なぜ小中学生はゲーム『ブレインロットを盗む』に夢中になる? ゲーム内トラブルが現実の友人関係に波及も

なぜ小中学生はゲーム『ブレインロットを盗む』に夢中になる? ゲーム内トラブルが現実の友人関係に波及も

オンラインゲームをめぐるトラブルが、子どもたちの現実世界にも影響を及ぼしている。キャラクターを集めて奪い合うゲーム『ブレインロットを盗む』の人気が、昨年から国内で小中学生を中心に急速に拡大。一方で、友人関係の悪化や睡眠不足による遅刻、さらには金銭トラブルといった問題も顕在化している。流行のゲームに保護者はどう向き合えばよいのか。現場の声を取材した。

■ゲーム内トラブルで「階段から突き落とされそうに」

 ゲームのキャラクターを盗み合う対戦型オンラインミニゲーム『ブレインロットを盗む』。不思議なキャラクターをコレクションし、戦略的に盗み合うゲームだ。次々にレアキャラなど新しいキャラクターが生まれるなど、これまでにない面白さに夢中になる子どもたちが続出している。

 ブレインロット(brain rot)とは「脳が腐る」という意味。2024年、オックスフォード大学出版局の「今年の言葉」に選ばれ、ネット上の低品質なコンテンツに過剰に触れることで、集中力や思考力が低下する状態を指す言葉として話題になった。この言葉をもとに、生成AIによる奇抜なキャラクター群「イタリアン・ブレインロット」がネットミームとして子どもたちの間で流行。さらに2025年5月、オンラインゲームのプラットフォーム「ロブロックス」上で、ゲーム『ブレインロットを盗む』が公開されると、急速に世界へ広がった。国内では小学生を中心に爆発的な人気を誇っている。

 ところがこのゲームをめぐって、子ども同士の友人関係や金銭のトラブルが多発し、全国で大きな波紋を呼んでいる。

「ゲーム内での出来事なのに、同級生の男の子が腹を立て、息子が学校の階段から突き落とされそうになり、ランドセルを投げられたようです」

 北海道で暮らす小学6年男児の40代母親はこう打ち明ける。年末からこのゲームを始め、学校や保護者も巻き込んだリアルな友人関係に大きなひびが入ったという。

 トラブルは画面の中だけにとどまらず、舞台は学校へ。母親は言う。「学校の先生が仲介してくれたこともありましたが、次から次へといろんな子と問題が発生しています。胸ぐらをつかまれたり、ののしられたりすることが毎日のようにありました。

普段はおとなしい子も、このゲームでは気が大きくなるようで、ゲーム中に『死ね』『うざい』とチャットで言われ、相手の保護者とも話し合いをしたこともあります。

『◯◯の家を壊しに行く。いま玄関にいる』と脅す子までいました。小学生の言うことなので大人は嘘だとわかりますが、子どもは怖がっていました。ある意味、知らない人とゲームをするより怖いと思ってしまいました」

■深夜イベントで生活リズムが崩れる子どもたち

 このゲームの存在に悩まされる保護者のもう一つの悩みはレアキャラがゲットできる “イベント”だ。海外時刻で設定されているため、深夜や午前3時、4時といった早朝に開催される。前出の母親は、寝不足にならないことを条件に、イベントの参加を許しているという。

 「午前3時からのイベントの場合、少しでも早く寝るように促しています。普段はなかなか起きられないのですが、イベントのときだけはちゃんと早寝早起きできるんです。学校に遅刻しない午前7時40分ごろまでやって、ギリギリに登校する日もあります。できるならやめてほしいですね」と話す。

