万博EVバス“ずさん管理”実態 販売業者の社内会議映像入手 ブレーキ不具合で深刻事故【知ってもっと】【グッド!モーニング】(2026年4月25日)

まるで「バスの墓場」…“塩漬け”「万博EVバス」の撤去開始 不具合相次ぎ路線バスとしての転用断念

大阪・関西万博でも運行されたEVバス。万博閉幕後は路線バスなどに転用される予定だったが、相次ぐ不具合を受け、バスを所有する大阪メトロは車両を使用しないことを決定。行き場を失ったバスは、大阪市内の敷地で“塩漬け”状態となり、その様子は「バスの墓場」とも揶揄されていた。ようやく始まった撤去に向けた作業。なぜ、EVバスはこのような末路をたどることになったのか。販売会社の関係者の口から語られたのは、安全面の意識の甘さだった。

万博EVバス“ずさん管理”実態 販売業者の社内会議映像入手 ブレーキ不具合で深刻事故

大量に止められているのは、去年の大阪万博で使われたEVバスです。相次ぐトラブルが原因で今後使用しないことが決まっています。番組はバスの販売業者の社内会議の映像を入手しました。そこには、安全管理への認識不足と受け取れるやり取りが記録されています。

不具合頻発の万博EVバス

 整然と止められたEVバス。その台数は135台です。大阪メトロが万博に訪れた客を運んでいましたが、事故や不具合が相次ぎ、今は使われていません。“まるでバスの墓場”と揶揄(やゆ)する声も出ています。

 このバスを販売していたのが「EVモーターズ・ジャパン」です。

EVMJ公式HPから(22日付)

「裁判所より民事再生手続き開始の決定を受けました」

 負債がおよそ57億円に上るとして22日、民事再生に進むことが決定しました。負債が膨らんだ理由は、購入のキャンセルなどにより売り上げが激減したことだといいます。

 万博バスを運営していた大阪メトロがEVモーターズ・ジャパンから購入したEVバス。万博期間中から不具合が相次ぎ、去年11月にリコールを発表。

 1月には全車両の無償修理を終えたといいますが、大阪メトロは安全確保が困難だとして今後の利用を断念しました。

社内会議映像を入手

 北九州市に本社があるEVモーターズ・ジャパンは“国産EVバス”をウリにしていましたが、国への届け出は中国メーカーが作ったバスの並行輸入業者です。

EVMJ 佐藤裕之社長(当時)

「九州・福岡から情報を世界に発信していくのにぴったりの場所」(2023年4月)

 番組が内部を知る関係者を取材すると…。

EVMJ関係者

「不具合については、もうめちゃくちゃ多い。どんな不具合が起きてもおかしくないといった状況。ただ、正直言って全部が全部直せていない」

 これは、番組が入手した2023年8月に撮影されたEVモーターズ・ジャパンの社内会議の映像です。

 映像に映る当時の佐藤社長とみられる人物に対し、社員が“コンプライアンス違反”を指摘しています。

従業員側

「聞いて一番ちょっと怖いなと思ったのが、(大阪)メトロさんに納車されている車のインバータが、実は別のインバータに変わってしまっている」

 インバータとは、EV自動車の肝になる部品で、バッテリーの電気を“モーターが使える形”に変換する装置です。

従業員側

「法的には、新しいインバータが認証をちゃんと取れた状態で、認証の手続きをやってましたというと、それはされてない。コンプラ違反」

 この会議の時点ですでに大阪メトロに10台を販売、その他の販売実績と合わせると、23年は40億円以上の売り上げがありました。

佐藤前社長とみられる人物

「前のインバータ載っけた時から認証は取っていない。イギリス向けの認可は通っている。それでいいんでしょって中国メーカーは思っていた。ヨーロッパはそれでOKだから日本もOKだと思っていた」

扉の安全試験 実際は行われず

 この件について、専門家はこのように話します。

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子氏

「全体の安全性の証明書を出す。それを基に(国交省が)認可をする。新たなインバータで安全性を確認しないといけないのに、それをやっていないということ」

 会議では、バスの扉についても誤った申請があったと指摘されました。

従業員側

「扉の開放装置試験があるんですけど、中国メーカーは『やってない』、もうはっきり言っています」

 やっていない扉の開放試験が、書類上はやったことになっているというのです。

従業員側

「扉なので最悪なケースとして、走行中に開いてカーブ曲がったら人が落ちましたみたいになると、非常によろしくないという感じもする。そういうのを何度か売ってしまっている」

