蛍光灯の製造・輸入が廃止……LED照明への切り替えが済んでいないとどうなる?

蛍光灯の製造・輸入が廃止……LED照明への切り替えが済んでいないとどうなる?

2027年末をもって蛍光灯の製造と輸出入が世界的に禁止される「蛍光灯2027年問題」をご存じでしょうか。「まだ使えるから大丈夫」と考えていると、ある日突然照明がつかなくなっても交換用のランプが手に入らず、対処できなくなるかもしれません。

そこで本記事では、「蛍光灯2027年問題」の背景から国内での蛍光灯の使用状況、LED照明に切り替える際の注意点などをまとめて解説します。

◆「蛍光灯2027年問題」とは?

この問題の根拠となっているのは、2013年に採択された国際条約「水銀に関する水俣条約」です。水銀による健康被害や環境汚染を防ぐことが目的で、水銀を含む製品の製造・輸出入を段階的に規制する内容が盛り込まれています。

蛍光灯には発光のため微量の水銀が封入されており、私たちの身近にありながら世界中で大量に使われていることから、条約の主要な規制対象になりました。2023年11月にスイス・ジュネーブで開催された第5回締約国会議(COP5)が開かれ、蛍光灯の廃止時期が次のように正式に合意されています。一部の特殊用途を除いて、ほぼ全ての蛍光ランプが対象です。

・電球形蛍光灯・コンパクト形蛍光灯:2025年末までに製造・輸出入を禁止

・直管蛍光灯(一般照明用):2027年末までに製造・輸出入を禁止

ここで重要なのは、禁止されるのは「製造・輸出入」であって、「使用」そのものは違法にならない点です。2028年以降に蛍光灯を使っても罰則はありません。しかし、新しい交換用ランプが生産されなくなるため、在庫がなくなれば購入できなくなります。流通在庫がしばらく残る可能性もありますが、品薄や価格高騰は避けられないでしょう。実際には、蛍光灯を使い続けられる期間には「限り」があると言えます。

◆LED化に関する国内の動き

●国内での蛍光灯の使用状況

一般社団法人日本照明工業会(JLMA)の出荷統計によると、住宅用照明器具のLED化率は出荷ベースでほぼ100%に達しています。つまり、新しく売られている照明器具はほとんどがLEDです。しかし「出荷ベース」とは違い、実際に今使われている照明器具(既存ストック)には、まだ数千万台規模の蛍光灯器具が現役で稼働していると推測されています。

●国内メーカーの動き

日本は水俣条約の締約国であり、国内法の整備も進んでいます。実際、大手メーカーは既に蛍光灯事業からの撤退を進めており、パナソニックは2027年9月末で蛍光灯全品種の生産終了を発表、他メーカーも同様の方針を示しています。メーカーの生産終了は条約の期限よりも前倒しで進む傾向があるため「2027年末まで余裕がある」とは言い切れません。

●賃貸住宅・中小ビル・公共施設などの動き

賃貸住宅や中小規模のオフィスビル、公共施設、築年数の古い住宅ではLED化が進みにくいと言われています。例えば、賃貸マンションやアパートの共用部での変更は管理組合や大家の判断が必要なため、個人では切り替えることができません。

ほかにも、中小規模のオフィスビルや店舗だと、照明器具の数が多いため、一括交換するにはまとまった費用が必要になり、切り替えが遅れがちになります。こうした場所では、2027年末の期限が迫るにつれて駆け込み需要が発生し、工事業者の予約が取りづらくなったり、希望する製品が品薄になったりする可能性が高いです。

◆維持コストはどのくらい変わる?

LED照明への切り替えは初期費用がかかりますが、中長期的にはかなりコストメリットがあります。例えば、リビングのシーリングライトを蛍光灯からLEDに変えた場合、年間の電気代が数千円程度安くなるケースは珍しくありません。器具の購入費は数千~1万円台が中心なので、数年で元が取れる計算です。

▼電気代の削減

LED照明は蛍光灯に比べて約40~50%の消費電力が削減できます。特に使用時間が長いほど効果が大きいです。

▼ランプ交換コストの削減

LED照明の寿命は約4万時間で、蛍光灯(約6000~1万2000時間)と比較してはるかに長持ちするため、交換の手間とコストが削減できます。

▼補助金・助成制度

自治体によっては、LED照明の導入に補助金が出る場合や、省エネリフォームの一環として国の補助制度の対象になることもあります。

◆LED照明への切り替え時に気を付けるべきことは?

