」のドライビングフィールをさらに高い次元へと引き上げるための戦略的な技術的選択だ。

モーターによるアシストは、特に発進時や低速域での加速において絶大な威力を発揮。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から、モーターが瞬時にトルクを立ち上げ、自然吸気エンジン特有の心地よい吹け上がりと相まって、スムーズかつ力強い加速を楽しめる。

確かに交差点での発進や、ストップアンドゴーが連続する渋滞路において、走り出しの軽やかさはドライバーのストレスを軽減し、運転に対する自信と安心感を深めてくれた。

さらに、エンジンとトランスミッションの協調制御は、先代モデルよりもさらに緻密化。ドライバーのアクセル操作の意図を瞬時に読み取り、ミリ秒単位で最適なギア段とエンジントルクを選択する。

しかも加速の質が滑らかな点も印象的だ。マツダが長年にわたって磨き上げてきた内燃機関の技術と、最新の電動化技術の調和がうかがえる。

乗り心地と操縦安定性の両立

クルマの動的質感を決定づける重要な要素のひとつが、サスペンションを中心としたシャシー性能。

先代のCX-5は、SUVでありながらスポーティでしっかりとしたハンドリングフィールを備えていた反面、ユーザーからは「荒れた路面や継ぎ目において硬さや突き上げを感じる」「低速域でのステアリング操作が重い」などの声が一部で寄せられていたそうだ。

マツダの開発陣はこれらのフィードバックから、新型CX-5において「乗り心地」と「操縦安定性」の、相反するふたつの性能を両立させる技術的課題に挑んだ。

解決の鍵となったのが、スプリングとダンパーの役割の抜本的な再配分だ。従来の手法では、ハンドリングを向上させるためにスプリングを硬く設定し、乗り心地を確保するためにダンパーの減衰力を調整するアプローチが一般的であったが、新型では逆のアプローチが採られた。スプリングのバネレートを柔らかく設定し、路面からの衝撃をより吸収させ、荒れた路面での突き上げ感を排除したのである。

しかし、単にバネを柔らかくしただけではクルマの動きがルーズになり、操縦安定性が損なわれてしまう。ダンパーの外径サイズを従来の51mmから55mmへと大型化し、内部構造を新設計し、ダンパー性能そのものを向上させた。

理想的な減衰特性によって、ステアリングを切った瞬間にダンパーが素早くしっかりと踏ん張り、タイヤを地面に押し付ける力を確保。柔らかいスプリングでありながらも、先代と同等以上のシャープで正確なハンドリング性能を維持するのに成功したという。

実際、マンホールの段差や舗装の荒れた凹凸道であっても、乗員に伝わるショックはマイルドに丸められ、車体は常にフラットな姿勢を保ち続けようとしていた(次のページへ続く)。

マツダ「新型CX-5」に試乗! ハンドルを握って感じた「マツダの走りが変わった」の理由とは? マツダを支える「絶対的エース」の大きな進化とは

マツダ「新型CX-5」に試乗!

 マツダの2026年3月期の決算は「減収減益」となりました。

 上半期の苦境を乗り越えて黒字を確保しましたが、ここで反転攻勢の大きな柱となるのが、3代目となる新型「CX-5」です。

【画像】これがマツダ「新型CX-5」です!(56枚)

 かつてCX-5の初代モデルは、2012年にマツダの次世代技術「スカイアクティブテクノロジー」をフル搭載してデビューしました。

 2017年に2代目へとバトンを繋ぎ、一時期はマツダの全生産台数の3分の1(現在は4分の1)を占めるまで成長。

 名実ともにマツダの“絶対的エース”となったのです。

 そんなCX-5の最新作を、正式発売の前に試乗してきました。

 開発のテーマは「次世代エモーショナル・デイリーコンフォート」。

 開発の陣頭指揮を取った主査の山口浩一郎氏は、次のように語っています。

「かつてCX-5は色々な意味で背負うモノが多かったのですが、今はマツダの上級ラインナップにラージ商品群が展開されています。そこで新型CX-5は使い勝手に徹底してこだわりながら、実質的な『SUVの王道』を目指して開発することができました」

マツダ「新型CX-5」に試乗!