従業員側

「リコールはできるが『証明を取っていない部品を付けていたため』と非常に恥ずかしい文面を書くことになる」

 関係者によると、この会議以降、会社側は書類の再提出を行ったといいます。

ブレーキ不具合深刻事故

 問題はこれだけではありません。これは去年9月、大阪メトロの子会社が使用していた「万博バス」とは別のバスが起こした事故の映像です。

 ドライバーはハンドルを左に切っていますが、バスは右に向かい中央分離帯にこすってしまいました。

 この事故を受け、社内では同型のバスを使って衝突回避装置の動作確認を行う試験が行われました。

 障害物を前に自動ブレーキで止まり切れずそのまま衝突。バスを点検すると、急ブレーキの反動で車体とタイヤをつなぐ部品が折れていました。

 さらに、ハンドルを回していくとタイヤが「ブレーキホース」という部品に接触します。摩擦でホースに穴が開き、オイルが漏れることでブレーキが利かなくなる恐れがあるということです。

 この事故を受け国交省は、EVモーターズ・ジャパンに対しバスの総点検を指示。さらに、去年10月に立ち入り検査を行うと、全国で販売した317台のうち3割以上で「ブレーキホース」の損傷などが確認され、78台は国の保安基準に違反していました。

 これだけの違反が見つかるバスがなぜ公道を走行できていたのか、元社員を取材すると…。

EVMJ元社員

「新車の時は全部ちゃんと動く。だからナンバー登録まではできる。しかし、納車して1週間くらいでいろいろ壊れてくる」

 社内会議で出ていた違反などについてEVモーターズ・ジャパンに取材を申し込むと、民事再生手続きを理由に明確な回答を避けました。

EVMJ(14日付)

「これまでの間、お取引ご支援をいただいたにもかかわらず、多大のご迷惑をおかけするところとなり、誠に申し訳なく、衷心よりおわび申し上げます」

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「車の品質が悪すぎ」「1に補助金、2に補助金」 中国製だった万博EVバス、関係者が証言...67億円損失も

大阪・関西万博で来場者の輸送を担ってきた電気自動車(EV)バスでトラブルが相次いだ問題を、2026年5月18日の「かんさい情報ネットten.」(読売テレビ)が取り上げた。

 番組では、販売元の「EVモーターズ・ジャパン」(福岡県北九州市、EVMJ)を取材。中国の会社に製造を委託したEVバスに関して、ずさんな安全管理となっていた実態を関係者が証言した。

■導入からわずか2週間で運行打ち切り

 万博のEVバスを巡っては、万博後に自動運転の実証実験や脱炭素社会の推進に活用する「レガシー」を掲げていた。だが、万博の期間中に停車後に動き出したり、ブレーキが利かなかったりするトラブルが相次ぎ、大阪メトロは、安全上の懸念から万博後、使用しないことに決めた。

 万博閉幕後には、大量のバスが大阪市城東区の大阪メトロの敷地内に留め置かれたままとなり、SNSでは「EVバスの墓場」とやゆする声が上がっていた。

 国交省は、2025年10月にEVMJに対し立ち入り検査を実施。全国で販売した317台のうち3割以上で「ブレーキホース」の損傷などが確認され、78台は国の保安基準に違反するなど、ずさんな管理が明らかとなった。

 番組では、万博以外にもトラブルが起きていたとして、福岡県筑後市のEVMJのスクールバスのトラブルを紹介。カーブでハンドルが切れなかったり、ブレーキの効きが甘かったりするなどして、導入からわずか2週間で運行が中止されたことを伝えた。

「不具合が出るのが日常茶飯事」と内部証言が

 バスを製造していたのは、EVMJから委託を受けていた中国を拠点にする新興メーカー「Wisdom Motor」。EVMJは、この会社から車両を仕入れ、大阪メトロや自治体に販売していた。

 番組に証言したEVMJの関係者は、品質の悪さを認識した上で補助金を得ようとしたと指摘。

 「正直に申しあげると車の品質が悪すぎて、ちょっと手に負えない」と告白した上で、

「補助金に間に合わせるために品質管理はそれなりにという形で、『1に補助金、2に補助金』と社内でやゆされるくらい。補助金を大切にする形でやっていた」

と証言した。

 また、EVMJが26年1月に行った車両の点検に関しては次のように話した。

「『ラテラルロッド』という(車輪とつながる)金属の棒だが、そこの付け根の溶接が外れてしまい、『もうこれダメだよね』ということも。正直に言ってまひしてますので『また出たから解決しようね』といった感じになっている。不具合が出るのが日常茶飯事」

