「家庭用ゲーム機はすべて値上げ」の時代が到来 Switch 2とPS5の今後はどうなるのか
任天堂がSwitch 2の価格改定を発表し、国内でも「家庭用ゲーム機が全て値上げ」される時代がやって来ました。ソニーもマイクロソフトも現世代ハードを何度も値上げしており、唯一踏みとどまっていた任天堂も、メモリ高騰の圧力でついに、という印象です。
基本的に「安さ」を強みとしてきたゲーム機が高価になることは、各社の戦略にも大きな影響を及ぼすでしょう。まず、販売台数の増加にブレーキが掛かることは避けられません。この逆風に対し、任天堂やソニーはどのように立ち向かい、あるいは受け流す展開となるのでしょう。
ココがポイント
Nintendo Switch 2 本体およびNintendo Switch本体のメーカー希望小売価格を以下のとおり変更
出典:任天堂 2026/5/8(金)
初年度の高い販売水準や一部商品の価格変更を踏まえて、2027年3月期は前期比で減少を見込む
出典:任天堂 2026/5/8(金)
第4四半期に「プレイステーション5(PS5)」の販売台数が前年同期比46%減少し
出典:BigGo ファイナンス 2026/5/9(土)
ソニー、PS6にあたる次世代機の発売時期・価格はいまだ決まらず メモリ不足長期化で慎重姿勢
出典:IGN JAPAN 2026/5/9(土)
エキスパートの補足・見解
発売から6年が経過したPS5は値上げを重ねている以上、今後さらに販売台数は先細りするでしょう。しかし、PS5の累計販売台数は約9210万台、PS Plusの加入者は5000万人前後とみられており「新規ハードを売らなくても巨額のサブスク収入が入る」状態となっています。
一方、Switch 2の累計販売台数は1986万台で、任天堂史上最速ペースとはいえ、PS5の数分の1に留まります。またNintendo Switch Online加入者も3400万人(2025年9月末時点)に過ぎず、最上位プランでもPS Plusの最下位プランより安価です。
こうした状況から「ソニーは市場を静観しつつ、さらにPS5を値上げしやすい」「任天堂はSwitch 2普及のため値上げを重ねにくく、ハード販売を後押しするため『ゼルダ』や『マリオ』の新作など大型タイトル投入の必要性が高い」という構図が見えてきます。
一方で、任天堂は初代Switchモデルの値上げ幅を大きくしています。これは「もはや前世代機を売る気はない」という宣言にも見えます。今後はSwitch 2普及に全力を注ぎつつ、さらなるメモリ高騰への対応にも悩まされる展開となりそうです。
Switch 2は“株価のために”値上げすべきか 逆ザヤ3DSが残した教訓とは
任天堂はSwitch 2の値上げを発表すべきとの声が、経済メディアや一部投資家から挙がっています。日本株全体が盛り上がるなか、同社の株価は低迷を続けており、利益率を改善することが回復の近道だという見方です。
しかし、任天堂の売上高は前年同期比でほぼ倍増しており(2月時点)、マリオ映画やSwitch 2専用ゲーム『ぽこポケ』も大ヒット。財務状況も極めて健全です。
にもかかわらず、投資家が「不安」を抱いているのは、やや理解しがたい部分もあります。果たしてSwitch 2は、本当に値上げすべきなのでしょうか。
ココがポイント
スイッチ2本体の価格だ。コスト上昇に対処し、投資家の不安を鎮めるには、8日の決算発表時に値上げを明らかにせざるを得ない
出典:Bloomberg 2026/5/7(木)
「値下げを決断できた理由は、ゲームキューブの教訓」 3DSハードは逆ざやで赤字に
出典:ITmedia News 2011/8/1(月)
Nintendo Switch 2になり任天堂ゲームが値上げ。8000~9000円級に
出典:AUTOMATON 2025/4/3(木)
