万博EVバス“ずさん管理”実態 販売業者の社内会議映像入手 ブレーキ不具合で深刻事故【知ってもっと】【グッド!モーニング】(2026年4月25日)

万博EVバス“ずさん管理”実態 販売業者の社内会議映像入手 ブレーキ不具合で深刻事故

大量に止められているのは、去年の大阪万博で使われたEVバスです。相次ぐトラブルが原因で今後使用しないことが決まっています。番組はバスの販売業者の社内会議の映像を入手しました。そこには、安全管理への認識不足と受け取れるやり取りが記録されています。

不具合頻発の万博EVバス

 整然と止められたEVバス。その台数は135台です。大阪メトロが万博に訪れた客を運んでいましたが、事故や不具合が相次ぎ、今は使われていません。“まるでバスの墓場”と揶揄(やゆ)する声も出ています。

 このバスを販売していたのが「EVモーターズ・ジャパン」です。

EVMJ公式HPから(22日付)

「裁判所より民事再生手続き開始の決定を受けました」

 負債がおよそ57億円に上るとして22日、民事再生に進むことが決定しました。負債が膨らんだ理由は、購入のキャンセルなどにより売り上げが激減したことだといいます。

 万博バスを運営していた大阪メトロがEVモーターズ・ジャパンから購入したEVバス。万博期間中から不具合が相次ぎ、去年11月にリコールを発表。

 1月には全車両の無償修理を終えたといいますが、大阪メトロは安全確保が困難だとして今後の利用を断念しました。

社内会議映像を入手

 北九州市に本社があるEVモーターズ・ジャパンは“国産EVバス”をウリにしていましたが、国への届け出は中国メーカーが作ったバスの並行輸入業者です。

EVMJ 佐藤裕之社長(当時)

「九州・福岡から情報を世界に発信していくのにぴったりの場所」(2023年4月)

 番組が内部を知る関係者を取材すると…。

EVMJ関係者

「不具合については、もうめちゃくちゃ多い。どんな不具合が起きてもおかしくないといった状況。ただ、正直言って全部が全部直せていない」

 これは、番組が入手した2023年8月に撮影されたEVモーターズ・ジャパンの社内会議の映像です。

 映像に映る当時の佐藤社長とみられる人物に対し、社員が“コンプライアンス違反”を指摘しています。

従業員側

「聞いて一番ちょっと怖いなと思ったのが、(大阪)メトロさんに納車されている車のインバータが、実は別のインバータに変わってしまっている」

 インバータとは、EV自動車の肝になる部品で、バッテリーの電気を“モーターが使える形”に変換する装置です。

従業員側

「法的には、新しいインバータが認証をちゃんと取れた状態で、認証の手続きをやってましたというと、それはされてない。コンプラ違反」

 この会議の時点ですでに大阪メトロに10台を販売、その他の販売実績と合わせると、23年は40億円以上の売り上げがありました。

佐藤前社長とみられる人物

「前のインバータ載っけた時から認証は取っていない。イギリス向けの認可は通っている。それでいいんでしょって中国メーカーは思っていた。ヨーロッパはそれでOKだから日本もOKだと思っていた」

扉の安全試験 実際は行われず

 この件について、専門家はこのように話します。

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子氏

「全体の安全性の証明書を出す。それを基に(国交省が)認可をする。新たなインバータで安全性を確認しないといけないのに、それをやっていないということ」

 会議では、バスの扉についても誤った申請があったと指摘されました。

従業員側

「扉の開放装置試験があるんですけど、中国メーカーは『やってない』、もうはっきり言っています」

 やっていない扉の開放試験が、書類上はやったことになっているというのです。

従業員側

「扉なので最悪なケースとして、走行中に開いてカーブ曲がったら人が落ちましたみたいになると、非常によろしくないという感じもする。そういうのを何度か売ってしまっている」

従業員側

「リコールはできるが『証明を取っていない部品を付けていたため』と非常に恥ずかしい文面を書くことになる」

 関係者によると、この会議以降、会社側は書類の再提出を行ったといいます。

ブレーキ不具合深刻事故

 問題はこれだけではありません。これは去年9月、大阪メトロの子会社が使用していた「万博バス」とは別のバスが起こした事故の映像です。

 ドライバーはハンドルを左に切っていますが、バスは右に向かい中央分離帯にこすってしまいました。

 この事故を受け、社内では同型のバスを使って衝突回避装置の動作確認を行う試験が行われました。

 障害物を前に自動ブレーキで止まり切れずそのまま衝突。バスを点検すると、急ブレーキの反動で車体とタイヤをつなぐ部品が折れていました。

 さらに、ハンドルを回していくとタイヤが「ブレーキホース」という部品に接触します。摩擦でホースに穴が開き、オイルが漏れることでブレーキが利かなくなる恐れがあるということです。

 この事故を受け国交省は、EVモーターズ・ジャパンに対しバスの総点検を指示。さらに、去年10月に立ち入り検査を行うと、全国で販売した317台のうち3割以上で「ブレーキホース」の損傷などが確認され、78台は国の保安基準に違反していました。