と語った。

販売元「運用停止はあくまでも大阪メトロの個別判断」と主張

 5月18日には、EVバスが大量に留め置かれていた大阪メトロの敷地から撤去作業が始まった。

 番組では、5月14日、大阪メトロが26年3月期連結決算で67億円の特別損失を計上し、EVMJ側に購入代金の返還、違約金請求と車両の引き取りを求めていると報じた。ただ、4月に同社は「資金繰りの懸念」を理由に民事再生の手続き開始しており、問題の先行きが不透明となっていることも伝えた。

 EVMJは、4月30日のプレスリリースで「大阪メトロが、弊社車両の運用を停止したのは、あくまでも同社の個別判断によるものであり、製品自体の安全性の欠如に起因するものではないことを、皆さまに改めてお伝えいたします」とコメントしている。

本村弁護士「大阪市民の税金の無駄遣いだったということ」

 番組内で本村健太郎弁護士は、EVMJが民事再生の手続きを取っており、「事実上倒産したと言っていい」とコメント。同社が争う姿勢を見せていることに対しては、

「(大阪メトロが)もし裁判に(なって)勝ったとしても、お金がないから返せないということもあると思う。事実上お金が返ってこない可能性の方が高い」

と分析。

 「そうなると損失が丸ごと大阪メトロになってしまって、100%株主は大阪市ですから、大阪市の丸々損失になることとほぼ同じ。イコール大阪市民の税金の無駄遣いだったということになってしまう」と苦言を呈した。

 また大阪メトロには、

「注文したときになぜこの業者を選んだのか、という責任があり、徹底的に検証する必要があると思う」

とコメントした。

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90億円超で購入した万博EVバス、不具合832件…大阪メトロ報告書「安全リスク認識が不十分だった」

大阪メトロは17日、昨年の大阪・関西万博などに向けて購入したEV(電気自動車)バス190台の使用を断念した問題で、購入の経緯に関する調査報告書を公表した。万博輸送のためにEVバスを調達するという方針が過度に重視され、「安全リスクに対する認識が不十分だった」と結論づけた。万博期間中、バスの不具合が832件起きていたことも明らかにされた。

車両選定「政治的圧力なかった」

大阪メトロはEVバス開発・販売会社「EVモーターズ・ジャパン」(EVMJ、北九州市)からバス190台を購入し、うち150台を万博で使用した。閉幕後も路線バスなどとして使う予定だったが、万博期間中に事故が発生するなどし、今年3月、全車両の継続使用を断念した。

 2019年創業でEVバスの販売実績が少なかったEVMJを購入先に決めた経緯について、大阪メトロは顧問弁護士に委託し、社内調査をしていた。

 調査報告書によると、大阪メトロは21年頃から国の基金を活用したEVバスの導入を検討。当初は複数の国内大手メーカーの車両を検討したがEVバスを量産しておらず、大阪メトロが希望する技術や製造スケジュールなどを満たすのはEVMJだけだった。22年3月の経営会議と取締役会で、EVバス150台を導入することが承認された。

 問題の背景について、「万博輸送のために全台EVバスを調達するという特定の方針・結論の実現が過度に重視されていた」と指摘。「実現を妨げたり、覆したりするような検討は躊躇(ちゅうちょ)される雰囲気が全社的にあった」とした。

 万博期間中、車内ライトの点灯不良など832件の不具合が起きていた。このうち運行に支障が出たケースは、ブレーキホースの損傷など243件だった。

 報告書によると、22年当時、大阪メトロが国内の路線バスでEVMJのバス導入を確認していたのは2台のみだったという。

 導入決定までには、当時社長だった河井英明氏に対し、EVMJの実績の少なさがリスクとして報告されたこともあったが、「経営会議や取締役会でリスク検討は行われず、課題が十分に共有されることはなかった」という。子会社の大阪シティバスなどからも懸念が示されたが、経営判断に生かされなかった。

150台のうち50台については、大阪府・大阪市から22年2月頃に補助金活用の案内を受けて導入が検討されたとし、「追加調達の必要性は低かったが、大阪市が(大阪メトロの)100%株主である関係性から、特段の議論なく判断されたと思われる」とした。

