未来のBEVは本当につまらない? SUVになった新型「リーフ」の“完成度”と、レクサス「RZ」が提示する“擬似MTの快楽”
BEVだって走りを面白くできる
筆者としては、BEVは高級車にこそ相性がいいと思っている(それと近距離用コミューター)。モーターならではの高トルクかつスムーズな加速、静粛性の高い走りなど、高級車の必要条件を満たしているからだ。マルチパスウェイを推し進めるトヨタの中で、欧州のプレミアムブランドと違いヘリテージや過去の伝説にすがれないレクサスが、2035年にグローバルでBEV100%を目指す戦略は非常に理にかなっていると思う。
新型RZの航続距離は最長733km(RZ350e“バージョンL”・FWD)、システム最高出力は407.8PS(RZ550e“Fスポーツ”)にも達し、細かいところではドアのゴムシーリングの延長や肉厚のトノカバー(ふかふかだった)など、静粛性にも徹底的にこだわっている。BEVシステムを全面刷新し、ようやく日常生活で不満のないレベルの性能を備えた。
そして件のステアバイワイヤシステムとインタラクティブマニュアルドライブだ。ステアバイワイヤは他メーカーでも採用事例があるが、操縦桿のようなハンドルの操舵角は片側200度。ハンドルを持ち替えることなく末切りができ、車速に応じてギア比を変更することで高速域でも自然にハンドリングを切ることができる。
乗り始めは低速時の取り回しに慣れが必要だったが、数分で違和感はなくなった。そして何よりステアリングを持ち替える必要がないので切り返しがとても楽なのだ。
そして注目のインタラクティブマニュアルドライブ。
モードを切り替えると擬似的に有段化の制御が働き、操縦桿の奥の小さなレバーで変速をおこなう。そこに、電気的な音ともエンジン音とも違う独特なサウンドとタコメーターの演出が組み合わさり、ドライバーの意思とクルマの動きがリンクしたような感覚になるのだ。
しかも、変速を行わないとレブリミットに当たったような挙動もする凝りよう。思わずニヤリとしてしまった。残念なのは、ハンドルのボタンとパドルシフトの配置が、筆者にはやや操作しにくかった点だ。おそらくさまざまなテストを経て現在の位置に落ち着いたはずなので何かしらの意図はあるのだろうが、操作に直結する部分だからこそ今後の改善に期待したい。
インタラクティブマニュアルドライブは、あくまでも擬似的なものだし普通に走る分には必要ない装備だが、クルマがますますソフトウェア中心になれば、こういった“演出”が差別化要素につながってくる。
これだけが正解ではないと思うが、どうすればBEVにおいても走りの楽しさを追求できるのか、インタラクティブマニュアルドライブはトヨタの長年の研究が成果となって現れた技術であり、今後の展開がますます楽しみになる。
3代目リーフと新型RZを乗り比べると、BEVはまだまだ発展途上であることがわかる。しかしながら、その未来は決して悲観的になることもない。エンジニアの技術と知恵次第で、クルマはまだまだ面白くなる。