 今回の新型CX-5について、いきなり結論から言ってしまいましょう。

「マツダのエースは、マツダの反逆児」です。

 なぜ、筆者(山本シンヤ)がそう感じたのか、その理由を詳しく紐解いていきたいと思います。

 まずデザインは一見キープコンセプトですが、中身は大きく変わっています。

 プロポーションはよりスクエア、面構成はシンプルです。フロント下部などにはSUVらしい力強さをプラスしつつ、メッキ加飾を抑えることで、やや背伸びをしていた2代目に対して、ぐっとカジュアルな方向へシフトしました。

 部分的に「EZ-60」や「CX-6e」のような未来的な雰囲気も感じられますが、個人的には「もう少し攻めても良かったかな」とも思います。

 ボディカラーはマツダお得意の「ソウルレッドクリスタルメタリック」や「マシングレー」も用意されていますが、新型のメインカラーは初代のアイコンだったブルーの現代的解釈「ネイビーブルー」です。

 なお、新型のグレードは3つ(L/G/S)に集約され、ユーザーの用途に応じた世界観はディーラーオプションで表現する形としています。

 個人的には、ボディ下部やフェンダーアーチがピアノブラック塗装になる上級の「L」よりも、未塗装の樹脂素材を活かした「G」の方が、新型CX-5のキャラクターを上手に表現できていると感じました。

「インテリア」は直近のマツダ車と一線を画すもの

 インテリアは直近のマツダ車とは一線を画す「格段の開放感」と「視界の良さ」に驚きます 。

 水平基調のシンプルなインパネデザインに加え、細く設計されたAピラー、ボンネットの見せ方の工夫、拡大されたリアクォーターウィンドウ、そして電動グラスルーフの採用がこれに大きく貢献しています。

 それでいてデザイン性が損なわれていないのは見事で、インパネからドアトリムへと繋がるラウンド感のある造形は、かつての名車「ペルソナ」を彷彿とさせ、思わずニヤリとする場面も。

「インテリア」は直近のマツダ車と一線を画すもの

 さらにインフォテイメントは「コマンダーダイヤル×物理スイッチ」から「大画面×タッチパネル式」に刷新。

 ハードウェアはトヨタからの供給をベースにマツダ用へ最適化されたもので、残された物理スイッチは前後のデフォッガーとハザードくらいです。

 それに対してステアリングスイッチはちょっと多めで、逆に操作し辛い所も。

 個人的にはMIドライブのスイッチは独立させても良かったかなと感じました。

 あれだけこだわったコマンダーダイヤルを新型では採用しなかった理由を開発者に尋ねると、「人間中心の思想は不変で、その手段が変わっただけなのです。Googleの採用によりクルマ側の操作(エアコン)も音声で操作可能ですので」と教えてくれました。

 ちなみにディスプレイはグレードによってサイズが異なります(Lグレード:15.6インチ/それ以外:12.9インチ)。

 機能的には15.6インチが使いやすいのですが、インパネとの見栄えのバランスは12.9インチのほうがスマートに見えるかもしれません。

 パッケージングも進化しています。

 ホイールベースを先代から115mm延長、全高も30~35mm高くなったことで、後席の足元・頭上スペースが大きく拡大。

 加えて、リアドアの開口幅(後方に向かって+70mm)と開口角を広げ、ヒップポイントを下げることで、乗降性も劇的に向上しています。

 ラゲッジルームも奥行きが+45mm、高さが+30mmとなり、スーツケース4個の積載やベビーカーを縦方向に積むことも可能です。

 シート素材は「L」は本革、「G」は合皮/レガーヌですが、個人的にはGのみに設定される白/黒コーディネートは決して背伸びしていないのに安っぽさを感じさせない絶妙なバランスで、オススメです。