 一方、車両選定について政治的圧力はなかったとした。

 河井氏の後任の角元敬治社長は17日、大阪市内で記者会見を開き、「多大なるご心配をおかけしたことについておわびを申し上げる」と陳謝した。再発防止策として、「組織風土や情報共有の仕組みの見直し」「意思決定プロセスの厳格化」など5項目を発表した。

 河井氏は購入当時の社長で、経営責任を明確にするとして16日付で会長を辞任し、相談役に退いた。

190台購入に補助金40億円超か

 報告書では、これまで非公表としてきた190台の購入費用が計90億円以上だったことも明らかにされた。購入には国や府・市からの補助金40億円超が充てられたとみられ、大阪メトロは返還手続きを進める一方、EVMJに購入代金の返還を求めている。EVMJは4月、57億円の負債を抱えて東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

 太田肇・同志社大名誉教授(組織論)の話「万博で使うとの方向性が決まったことで、異論を挟めず軌道修正が難しかったのだろう。日本的組織にみられる典型的な事例だ。問題が生じた組織環境を掘り下げるべきで、外部の視点を入れた第三者委員会での検証が必要だ」

社内会議の映像を入手…語られていた“リスク”とは? 万博の“負の遺産”中国製EVバスの末路

大阪・関西万博などで使われた190台のEVバス。販売したのは「EVモーターズ・ジャパン」という日本の会社でした。しかし、国産のはずが“中国製”と判明。各地で事故やトラブルも相次いだことで、路線バスなどへの転用が中止になり、大阪メトロは巨額の損失を計上しました。今回、バスを販売した「EVモーターズ・ジャパン」の社内会議の映像を入手。そこで語られていた“リスク”とは?未来の交通手段は、なぜ“負の遺産”となったのか?徹底検証します。

【ヨコスカ解説】実績乏しい新興企業になぜ…万博のレガシー「EVバス」はなぜ負の遺産に?

去年の大阪・関西万博で使われたEVバス。事故やトラブルが相次ぎ、導入した大阪メトロは67億円の損失を計上し、導入時の社長だった河井会長らが辞任する事態に発展しました。なぜ事故が相次いだのか? 万博のレガシーはなぜ“負の遺産”となったのか? 横須賀解説委員が徹底解説します。

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【追跡】なぜ万博EVバスは“レガシー”になれなかったのか!?実は中国メーカー製「ハンドル切れない」相次いだトラブル 販売会社の関係者「何が起きてもおかしくないと思っていた」

大阪・関西万博などで利用されたEVバスが、その後の転用ができなくなり、大阪メトロに67億円の特別損失をもたらしました。事故の実態や中国メーカーへの製造委託、不透明な導入経緯など、未来の交通手段が抱える課題に迫ります。

(大阪市 横山英幸市長)

「初めて生で見て感動しています。未来を感じる移動手段が今日お披露目になることを心からうれしく思います」

 2024年、大阪・関西万博を前に開かれた、EVバスのお披露目式。大阪メトロは福岡県のEVバス販売会社・EVモーターズ・ジャパンから、計190台のバスを購入しました。

 (大阪メトロ 河井英明社長 ※当時)

「未来社会の実験場である万博で、将来に向けた期待を持っていただけたらと思っています」

 環境にやさしく未来の交通手段として期待を集めたEVバスでした。しかしー。

■EVバスで相次ぐトラブル ハンドルが利かない!

(瀬川裕大 記者)

「事故があったのは、交通量の多い道路上でした。バスはこちらの中央分離帯に衝突し、そのまま縁石に乗り上げたということです」

 2025年9月、大阪市内を走っていたEVバスで事故が発生しました。回送中で乗客はいませんでしたが、ドライブレコーダーの映像には、運転手が左にハンドルを切ったにもかかわらず、バスは反対の右方向を進みそのまま中央分離帯にぶつかる様子が記録されていました。

トラブルは別の地域でもー。福岡県筑後市の小学校では2025年4月、EVバス4台を「スクールバス」として導入しました。しかし、すぐにトラブルが相次ぎました。

(EVスクールバスの運転手)

「カーブでハンドルが切れなかった。それには正直びっくりした。信号でエンジン停止とか、あとはブレーキの利きが悪いとか。途中、折り返し地点でハンドル操作をしたら(勝手に)ハンドルがいきなり回ったとか」

導入からわずか2週間。市はバスの使用中止を決めました。販売会社の実態を確かめるべく、取材班は福岡県北九州市にある本社を訪ねました。

 (瀬川裕大 記者)