 これだけの違反が見つかるバスがなぜ公道を走行できていたのか、元社員を取材すると…。

EVMJ元社員

「新車の時は全部ちゃんと動く。だからナンバー登録まではできる。しかし、納車して1週間くらいでいろいろ壊れてくる」

 社内会議で出ていた違反などについてEVモーターズ・ジャパンに取材を申し込むと、民事再生手続きを理由に明確な回答を避けました。

EVMJ(14日付)

「これまでの間、お取引ご支援をいただいたにもかかわらず、多大のご迷惑をおかけするところとなり、誠に申し訳なく、衷心よりおわび申し上げます」

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「車の品質が悪すぎ」「1に補助金、2に補助金」 中国製だった万博EVバス、関係者が証言...67億円損失も

大阪・関西万博で来場者の輸送を担ってきた電気自動車(EV)バスでトラブルが相次いだ問題を、2026年5月18日の「かんさい情報ネットten.」(読売テレビ)が取り上げた。

 番組では、販売元の「EVモーターズ・ジャパン」(福岡県北九州市、EVMJ)を取材。中国の会社に製造を委託したEVバスに関して、ずさんな安全管理となっていた実態を関係者が証言した。

■導入からわずか2週間で運行打ち切り

 万博のEVバスを巡っては、万博後に自動運転の実証実験や脱炭素社会の推進に活用する「レガシー」を掲げていた。だが、万博の期間中に停車後に動き出したり、ブレーキが利かなかったりするトラブルが相次ぎ、大阪メトロは、安全上の懸念から万博後、使用しないことに決めた。

 万博閉幕後には、大量のバスが大阪市城東区の大阪メトロの敷地内に留め置かれたままとなり、SNSでは「EVバスの墓場」とやゆする声が上がっていた。

 国交省は、2025年10月にEVMJに対し立ち入り検査を実施。全国で販売した317台のうち3割以上で「ブレーキホース」の損傷などが確認され、78台は国の保安基準に違反するなど、ずさんな管理が明らかとなった。

 番組では、万博以外にもトラブルが起きていたとして、福岡県筑後市のEVMJのスクールバスのトラブルを紹介。カーブでハンドルが切れなかったり、ブレーキの効きが甘かったりするなどして、導入からわずか2週間で運行が中止されたことを伝えた。

「不具合が出るのが日常茶飯事」と内部証言が

 バスを製造していたのは、EVMJから委託を受けていた中国を拠点にする新興メーカー「Wisdom Motor」。EVMJは、この会社から車両を仕入れ、大阪メトロや自治体に販売していた。

 番組に証言したEVMJの関係者は、品質の悪さを認識した上で補助金を得ようとしたと指摘。

 「正直に申しあげると車の品質が悪すぎて、ちょっと手に負えない」と告白した上で、

「補助金に間に合わせるために品質管理はそれなりにという形で、『1に補助金、2に補助金』と社内でやゆされるくらい。補助金を大切にする形でやっていた」

と証言した。

 また、EVMJが26年1月に行った車両の点検に関しては次のように話した。

「『ラテラルロッド』という(車輪とつながる)金属の棒だが、そこの付け根の溶接が外れてしまい、『もうこれダメだよね』ということも。正直に言ってまひしてますので『また出たから解決しようね』といった感じになっている。不具合が出るのが日常茶飯事」

と語った。

販売元「運用停止はあくまでも大阪メトロの個別判断」と主張

 5月18日には、EVバスが大量に留め置かれていた大阪メトロの敷地から撤去作業が始まった。

 番組では、5月14日、大阪メトロが26年3月期連結決算で67億円の特別損失を計上し、EVMJ側に購入代金の返還、違約金請求と車両の引き取りを求めていると報じた。ただ、4月に同社は「資金繰りの懸念」を理由に民事再生の手続き開始しており、問題の先行きが不透明となっていることも伝えた。

 EVMJは、4月30日のプレスリリースで「大阪メトロが、弊社車両の運用を停止したのは、あくまでも同社の個別判断によるものであり、製品自体の安全性の欠如に起因するものではないことを、皆さまに改めてお伝えいたします」とコメントしている。

本村弁護士「大阪市民の税金の無駄遣いだったということ」

 番組内で本村健太郎弁護士は、EVMJが民事再生の手続きを取っており、「事実上倒産したと言っていい」とコメント。同社が争う姿勢を見せていることに対しては、

「(大阪メトロが)もし裁判に(なって)勝ったとしても、お金がないから返せないということもあると思う。事実上お金が返ってこない可能性の方が高い」

と分析。

 「そうなると損失が丸ごと大阪メトロになってしまって、100%株主は大阪市ですから、大阪市の丸々損失になることとほぼ同じ。イコール大阪市民の税金の無駄遣いだったということになってしまう」と苦言を呈した。

 また大阪メトロには、

「注文したときになぜこの業者を選んだのか、という責任があり、徹底的に検証する必要があると思う」

とコメントした。

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