「やればできるじゃない!」と感じるポイント

 パワートレインとフットワークは、すべてをゼロから開発したラージ商品群とは真逆のアプローチで、先代モデルのリソースを徹底的にアップデートして活用。

 しかし新型CX-5は、それをネガとせず、むしろ武器に変えて「これまでやれなかった新しい挑戦」を随所に盛り込んでいます。

 パワートレインは2.5リッター×24Vマイルドハイブリッドと6速ATの組み合わせ。

 ハードウェア自体はマツダ3と同じモノですが、CX-5に合わせて最適化されています。

 具体的には、ドライバーの操作に対するリニアな加速特性はそのままに、軽い操作で加速を立ち上げるような制御が盛り込まれています。

 実際に走らせると、アクセル踏み始めのスロットル特性を若干立たせてありますが、違和感はほぼありません。

 むしろゼロ発進時に「スッと」と前に出る感覚は、まるでマイルドハイブリッドのアシストが増したかのような軽快さがあります。

 ただエンジンを回していくと、若干伸びの良さが薄れた印象も受けました。

個人的に「やればできるじゃない!」と感じるポイント

“デイリーコンフォート”のコンセプトを考えれば出力/燃費共に必要十分のパフォーマンスですが、それ以上の余裕と力強さを求めるなら、来年の発売に向けて鋭意開発中の「スカイアクティブZ+ストロングハイブリッド」待ちでしょう。

 正直なところ、個人的にはディーゼルがラインアップから落ちてしまったのはとても残念。

 静粛性に関しては、特定の周波数の音を目立たせない音響特性の最適化や、吸遮音材の適材適所の配置、空力改善による風流れ制御などにより、風切り音やロードノイズがかなり抑えられています。

 ただ、周りが静かになったぶん、相対的にパワートレインの音が耳に届きやすくなった印象も。

 最新のクルマとしてはエンジンサウンドをあえて“主張”させるチューニングで(Mi-Driveのスポーツモードではアクティブ・サウンド・コントロールをフル活用)、これは個人的に「ノーマルモード」のときはもう少し音量を抑えたほうがいいと思いました。

 フットワークは先代のハードを用いていますが、居住性アップにためホイールベースは2700→2815mmに延長。

 それに伴う各部の最適化に加えて、今回はサスペンション周りを中心に手を入れています。

 ハード的にはダンパーZF製、タイヤはBS製「トゥランザ」を採用していますが、注目すべきは走りのセットアップの“考え方”の変化で、これは走り始めてすぐに実感できました。

 最初の驚きはステアリングのアシストが軽くなった事です。

 ただ単に軽くなっただけでなく、フリクションの少ないスムーズさとタイヤが路面に接地している事を実感できる直結感が印象的。

 従来のマツダは“手ごたえ”重視でアシストはできる限り抑える方向でしたが、それが故に日常域での取り回し性の悪さや女性ドライバーから「運転が大変」といった指摘も上がっていました。

 そこで新型CX-5の開発陣は、デイリーコンフォート実現にはこの問題に正面から向き合う必要があると考え、「軽やかなフィール」と「適度なフィードバック」を両立させるEPS制御を模索。

 さらに、乗り心地の改善で高G領域に体を支えるステアリングの重さが不要になった事も相まって、今回のようなステア系に仕上がったと言います。

 これは個人的に「やればできるじゃない!」と感じるポイントでした。

現行マツダ車トップレベルの「乗り心地」と「快適性」

 続いての驚きはハンドリングです。

 ステアリングを切り始めると、従来モデルよりもロールはしますが、むしろクルマの動き出しの応答は高められています。

 その先はマツダお得意の「ダイアゴナルロール(旋回時に前輪外側を沈ませ対角の後輪を持ち上げるように車体を傾ける)」ですが、その連携はマツダ車の中でもトップレベルに位置します。