「北九州市にあるEVバスの販売会社です。こちらの駐車場を見てみますと、筑後市が返品したスクールバスとみられる車両、そしてその奥には大阪・関西万博のロゴがあしらわれたバスも止め置かれています」

 トラブルの原因について取材を申し込んだところ会社は、その後、「お客様からの信頼に傷をつけてしまったことを真摯に受け止め努力を重ねる」と文書で回答しました。

 2026年4月、大阪メトロはこの会社が販売したEVバスについてー。

 (大阪メトロ 河井英明社長 ※当時)

「安定的に運用できる体制を確実に確保することは困難であると。当社保有のEVバスのすべてについて、運行を再開せず、今後使用しないことをお知らせいたしました」

 バスの転用を断念した影響で、67億円の特別損失を計上しました。

EVモーターズ・ジャパンの関係者は、運行再開を断念した背景についてこう指摘します。

 (EVモーターズ・ジャパン関係者)

「今回、大阪メトロさんが最終的にEVモーターズ・ジャパンの車両を使わないという判断をしたのは、後輪の車輪同士をつなぐ付け根の溶接が外れてしまい、『もうこれダメだね』っていうところだった。ほかにも何が起きてもおかしくないと現場サイドでは思っている」

 EVモーターズ・ジャパンは2025年11月、ブレーキが利かなくなる恐れがあるとして、一部の車両でリコールを届け出ました。

■EVバスは中国メーカーへ製造委託

リコール対象のバスを実際に製造していたのは、中国の「Wisdom Motor」という新興バスメーカーでした。

 EVモーターズ・ジャパンは、この中国のメーカーにバスの製造を委託し納品された車両を大阪メトロなどに販売しました。大阪メトロは購入にあたり国や大阪府・市から40億円以上の補助金を受けました。

さらに取材を進めると、会社の安全意識についての疑問も浮かび上がってきました。

 大阪メトロが車両の導入を決めたのは、2022年。読売テレビはその翌年、2023年に会社で行われたとみられる会議の映像を入手しました。投資家とみられる人物から、国の「認証」について、懸念の声があがっていました。

 (投資家とみられる人物)

「聞いて一番怖いなと思ったのが、EVモーターズ・ジャパン製のインバーター(電力を変換・制御する部品)でないものが載った状態で(車両が)納車されていることを聞きまして」

 (当時の社長とみられる人物)

「今回のインバーターがどうのこうのじゃなくて、前のインバーターを乗っけたときから、認証権を取ってないんですよ。イギリス向けの車両の認可は取っているんですよ。それでいいんでしょと(中国の)Wisdom Motorは思っていたんですね。極端に言うと、並行輸入の場合、メーカーは僕らじゃないですから。Wisdom Motorがメーカーとなって、すべての責任はWisdom Motorが書類に対して負わなければいけないっていうことになっている。少しでも早く認可を、いま取れていないので、少しでも早く認可をしてほしい。リスキーだと言えばリスキーなんですけど」

国交省の担当者は、インバーターの変更が車両の認可に関する審査に影響していないとしています。ただ、会社の安全性への意識は、十分だったと言えるのでしょうか。EVモーターズ・ジャパンは、製造委託先の中国メーカーについてー。

 (EVモーターズ・ジャパンのコメント)

「今回の品質課題について、メーカー側も真摯に受け止めております。当社としては今後の再発防止策の実施により、メーカーの管理監督をさらに強化し、信頼回復に努めてまいる所存です」

 一方、中国のメーカーの認識は。関係者が読売テレビの取材に応じました。

 (中国のメーカーの関係者)

「EVモーターズ・ジャパンが我々を選んでからたくさんの部品を指定したいと要求しました。問題は、当時EVモーターズ・ジャパンが部品の選択を間違ったことにあります。指定された駆動モーターは別の中国メーカーのものでしたが我々がよく使うものではありません。(EVモーターズ・ジャパンが指定した)そのモーターは中国で市場シェアが大きく、値段も安いです」

■「日本製」うたうも…大阪メトロは並行輸入を認識

不具合を抱えた車両をなぜ、大阪メトロはEVモーターズ・ジャパンから購入したのでしょうか。読売テレビが入手した2022年10月の社内の稟議(りんぎ)書には、選んだ理由についてこう書かれていました。

 (稟議書の文章)

「来年度に製品の最終組み立てラインを国内に建設し、最終組み立てから出荷までを完全に国内工場で行い、EV車の量産化が可能である」

さらに、自社で車体の仕様などを決め、車両の開発・製造をしており、車両トラブルにも対応できるとしたうえでー。

 (稟議書の文章)

