日本のアニメ・漫画のキャラに酷似、AI生成の動画や画像氾濫…「権利複雑」と業界の動き鈍く

日本のアニメ・漫画のキャラに酷似、AI生成の動画や画像氾濫…「権利複雑」と業界の動き鈍く

海外の主要な生成AI(人工知能)サービスで、日本のアニメや漫画などのキャラクターに酷似した動画や画像が無許諾で出力される状態が続き、業界関係者が危機感を強めている。海外ではAI事業者側を相手取った訴訟が相次ぐが、日本では権利関係の複雑さもあり、動きは鈍い。政府は知的財産保護に向け、初の実態調査に乗り出す。

ドラえもんがウルトラマンを蹴り、「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」の竈門(かまど)炭治郎が交通トラブルを起こす――。SNS上には、生成AIで作成されたとみられる、実在のキャラに酷似した10秒程度の動画や画像があふれる。

 「今は短編だけだが、長編が作れるようになれば、コンテンツビジネスが立ちゆかなくなる」。出版やアニメなどの権利者らでつくる「コンテンツ海外流通促進機構」(CODA)の後藤健郎代表理事(63)は危機感を募らせる。

 生成AIによるキャラ出力は、米グーグルの「ジェミニ」、米xAIの「グロック」、米オープンAIの「チャットGPT」で確認されている。オープンAIが昨秋公開した動画サービスでもキャラ出力が問題となったが、日本政府の改善要請もあり出力抑制の対策が取られた。今年2月には、中国IT大手バイトダンスが中国国内限定で始めた新サービスで同様の問題が発生。日本でのサービス公開は未定となっている。

 漫画やアニメなどの著作物を利用する場合、日本の著作権法では原則、権利者の許諾が必要とされる。だが、後藤代表理事によると、主な日本のアニメや漫画について「権利者が許諾したケースは確認されていない」という。

 上野達弘・早稲田大教授(知的財産法)は「利用者が無断で他人の著作物を出力し、SNSなどで公開した場合、利用者自身が権利侵害の法的責任を負う。事業者も利用者に送信したとして責任が問われる可能性がある」との見方を示す。

 読売新聞は今月、グーグル、xAI、オープンAIに見解を尋ねた。グーグルは許諾の有無は明言せず、「権利者や政策当局と建設的な対話と技術的な改善を継続する」と回答した。残り2社は期限までに回答しなかった。

海外では、生成AI事業者による著作物の利用を巡る訴訟が相次ぎ、事業者側敗訴の判決も出ている。

 ウルトラマンの酷似画像の生成は違法として、日本の権利者からライセンスを受けた中国企業が自国のAI事業者を訴えた訴訟で、中国の広州インターネット法院は2024年2月、AI事業者に損害賠償などを命じた。ドイツの地裁は昨年11月、音楽著作権管理団体の訴えを認め、チャットGPTによる歌詞の無断学習・出力を違法とした。

 著作権法に詳しい福井健策弁護士は「海外では、権利者側が対価獲得に向けて訴訟を提起し、交渉や合意の足がかりにする動きが活発だ。日本の権利者側が権利を守りつつAIとの共存を図るには、訴訟も時に有力な選択肢となる」と語る。

 だが、課題は少なくない。出版大手幹部は「問題意識はあるが、被害額の算定が難しく、訴訟をしても費用倒れになりかねない」と打ち明ける。ある民放幹部も「アニメは複数社の出資による製作委員会方式で作ることが多く、権利関係の複雑さや調整の難しさが課題となる」と訴える。

実態調査

 こうした状況を受け、経済産業省は今春、CODAに委託し実態調査に乗り出す。キャラの生成状況やSNS上での生成物の拡散状況を調べ、海外の侵害対策や法律について情報収集する方針。担当者は「技術の進歩や新たな事業者の登場により、大きな被害が生じるリスクもあるため、今対策する必要がある」としている。

 後藤代表理事は「個社のみの対応では限界がある。訴訟や交渉といった権利者側の対応の判断材料となるよう、調査を進めたい」と話している。

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