 イベントの学校現場への影響は大きい。イベント参加による寝不足が、学校への遅刻や欠席につながるケースも珍しくない。「月曜の欠席が増える」という学校もある。

 昨年度小学4年を担任していた関東地方の30代男性教員は、「イベントの時間がかなり子どもの生活に影響していると感じます」と懸念する。

「下校後や夜中、早朝にイベントに参加することで寝不足になり、遅刻をする、授業中に寝てしまう、集中できない、やる気が出ないといった子がいました。イベントが生活の中心になってしまい、そのことばかり考えて勉強に集中できず、授業中にタブレットでブレインロットを調べて、画像を加工する子までいます」

 神奈川県に住む小学6年男児の40代母親は、家族で話し合い、2月末の管理者イベントを区切りにイベントには参加しないことを決めたと明かす。午前10時過ぎまで起きる、午前4時に起きるといった生活リズムの乱れが、目に余る状態だったからだ。

「寝不足で学校を何回か休み、周りの家族の睡眠時間にも影響が出ました。イベント参加をなかなかやめられませんでしたが、友だちとの間で『キリがないからドラゴンをゲットしたらやめよう』という話になったらしく、その通りに2月末でやめました。ゲームはまだ続けていますが、最近は少し外遊びが増えてきました」

■詐欺や売買も 拡大する金銭トラブル

 詐欺被害にも遭ったことがあるという。金銭の授受はなかったが、だまされてアイテムを奪われた。

「詐欺の相手はユーチューバーでした。詐欺だけでなく、小学校で友だちと言い合いになったこともあり、このゲームを始めてから悪いことが目立ちます。まだブレインロットを続けていますが、ポケモンカードやボンボンドロップシールなどと一緒で、際限のない遊びが増えたと感じます」と母親は吐露する。

 中学生は金銭トラブルも問題になっている。イベントなどでゲットしたレアキャラを子ども同士が決済アプリ「PayPay」で売買するという。3月、東海地方の中学校で開かれた保護者会でも教員から注意が呼び掛けられた。

「なかにはレアキャラを5、6千円で売買する生徒もいます。お子さんのPayPayに高額がプールされている可能性もあるので、帰宅したら残高を調べてみてください。これは学校ではなく、家庭の問題です」

■禁止ではなく対話を 保護者に求められる関わり

 こうした多くのトラブルをはらむ一方、このゲームには強い魅力があり、子どもたちが虜になる要素を数多く備えている。フォートナイトやロブロックスといった人気ゲーム上で展開されているため、「親が取り上げればよい」という単純な話ではない。保護者はどう対応するのが正解だろうか。

 子どものネット利用に詳しいITジャーナリストで成蹊大学特別客員教授の高橋暁子さんは「保護者は頭ごなしに禁止する人・取り上げる人ではなく、子どもが自分で決めたルールを守れるよう協力する人であってほしい」と助言する。

 そのためにも子ども目線に立って、ゲームの面白さを知ることが大事だと高橋さんは話す。

「一度保護者もアカウントを作って、子どもに遊び方を教えてもらってみてください。そうするとなぜはまるのか、なぜ盗った盗られたの問題が起きるのか、イベントに参加してレアキャラをゲットしたいという気持ちも理解できると思います。

どんな使い方をしているのか。どんな人とプレイしているのかもわかります。子どもが親に教える機会はあまりないので、子どもも自慢げに教えてくれるのではないでしょうか」

 ゲームをやりたい気持ちを受け止めたうえで、どう改善したらよいかを話し合うと、子どもも素直に考えることが多いという。

「小学生でも『確かにあれはまずかった』と自覚して、改善策を考え出してくれます。保護者は『じゃあ自分が言った通りにルールが守れるかやってみよう』と寄り添ってあげてほしいです」と高橋さん。

 友人関係のトラブル回避のためには、独自のルールづくりも有効だ。

「ゲームの中の話ですが、レアキャラを盗まれると、小学生は本当に大事な宝物が盗まれたかのような絶望した気持ちになって、取り乱してしまう子もいます。友人関係にひびが入ることを防ぐために、『仲間内は盗り合うのをやめよう』などとマイルールを子どもたち同士で決められるとトラブルの回避にもつながります」

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