「短期間に国産バスの量産が可能である事や、今後、路線バスとしての導入・運用に対する対応が可能であることから、EVモーターズ・ジャパンは確実にEVバスを調達できる唯一の企業である」

 当時、EVモーターズ・ジャパンは設立からわずか3年ほどの新興企業でした。量産化や自動運転の実証実験で活用できるため“国産”バスとして選んだといいます。しかしー。

 (杉田忠裕 大阪市議)

「日本製のEVバスといううたい文句でしたけど、実態は中国製のEVバスであると認識していたのかどうか、お聞きします」

 (大阪メトロ 堀元治 常務取締役 ※当時)

「EVモーターズ・ジャパン社が設計して中国でモノを造り、その架装を日本でしているという製造過程であろうということは認識していた」

 (杉田忠裕 大阪市議)

「ですから、並行輸入ですね?そういうことを認識されていたんですか?」

 (大阪メトロ 堀元治 常務取締役 ※当時)

「はい、その通りでございます」

(杉田忠裕 大阪市議)

「当時、大阪シティバス(大阪メトロの子会社)では、EVバスを導入するならば、BYD社(別メーカー)でと決まっておりましたが、最終的にはEVモーターズ・ジャパン社になったということは事実なのか?」

 (大阪メトロ 堀元治 常務取締役 ※当時)

「(大阪シティバスが)試験的にBYD社製EVバスを導入することを決定し、大阪メトロに提案があったということはありました。一方で、大阪メトロの方においては、FMS(運行管理システム)の開発、または自動運転の開発も視野に入れて、すでに(国の)グリーンイノベーション基金事業を活用してEVバスを導入することの検討を進めていたということもあるので、大阪メトロと大阪シティバスで協議し、最終的な判断として、EVモーターズ・ジャパン社製のEVバスを導入する方向で進めることにしました」

 (大阪シティバス 木田俊郎 元社長)

「EVモーターズ・ジャパン社は当時、大阪にそういうメンテナンスの拠点を設ける予定であるということを聞いていたので、それであればEVモーターズ・ジャパン社に決める方がよろしいだろうと」

 (杉田忠裕 大阪市議)

「大阪につくるという話を聞いたものでと…営業所はできたんですか?」

 (大阪シティバス 木田俊郎 元社長)

「すみません、結果的にはできていませんでした」

 (杉田忠裕 大阪市議)

「そういう甘い取り組み方が非常に残念です」

■“塩漬け”のEVバスが向かった先は…

企業の風土に問題はなかったのでしょうか。2026年5月、”墓場”と呼ばれた森之宮のメトロの敷地からバスの搬出が始まりました。

 (瀬川裕大 記者)

「午前9時前です。バスを載せたトレーラーが大阪メトロの敷地を出ました」

 次々と運び出されるバス。どこに向かうのでしょうか。バスは高速道路で北へと進み始めました。

バスは日本海側へ出て、福井県から石川県へ。そしてー。

 (瀬川裕大 記者)

「大阪市内を出発してから5時間半、富山県高岡市のインターチェンジで降ります」

 バスは、大阪から300キロ以上離れた、富山県高岡市に到着しました。

 (瀬川裕大 記者)

「もう1台も来ましたね。計3台のEVバスを載せたトレーラーが富山県高岡市内を走っています」

最終的に行きついたのはー。

 (瀬川裕大 記者)

「バスを載せたトレーラーは富山県高岡市の工場のような敷地へと入っていきますね」

 バスはリサイクル会社の敷地内へ運び込まれました。会社は取材に「大阪メトロから車両を預かっているだけだ」と回答しました。

 現在、大阪メトロはEVモーターズ・ジャパンに対し、契約解除を通知し、購入代金の返還を求めていますが、会社は「契約の解除は法的な根拠を欠くものであり、認められない」としています。

 万博のレガシーとなるはずが多額の損失を生んだEVバスは“塩漬け”の状態が続きます。未来の技術は「安全」の上に成り立つことを忘れてはなりません。

【ヨコスカ解説】実績乏しい新興企業になぜ…万博のレガシー「EVバス」はなぜ負の遺産に?【かんさい情報ネットten.】

「EVバスを導入する目標を“絶対視”しすぎる企業風土」 トラブル相次ぎ利用停止「EVバス」問題 大阪メトロが調査報告書を公表|newsランナー〈カンテレNEWS〉

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