任天堂、なぜ絶好調なのに株価下落?「Switch 2を売るほど赤字」と「生成AIの脅威」を読み解く
出典:多根清史 2026/2/5(木)
エキスパートの補足・見解
いまの任天堂の状況は「儲かっているが、もっと儲かるはずだと思われていた」というものです。米ハイテク大手でも「期待が高すぎた結果、実績が伴っていても下げる」ことは珍しくありません。
「任天堂はハードで利益を出す」とよく言われますが、その例外が3DSです。WiiやDSの大ヒットから一転し、3DSは販売不振に陥りました。そこでテコ入れとして大幅値下げしたところ、逆ザヤ状態が続き、事業構造レベルの危機に見舞われていました。
それでも『とびだせ どうぶつの森』などの新作投入により勢いを取り戻し、3DSファミリーの全世界販売台数は7500万台超に到達。そのユーザーベースが、初代Switchの成功にも繋がったとみられます。
ライフサイクル終盤にあるPS5と違い、Switch 2はまだ普及途上です。そのため、本体価格の値上げは普及ペースへの悪影響が大きい可能性もあります。
一方で任天堂は、ゲームや周辺機器を値上げしており、利益率に無頓着なわけではありません。経営的に大きな不安がない状況で本体価格の値上げを急かすのは、目先の株価を意識しすぎているように見えます。
とはいえ、最終的に任天堂はどう判断するのか、見守りたいところです。
任天堂、ついにSwitch 2値上げ それでも「割安感」が消えないよう配慮か
ついに任天堂はSwitch 2の値上げを発表しました。発売から約1年、まだ普及途上にあり、まずはユーザーベース拡大を優先して据え置くとの見方もありましたが、今回の方向へ舵を切る結果となりました。低迷する株価へのテコ入れを投資家から求められるのは、ある意味で自然な流れとも言えます。
しかし、任天堂のゲーム機が「手頃な価格」を強みとしてきたのは事実です。今回の値上げが普及にブレーキをかけるのか、それとも勢いを維持したまま好調を続けるのか。現在の状況を広く俯瞰して、今後の動向を考察してみましょう。
ココがポイント
【速報】任天堂「スイッチ2」1万円値上げへ 原材料価格上昇、「スイッチオンライン」も値上げ
出典:京都新聞 2026/5/8(金)
【速報】任天堂が初の売上高2兆円突破 「スイッチ2」の販売好調が貢献
出典:京都新聞 2026/5/8(金)
PS5が大幅値上げでゲーミングPCとの価格差が縮小 家庭用ゲーム機の優位性はどこへ
出典:リアルサウンド 2026/4/9(木)
Switch 2は“株価のために”値上げすべきか 逆ザヤ3DSが残した教訓とは
出典:多根清史 2026/5/8(金)
エキスパートの補足・見解
今回の値上げは、任天堂にとって「我慢に我慢を重ねた末の決断」と言えるのかもしれません。国内版Switch 2が海外版より破格の安さだったことに加え、米国では昨年8月に初代Switch各モデルを値上げした一方で、日本ではそうした動きは一切ありませんでした。
さらに値上げ後も国内版は海外版より割安なままで「国内優遇」は維持されています。そして今回の1万円という値上げ幅も相対的には大きくありません。PS5ディスクドライブ版が一度で約1万8千円も値上げしたことと比べると「かなり抑えた」印象を強く与えます。
そうした“控えめ”な値上げは、任天堂に「様子見を続ける余裕」があったから可能だったのでしょう。同時発表された「初の売上高2兆円突破見通し」も、その背景を裏付けているように見えます。
同じことは、オンラインサービスの値上げにも当てはまります。ソニーがPS Plusの価格を段階的に引き上げてきたのに対し、任天堂は長らく価格を据え置きました。そして改定後であっても、なお他社より低い水準に収まっています。
こうした「値上げ時代のなかでの割安感」が、今後のSwitch 2のさらなる普及を後押しするのか、非常に興味深いところです。