 つまりロールを悪とせず、逆に味方にして上手に制御することで、サスペンションを上手に沈み込ませ、自然かつ滑らかに旋回します。

 その結果、マツダらしい“芯の強さ”と、マツダらしからぬ“しなやかさ”が共存したハンドリングに仕上がっています。

 ここでも「やればできるじゃない!」です。

現行マツダ車トップレベルの「乗り心地」と「快適性」

 この辺りを開発陣に聞くと「ダンパーとスプリングの役割の“再配分”と、MBD(モデルベース開発)を活用した“応答性(=ダンパー減衰遅れ)”を高めた性能設計が効いています」と教えてくれました。

 乗り心地はラージ商品群を超える快適性で、現行マツダ車トップレベルと言えます。

 路面からの入力はとにかくカドが丸く 、揺れの収束(減衰)のさせ方も、ショックを即座にガツンと抑え込むのではなく、人間の波長に合わせてほんの少し時間をかける絶妙な味付け。

 さらに縦バネが強いブリヂストン製タイヤの特性を逆手に取り、その初期応答をダンパー側で上手にいなすという役割分担はお見事です 。

 ただし、全体的動的質感に関しては、良く言えばカジュアルですが、個人的にはもうすこし上げたほうが内外装とのバランスが取れるように感じました。

 この辺りはラージ商品群とは明確な差があるのも事実でしょう。

 そして運転支援系も強化されています。

 従来のACC+ステアリング支援に加えて、「車線変更アシスト機能」「渋滞時ハンズオフアシスト機能」をプラス。

 加えてトヨタのデバイスをマツダ流にアレンジした「プロアクティブドライビングアシスト」を採用するなど、機能はより充実。

 今までのマツダは「自ら運転することの楽しさ」にこだわるがあまり、この手のデバイス採用は消極的でしたが、ドライバーの負担を減らすことで、結果として移動先の楽しいドライビングやアクティビティに繋がるので、筆者はウェルカムです。

 また、「ドライバー異常時対応システム(DEA)」は検知角度の拡大など、安全面でも着実なアップデートが行なわれています。

ちょうどいい「等身大」のマツダが戻って来た

 このような新型CX-5を総じて言うと、“マツダらしさ”を損なうことなく“ユーザーに寄り添った”クルマに仕上がっていました。

 これまでのマツダ車は少し背伸びをしているように見えましたが、この新型は大衆ブランドよりも個性的で、でもプレミアムブランドほど気張っていない、ちょうどいい“等身大”のマツダが戻って来たなと。

 筆者は第7世代以降のマツダ車は「旨いから食え」「この旨さは分からない方がおかしい」と、プロダクトアウト的な商品づくりに疑問を持っていましたが、新型CX-5はユーザーが何を求めているかを徹底してリサーチし、「このような食べ方もありますよ」と言ったマーケットイン的な商品づくりに変化したように感じました。

 つまり、ハードの進化は一見地味ですが、作り手のマインド、つまりハートの部分の進化は大きい。

 だからこそ冒頭に述べた「マツダのエースは、マツダの反逆児」と言う言葉に集約されるのです。

ちょうどいい「等身大」のマツダが戻って来た

 マツダのエンジニアのこだわりや熱血っぷりは業界トップクラスですが、それが故にユーザーニーズとの乖離を生んでしまうことも。

 そういう意味では、新型CX-5は「これからのマツダらしさ」を再定義するモデルであると、筆者は分析しています。

 こう書くと「ラージ商品群は失敗だったのか?」と言う話になりがちですが、半分正解で、半分間違い。

 ラージ商品が存在したからこそ、新型CX-5の立ち位置が明確になったわけで、マツダにとってはどちらのラインアップも必要なのです。

 ただしCX-5がここまで良くなると、ラージ商品はさらに頑張る必要が出てくるでしょう。

 新型CX-5の車両価格(消費税込)は330万円~447万1500円と、先代から若干アップしていますが、売れ筋グレードは350万円~400万円に収まっています。

 個人的には装備の充実とアップデートを考えればかなり頑張ったプライスだと思います。

 この“反逆児”の登場により、マツダの未来が良い方向に進むと期待の高まる試乗となりました。

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