LED化の方法はいくつかありますが、注意するべき点があります。

▼既存器具のランプのみLEDに変更するのは非推奨

既存の蛍光灯器具はそのままで、ランプだけをLEDに交換する方法もありますが、安全面からおすすめできません。蛍光灯器具の内部にある「安定器」の種類によっては、適合しないLEDランプを取り付けると、正常に点灯しないどころか、発熱・発煙・発火などのリスクがあります。

また、安定器自体にも寿命があり、10年以上使った安定器の多くは劣化しています。互換性があるLEDランプに交換しても安心とはいえません。さらに、安定器を使ったままだと省エネ性能が十分に発揮できないこともあるため、基本的には器具ごと交換するのがおすすめです。

▼交換に工事が必要な照明か確認しよう

天井にシーリングライト用の配線器具が付いている場合は、蛍光灯器具を外してLED器具に付け替えるだけで工事は不要です。初期費用はランプ交換より少し高くなりますが、安全性、省エネ、寿命のいずれも優れています。また、トイレなどの電球ソケットに電球型蛍光灯を使っている場合は、LED電球に交換するだけで対応可能です。

反対に、直管蛍光灯器具や埋め込み型照明の交換は工事が必要になります。工事業者に依頼する場合、2027年が近づくほど予約が取りにくくなると予想されるため、余裕を持ったスケジュールで動くことが大切です。

◆LED化でやるべきこと・注意点【持ち家の場合】

●予算によっては優先順位付けをしよう

持ち家の場合、照明器具の交換は全て自分の判断と負担で行うことになります。家全体の照明を1度にLEDできれば理想ですが、予算的に難しい場合は優先順位をつけて段階的に進めましょう。

おすすめの進め方は、使用頻度の高い部屋から着手することです。

1. リビング・ダイニング……最も点灯時間が長く、電気代削減効果が大きい

2. キッチン……毎日使い、明るさが特に大切

3. 洗面所・トイレ……点灯時間は短いが点灯回数が多い場所はLEDの得意分野

4. 寝室・子ども部屋……調光機能付きにすると快適度アップ

5. 玄関ポーチ・外構照明……防犯面でも大事なため、屋外照明も忘れずにチェック

また、近い将来にリフォームやリノベーションを予定している場合は、照明もまとめて見直すのが合理的です。配線のチェックやダウンライトなどの追加も同時に行えるので、工事費用を抑えやすくなります。

●補助金・助成金を活用しよう

LED化の補助金は自治体ごとに異なりますが、手続きの手間に見合う十分な補助が受けられる場合もあるので、住んでいる自治体のWebサイトを確認してみましょう。また、省エネリフォーム全体の一部としてLED化を組み込めば、国の補助制度の対象になることもあります。窓の断熱工事や給湯器の交換と合わせて行えば、さらに大きな補助を受けられるかもしれません。

●蛍光灯の処分は適切に

取り外した蛍光灯は、水銀を含む有害廃棄物として適切に処分する必要があります。自治体によってルールが異なるため、事前に確認しましょう。

・自治体指定の「有害ごみ」や「資源ごみ」として決められた出し方を守る

・割れ防止に紙ケースや新聞紙で包んで出す

・割れた場合は手袋を使い換気をしながら破片を安全に処理する

◆LED化でやるべきこと・注意点【賃貸住宅の場合】

賃貸住宅の照明器具は、大きく分けて以下の3つのパターンがあります。まずは契約書や重要事項説明書を確認し、自分の部屋の照明がどれに当たるか把握しましょう。

・設備(貸主負担)……物件設備としてついている場合は、故障や老朽化は貸主が対応

・残置物……前の入居者が残したもので、貸主は修理義務なしが多い

・入居者の持ち込み……自分で購入・設置した器具で、交換・撤去は入居者負担

▼設備扱いの照明器具の場合

消耗品である蛍光灯ランプの交換は、基本的に借主負担とされています。ただし、交換用ランプが手に入らなくなった場合は照明自体が使えません。設備扱いの照明器具が使えないのは物件の基本的な利用に影響するため、LED器具への交換は貸主(大家)が対応すべき内容になります。ランプが切れてから慌てるのではなく、早めに管理会社や大家に蛍光灯2027年問題を伝えておきましょう。

▼自分で設置した照明器具の場合

天井に引っ掛けシーリングが付いている場合は、入居者自身でLEDシーリングライトに交換できます。工事も、大家への許可も不要です。ただし、退去時の「原状回復」に注意しなければいけないケースもあります。入居時に蛍光灯器具がついていた場合は、退去時に元の器具に戻す必要があるため、取り外した器具は処分せずに保管しておくのが安全です。

◆早めに切り替えの検討を

「蛍光灯2027年問題」は、国際条約に基づいた確定事項であり、先送りにできない課題です。蛍光灯の「使用」は禁止されませんが、「製造」が止まると交換用ランプの調達が一気に難しくなり、今まで通り使い続けるのは現実的ではなくなります。

安全面では、古い蛍光灯器具の劣化による事故も問題です。照明器具の寿命は一般的に10~15年とされ、安定器の劣化による異音やちらつき、異臭、最悪の場合は発煙や発火の事故も報告されています。コスト面でも、LED照明は電気代も安く長持ちするので、長い目で見るとメリットが大きいです。

2027年末が近づくにつれて、工事業者の混雑や製品の品薄が予想されます。「まだ先の話」と思わず、LED化や安全点検・交換を早めに検討するのが賢い選択です。

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